1.研究内容
1-1.発表者 講師:奥島 俊介氏(元王子製紙専務、農学博士)
1-2.テーマ 「題名:政治と科学の間をさまよう地球温暖化問題」
1-2-1.主な内容
(要旨)地球の表面温度が過去200年ほどの間上昇傾向にあることは間違いない。しかしこの原因が人為的なものか自然的なものかについては議論の分かれるところである。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、2007年にまとめた第4次報告書で、気温上昇の90%以上は人為的原因によると結論している。一般の人が信じている温暖化の原因が炭酸ガス濃度の上昇であるということは、科学的に証明された真実ではなくIPCCにおいて政治的に合意されたことである。科学の世界では合意なるものはない。日本政府が炭酸ガス排出量を対1990年比25%削減すると宣言していることの意味について考える。
(1)
IPCC派と反IPCC派:論点は①地球は温暖化しているのか②温暖化の原因は炭酸ガスの上昇なのか③温暖化は脅威なのか?について、議論されている。
・なぜ“温暖化”ではなく温暖化問題なのか?:科学的要素、政治要素、社会的要素、金融的要素などが絡み合っている。温暖化問題は純科学的な問題ではない。2009年にIPCC(1989年国連に作った組織)の報告書の信頼性に疑問が出され始めた。Climate Gate Amazon Gate 等・・・科学者ならデータをもとに議論が必要である。
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温暖化の原因は炭酸ガス濃度の上昇か?
(2)
本当に温暖化しているのか? データでは88年までは上昇しているが89年以降は上昇していない。最低気温は上昇しているのでそう感じるのではないのか。データでは宮古はほとんど変化がない。ヒートアイランド現象があるところが上昇している。
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1840年位から2000年に向けて150年間の気温は上昇している。原因は温室効果ガスなのか。1960年~1980年の気温は下がっていた。
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世界の年平均気温は、1980年からは上昇してきている。気象衛星の計測では対流圏下層の気温は1990年を境に気温が上昇したのは事実。上空5000Mの気温変化はほとんどない。砂漠は乾燥して砂漠化が下がっているのは間違いないが、気温上昇によるかはわからない。ここ数年は南太平洋の気温が低い。
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新潟県高田は雪が無くなったが、昭和基地の平均気温推移をみると-10℃で殆ど変化していない。今までのデータでは上昇しているが上昇し続けているのかは判らない。炭酸ガス濃度が上ると気温が上昇するのか?炭酸ガスは1950年位から急激に上昇しているが、その後気温が下がっている理由は不明。過去40年の気温の変化と炭酸ガスの上昇は、IPCCが都合のいい期間を採用したものである。
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ホッケーステック曲線では1850年から急上昇している。バイキングの時代、グリーンランドにも中世温暖期に小氷河期もあった。1,000年頃はバイキング、1600年頃は小氷期→炭酸ガスの濃度変化と気温の変化は相似しているが、気温が先に高くなっていることの説明はされていない。グリーンランドでは1920年代は気温が高く、氷は張らなかった。
(3)
地球の気温を決める因子
・太陽からの日射と地球からの放射(温室効果ガスの吸収と再反射)等
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森林は保温効果がある。気温を決めると考えられる各因子の放射強制力:CO2,CH4・・・・
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気候変動の要因:人為的要素:温室効果ガス、エアロゾル、土地改変 自然変動:太陽活動、火山、太陽、海洋・・・
影響、対策は地球的、地域的、局所的である。
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北欧の春は太陽磁気活動の影響を大きく受けている。北極振動指数とaa 指数(太陽から来る磁場の強さ)の比較では、北極上空の低気圧が強くなると気温が上る。太陽活動と北極の低気圧は影響関係にあるのではないか。
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太陽の黒点と北極寒気団の勢力は関係あるようだ。黒点が多いと寒気団は衰弱する。IPCCは自然要因をカットしているのが問題である。
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雲の量はモデルで再現できないほど大きく変動し、気温に大きく影響する。
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温暖化は災禍をもたらすのか?→氷河の氷がとけても50CMしか海面は上昇しない。
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ヒマラヤは夏雪型である。夏の雪が少なくなり気温が上昇している
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海面近海の海面水位の変化は‐40CM~+60CMの間で周期的に起こっている。ツバルは火山島であり、さんご礁の島で海底に徐々に沈んでいる。浮いている北極の氷が解けても海面上昇は変わらない。シロクマの問題は裏付けのないデータで議論している。
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温暖化すると大きなハリケーンが来るといわれるが、昔にもどっただけである。日本の台風もデータでは余り変化していない。豪雨が多くなったのは(時間80MM以上の豪雨発生)事実である。
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クマゼミが北上しているが、これは植木が根こそぎ移動しているので幼虫が移動しているのかもしれない。
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IPCCは気温偏差の経年変化の観測で最近150年予測しているが、正しいのか?水蒸気のデータは入っていない。炭酸ガスを独立変数で入れているのではないのか?とも思われる。濃度が倍になったらどうなるのか?3~4度上ると言っているが、正しいのか?異なる意見もある。
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水蒸気はこの10数年10%近く減ってきているので、気温が安定しているというデータもある。
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京都議定書を批准した国の炭酸ガス排出量は全排出量の20%強に過ぎない。なぜ1990年が基準になるのか?EUの戦略である。
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IPCCはイギリス主導で作ったもの。科学的学会ではない。
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日本はGDPとCO2排出量が一身同体になっている。GDPあたりの1次エネルギー消費量の各国比較は日本がトップである。
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南極の氷は増えている。グリーンランドでは減っている。
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京都議定書の効果は?いまのままでは効果は少ない、温度変化は何もしない時より5年遅れるだけである。
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2013年以降の目標について:90年比で2020年までに日本は25%削減
・ 1990年比2005年の削減率は 日本7.7%増 EU15カ国 2.0%増
・ 1995年対比2005年の削減率は日本1.1%増 EU15カ国 1.1%増で変わらないことに注意が必要である。
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温暖化の原因はなぜかは別として、省エネルギーを目的とした低酸素社会を構築する必要がある。
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我々の目標は人類と環境のおかれた状態を改善することである。京都議定書を遵守しても温度上昇を5年遅らせるのに5兆ドル以上必要である。
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温暖化のメリットも沢山ある。寒い方がエネルギーも使うし病気も多いのではないのか。
報告者:殿村サブリーダー
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