1.研究内容

1-1.発表者 久保 聰 会員

1-2.テーマ 「ハードウエアとソフトウエアのものづくりに違いがあるのか」

1-2-1.主な内容                    

1)ソフトウェアと「ものづくり」

     ハードウェアとソフトウェアの違い:ハードは所有権という概念でソフトは知的財産権という概念。顧客は使用権を得て使う。ソフト開発は、無形物でありながら、製造や建設工事などの「ものづくり」の考え方と共通の法律や会計基準が適用され、またはされようとしている。

     製造業に適用される会計、法律と共通な点:ソフトウェアを下請に出している。仕様変更での適切な発注などで下請法の適用がある。公取委からも調査を受ける。偽装請負についても、労働監督署から調査を受けることがある。会計基準も工事進行基準への適用が順次、進んでいる。

 

2)ものづくりとは?

     藤本隆宏氏の定義するものづくり:人工物に託して、設計情報=付加価値を創造し、転写し、発信し、お客様に至る流れを作り、顧客満足を得ること。ものづくりの組織能力は=その企業特有の「設計情報の流しか方のうまさ」である。

     競争力は多層的に把握(製造業の実力と競争力):まず能力構築から「現場=体を鍛える」トヨタ流、まず利益構想から「本社=頭を使う」欧米流

     環境要因:①ものづくりの組織能力:他社が簡単に真似できない現場に出来ることのレベル→問題解決、改善、ジャストインタイム、フレキシブル生産 ②裏の競争力:お客様から見えない現場の実力を測る指標:生産性、コスト、開発リードタイム、生産リードタイム、開発生産性、③表の競争力:お客様が評価する製品の実力を測る指標:価格、性能、納期、ブランド、市場シェア、お客様の満足度、広告の効果④収益力:全体の儲け、株価

     受注(受託)ソフトウェア開発の流れ;ウォーターホール型の開発モデル、プロトタイプ型の開発モデルがある。

     現場を強くする戦略を考える場合に、組織能力と相性が良い分野であるかを確認して、修正を加え、現場競争力を確保する。アーキテクチャ(設計思想)との相性が必要。

     製品アーキテクチャの基本タイプ:摺り合わせ型(インテグラル型)と組み合わせ型(モジュラー型)、それぞれ、クローズド(囲い込み)とオープン(業界標準)のマトリックスがある。クローズド・インテグラルには、自動車、オートバイ、ゲームソフトなど、オープンモジュラーには、パソコン、ソフトウェア、インターネット、新金融商品、自転車、クローズド・モジュラーには、メインフレーム、工作機械、レゴなどがある。

     ソフトウェアのアーキテクチャ:モジュラー型:一部のパソコンOS、インテグラル型:組み込みソフト、ゲームソフト受注ソフトウェア→ソフトウェアの歴史はモジュラー化の歴史である。個人の能力に依存し、分割不可能な塊から、再利用可能なソフトウェア部品の組み合わせという方向に向かっているが、各社が作ったソフトウェア部品を組み合わせれば、ソフトウェア製品が出来るというほどモジュラーかはしていない。モジュラー化が進んでいるのは、パソコンOSなどのパッケージソフト。

     市場規模の現状:情報サービス産業の売上高は平成19年で、合計11兆円程度(経済産業省:特定サービス産業動態統計)

 

3)S社の場合を考える

     アーキテクチャと組織能力の「相性」がある。①摺りあわせ型アーキテクチャのソフトは、戦後日本企業が得意とした「現場の統合力」と相性が良い→安定したチーム、多能的技術者、重量級PM

・ S社と相性の良いアーキテクチャは?→受注ソフトウェア(摺り合わせ型アーキテクチャのソフトウェア)か。

     S社は電卓から始まった。S社のPOSターミナル開発の歴史や液晶を軸としたビジネスソリューション事業の説明があった。

     ビジネスソリューション事業には、流通市場、パブリック市場、オフィス市場、ファクトリー市場などがある。

     流通系業務ソリューション、新店舗ソリューションのシステムイメージの説明があった。

     将来は、お客様、働く人、地球環境にやさしいお店づくりのトータルソリューションまでの時代が来るのではないか。

     S社の現状、課題解決、トラブル事例ついて説明があった。

 

※ソフト開発のトラブル事例、課題解決策など討議した。


報告者:殿村サブリーダー

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