1.研究内容

1-1.発表者 谷口 糺 会員

1-2.テーマ A社生産革新の原点

1-2-1.主な内容                    

はじめに

A社の生産革新について、当事者として、具体的な内容で価値あるシステムを紹介された。

A社は3回の危機を乗り越えてきた。その危機のたびに生産革新が行われて業績を伸ばしてきた。1948年が第1の生産革新である。第2の生産革新は1976年に始まり、1997年までである。第3の生産革新は1998年から始まった生産革新で、2006年、2007年に池田会員が発表している。これら改革の中で、第2の生産革新が生産革新の原点になっており、革新の企業風土が醸成された。

1)第1の革新

戦後、工場閉鎖・会社解散の危機を乗り越え、第1の生産革新で近代化を目指し、制定委員会が発足した。製品図・工程図・

ゲージ・自工具・考査の導入・検査具部品の統一規格化、交差記入の開始を行った。

2)第2の革新

①目標の設定

・製品の欠陥による失敗で第2の危機が起こった。この失敗の教訓を生かし、生産革新に結び付けたのが、第2の革新である。

・「目標を3年で日本の優良会社になり、続く3年で世界に優良企業になろう」の優良企業構想を打ち出し、開発・生産・販売の

3つのシステムを構築した。

 ②生産システム

・目標・基本方式の設定を行い、すでに取り入れていたトヨタの生産方式をさらに推進した。

・本社に推進組織を設置し、工場ライン組織を変更した。

・生産システムの制度設計で、ベストなQCD9つのムダ排除、評価方法(金額で評価)の確立を行った。

・方針の摺り合わせとして、工場長・部長、課長、職場長(3/月の生産性向上)それぞれの階層に厳しい目標を設定した。

9つのムダ(仕掛(仕掛と廃却の減)、不良、設備、管理(間接人員減)、設計(VE,人材(省力)、動作(Pfと標準工数)、

 立上り(量試費用と立上り時原価差)を金額で評価できるようにした。

③生産システムの具体的施策

HIT生産方式は、必要なものを、いる時に、いるだけ作る平準化で、後工程取引方式でミドルマネジメントが管理する。

 監督者はPAC(効率的な仕事のやり方)、作業者はワークガイド(能力の発揮による課業の達成)で効率化を推進した。

・シグナル方式で、個別生産を対象にした「見える管理」、TSS(止めて・すぐ・処置をとる)により、円滑な生産を行えるよう

 にした。

QAフローチャートで、品質をできるだけ前工程で保証していくための計画書で品質を管理した。

・自動化系列化は、機能別ユニット化、一方向組み立て、位置決め基準穴設定、パーツフィーダーで供給しやすい形状、部品精度の向上を取り入れることで推進できた。

・均質化・波及の手段として、ドクターシステム(幹部の現場視察)、キャッチボール作戦(全社横断的職種別会議)などを採用

し、定着化に努めた。

・活動から生まれた手法では、相互分析助言方式、課別損益制度、不良朝市、などがある。

・表彰制度、生産システム賞で、優良職場賞は海外研修旅行が与えられる。

 改善提案は、提案上位者が社長表彰される。協力工場QA賞で、協力工場表彰制度がある。

・歯止めとして、標準化・規程化、教育、改善提案システムの施策が行われ、革新が継続されるようにした。

5)第3の生産革新

76年~78年、生産システムの仕組みづくり、見える管理と体制作り

79年~84年、活動の導入・定着、決めたことを守る体制作り

85年~93年、間接部門展開、完全生産体制の人づくり

85年~93年、グローバル展開、活動のグローバル化。

94年~98年、新生産システムの展開、「柔軟・機敏」「全体最適・全体効率」に対応した生産システム作り

6)第3の生産革新

1998年から現在まで続いている。

・ムダどり・マジメ・TSS・セル生産等、ネット調達システム、生産の自動化・ミニFAなどの施策が行われた。

・コスト削減の推進を行っている。

 第1段階、セル生産方式の導入、

 第2段階、3次元CADの導入、試作なし

 第3段階、内製化(実装の内製化に多額の投資)、外注集中化(外注先3分の1に削減)

 第4段階、設備の自動化(自動化による省力化の推進)

7)最後に

・第2の生産革新が、革新マインドを醸成する出発点となった。風土が革新に向かった。

・危機意識が高く、革新への抵抗勢力がシステムの成果で、自信につながっていった。

・「30年前にこのようなシステムを構築し、企業風土を革新に向けて醸成していったのは素晴らしい」参加者全員の驚きであった。

 現在でも、このようなシステムができていない企業が多い。特に中小企業は「当たり前のことを当たり前にできる」革新の風土

 を醸成していくことが、現在でも求められている。

・現在でも生き続けている価値のあるシステムである。


報告者:小山リーダー

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