1.研究内容
1-1.発表者 小山 武夫 会員
1-2.テーマ 「技術ブランド戦略」
1.技術がもたらすインパクト
・技術の革新性はグローバルな社会での成功要因になる。環境や通信のインフラ技術が社会の豊かさを創出しており、企業は技術を通して価値の伝達が必要になってきている。
・新しい四十の創造と新しい事業の創造が重要で、「品質が良い」が製品の成功の保証ではなくなってきている。
・ビジネスモデルを開発するために、他社や他の事業部の資源活用が必要で、そのために自社の技術資源を分かり易く表現し、社内外からの技術の活用を容易にすることが必要になる。
2.日本企業の技術と戦略
・日本企業はもの(課題)が先行しており、「品質とコストパフォーマンス」が主となっている。
・日本企業は今後の技術、製品について、目利きが高かったが、この10年この点も怪しくなり、ものづくりの分担化で日本企業が強かった現場感覚も少なくなってきた。
・擦り合わせ技術(自動車・家電など)が日本企業の強みであったが、トヨタに代表されるように擦り合わせ技術は限界で、組み合わせ(PCなど)技術の標準化が必要になってきている。
3.技術とイノベーションマネジメント
・日本のマーケティング・プロセスは、市場と技術の新規性が低い「差別化」で品質と特性の競争が主となる。一方、市場と技術の新規性が高い「複雑性」は市場と技術の共進性が必要になり、1企業での技術と市場の開発は難しい。
・1990~2009年のヒット商品ベストスリーを見てみると、「差別化」またはそれ以下であり、新規性は乏しい。
・経営者は技術と市場のマッチングを行い、技術への理解が必要である。日本は企業単位のクローズ・システムであり、巨大研究資金は続かず、大規模技術開発は経験不足である。一方、米国は社会全般で、大きな人的、知的資源があり、それを活用している。
4.技術戦略の構図
・技術環境は、「要素技術」「技術マップ」「テクノロジーセット」「コアテクノロジー」「技術ブランド」の階層になっている。
・プラットフォーム・テクノロジーは、「要素技術」「技術マップ」「テクノロジーセット」に対応し、中長期的視野で技術を考え、製品化の可能性を重視する。一方、「コアテクノロジー」は短期的な視点で技術を見て、製品としての成功を重視する。
5.技術ブランド戦略
・技術ブランドは、「その企業の技術が周囲からどのように見られているか」が重要である。
・「企業が描く理想像」「企業の現状」「周囲の人が作り上げるイメージ」が三位一体のなること。理想像、実態、イメージの
ギャップをなくすこと。企業の理想像を明確にし、企業の現状を把握し、コアテクノロジ-を設定、技術ブランドを構築する。
6.技術ブランド構築を目指した具体的プロセス
・テクノ・リソース・マネジメントのプロセスは、「目的明確化」「事業の棚卸」「技術の棚卸」「内部資源分析・技術マップ作成」「コアテクノロジーの設定」「外部環境分析」「ありたい姿分析」である。
・「目的明確化」は、「既存戦略・計画の把握」「経営ビジョンの把握」「事業・製品ビジョンの把握」「技術ビジョンの把握」である。
・「事業の棚卸」は、「事業の体系化」「重点事業の設定」である。
・「技術の棚卸」は、「既存の技術体系の調査・整理」「棚卸方針の設定」「技術者へのヒアリング」「要素技術分解(技術体系作成)」である。
・「内部資源分析・技術マップ作成」は、「技術資源の調査」「重点要素技術の設定」「技術リソース・データベースの作成」「テクノロジーセットの設定手順」である。
・「コアテクノロジーの設定」は、「ヒューマンリソース基準のコアテクノロジーの設定」「リソース基準のコアテクノロジーの設定」「コアテクノロジーの設定」「市場性の視点からの検証」「収益性の視点からの検証」である。
・「外部環境分析」は、「社会動向分析」「製品動向分析」「技術動向分析」である。
・「ありたい姿分析」は、「既存戦略・計画の把握」「経営ビジョンの把握」「事業・製品ビジョンの把握」「技術ビジョンの把握」である。
7.最後に
・技術ブランドとは、「企業が持つ技術資源を、トップからそれぞれの技術者だけでなく、マーケッターや営業マン、そして市場
関係者や顧客までの間で、多面的に捉え、共通の認識を作り上げることにより生まれるものである」
・大企業では、テクノ・リソース・マネジメントのプロセスを用いて技術ブランド構築に向けて検討している。
・中小企業ではテクノ・リソース・マネジメントのプロセスのどの項目が重要であるか、項目を絞ったプロセスを作り上げるのは
有効であろう。
報告者:小山リーダー
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