1.研究内容
1-1.発表者 笹倉 靖生 会員
1-2.テーマ 超廉価車・超小型車の商品力と今後の課題について
1-2-1.主な内容
はじめに
超廉価車として、インドTata自動車、日産のULC構想などが話題をにぎわせている。
このような超廉価車は本当に作れるのか? 超廉価車、超小型車は国際商品として使用・品質・価格を満足するのか?
超小型車のとるべき道を考えてみた。
1)廉価車構想の過去
・日本の小型自動車は、1947年の「軽自動車の規格制定」に始まった。軽自動車の規格は1955年「360cc」、1976年「550cc」、
1990年「660cc」に改定された。車検制度は1973年に制定されている
・1955年の国民車構想が呼び水になり、軽四輪車は市場の規格を変え、規格変更が新型車を生み、「走り」は小型車並みになった
・欧州では、シトロエン、ルノー、フィアットが自動車普及の黎明期に国民の足を提供し、現在も小型車両として存続する
2)小型車の仕様
・国内の車両区分は、道路運送車両法、道路交通法、税法で定義される
・日本の車両区分は、重量・排気量・寸法で決まるが、欧米では重量・排気量である
・超廉価車のTata Nanoは2,750ドル、日産ULCは2,500ドルの予定であり、軽自動車100万円、トヨタ・IQ140万円、ダイムラー・スマートK135万円より超廉価である
3)自動車の原価構造と超低価格車実現の可能性
・製造原価の単体材料比率は55~70%であり、材料費が安くないと車は安くならない。開発費は「他社ユニット・部品の流用」
「専用開発品の最小化」で低減できる。労務費は4~8%で、低賃金国にシフトしても大きなメリットにならない
・VE的な視点で、商品企画で安全性の削減、デザイン簡素化、小型化、装備品なしなどを考慮し低価格仕様とし、設計面では、
部品点数削減、材料・部品の変更、部品共通化などでコストを削減し、製造面で、旧式設備の活用、低賃金国の活用、検査基準の緩和など、コストダウンの要素は数多くある
・コストダウンで超廉価車は作れるが、最大の課題は「グローバル商品として法規適合性や商品性などの市場適合性を見切る」
ことができるかである
4)市場適合課題
・日本は安全基準・燃費基準・排気ガス・騒音規制・車検制度のすべてに厳しい法規制がある。欧州は日本に次いで厳しいが、
米国には車検制度はなく、インドはすべての規制がない。中国は欧米に準拠している。
・安全基準では、マーチ、ビッツなどの国内小型車は北米向けには安全使用の強化が必要である。安全対策を強化すると重量が増加し、排気量の増加が必要になり、それを繰り返せば小型車の大きさの限界が見えてくる
・スマートK、トヨタIQは超小型車であるが、グローバル仕様に適合しており、超廉価車ではない
・市場は国により異なるが、規格・法規に守られた日本の軽四輪車と米国の国民性に支えられた大型車に二極分化するであろう
5)超廉価車の将来
・超廉価車は、グローバル市場への適合性を放棄すれば達成は可能である。一方、輸送効率を見るとペットボトルのお茶(重量
単価0.34円/g、容積単価0.34円/cc)より低廉価車(重量単価0.43円/g、容積単価0.04円/cc)の方が輸送効率は悪く、輸送できる
グローバル商品ではない。この点からも超廉価車はローカル商品の域を出ない
・法規制、市場適合性を保証すれば、国内四輪車以上のサイズが必要になる。また、超廉価車は安く作るために、ある程度の生産量が必要で、市場規模の拡大が不可欠になる。国民所得の向上と超廉価車は矛盾する要素を含んである
・グローバル商品を生産する大手自動車メーカーは、ローカル商品でしかない超廉価車にビジネスのプライオリティをおく必然性は全くない。グローバル商品としての小型車の廉価版に取り組んでいくと思われる
・暴露シナリオは、化学物質の製造や使用、その化学物質が使われた製品が廃棄された際に、化学物質の放出や排出、漏えいの量
を人の健康や環境に悪影響を及ぼさないレベルに管理する措置方法の提案である。
6)超小型車の課題と展望
・クルマの価格については、ライフサイクルコストを考えなければならない。燃費、維持費は車購入の初期費用よりはるかに高く
車両価格は高くても、生涯費用の安い方を選択するであろう
スマートKやトヨタIQのような超小型車は、日欧(米)の賢い消費者をターゲットにした商品になる
・燃費問題=廃棄問題=環境問題であり、いずれ個別規制値の強化が行われ、さらに総量規制も粗野に入れておくべきである
ハイブリッド・カーは当面の環境対策には有効であるが、重量が大きく排気量が大きいという問題がある。
現状では軽四輪車が環境には一番やさしいのではないであろうか
7)最後に
・モノづくりにとって、超廉価車は楽しく、興味のある話題である
・講師は長年の経験から、広い視野と見識で超廉価車に対する考えを報告された。参加者一同、今まで考えなかったことや偏った
先入観があった点など勉強させられる点が多かった
報告者:小山リーダー
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