1.研究内容
1-1.発表者 小山 武夫会員
1-2.テーマ「現場力を高める人づくり」
1)現場力が強化できない疑問
・2009年10月の例会で現場力が強化できない最大の原因は、「行き過ぎた短期的・数値重視の経営手法」に問題があったのではないかとの意見が多くあった。「行き過ぎた効率軸」「米国型経営の誤った導入」[短期数値重視]などの弊害が大きく出たとの意見であった。
・これを確認するために、日米の人事制度の比較を行い、成果主義について見直してみた。
2)日本と米国の人事制度の比較
・米国でも人事評価は、成績、情意、能力で行っており、日本と大差はない。ただ、米国は各従業員の職務基準書が整備されており、職務内容と当期の具体的目標が明確になっており、日本より客観性は高い。(日本でも大手企業は目標管理をより精度の高いものにしている企業もある)
・組織目標と人的資源の開発と活用の整合性が高く、組織内の責任の大きさや能力に基づく等級制度になっている。
・このことから市場の流動性が高く、組織業績管理と同様にPM(Personal Management)も重要になる。
3)日本の人事制度
・1960年代後半から経営環境の厳しさから、[年功型]から[能力主義管理]が導入され、職能資格制度がほとんどの企業で採用された。低成長時代に入ると、「技術革新のスピード化」「価格対応力など経験が必ずしも生きない能力の必要性が増加」「能力と賃金のギャップが拡大」などにより、他の制度も併用しないと人件費の抑制できないことになった。(リストラで人件費を抑制するのが通常の企業)そこで「成果主義」が登場する。
4)成果主義
・成果主義は、[人件費の抑制]「人事管理策の1つの手段」となり、「目標管理制度」と連動させることにより、企業業績と連動させようとする企業が増加してきた。
・成果主義は、企業により差が大きいが、「人事管理と仕事管理の整合性が高まる」「中高年齢層の賃金カーブを寝かせる」「高齢者活用の道を開く」「賃金決定要素とした財務管理指標を活用」などの効果がある。
・「成果主義は課長、部長以上の管理職が対象」で一般職にまで広げにくい。したがって、2つの基準が必要になってくる。
・問題点として、「賃金を下げることが目的」「客観的で公正な運用が望めない」「目標を低く設定し成果を高くしがち」
「リストラの道具として使われる」などがある。
5)バランススコアカードの活用
・成果主義では、経営戦略と部門の目標と個人の目標に整合性が重要であり、この整合性を高めるためにバランススコアカードの考えを取り入れた目標管理が有効である。
・バランススコアカードの構築は、[ビジョン作成]→「SWOT分析」→[戦略マップの作成]→「重要成功要因の設定」→
→「業績評価指標の設定」→「目標とアクションプランの作成」→「実績と結果の評価」の手順で行い、PDCAのサイクルを回していく。この個人目標が目標管理の個人目標と整合性のあることが重要である。
6)目標管理
・ 経営者の期待する目標管理の効果は、「経営戦略の行動化」「目標方針の徹底」「自主性を発揮した風土の形成」である。
・目標管理の効果は、「人事部門は「公正な処遇の実現」「能力開発・伸長」、管理職は「マネジメントのシステム化」「管理職のマネジメント向上」、一般職は「自己の能力向上」「組織への貢献」である。
・目標管理を効果的にするためには、管理職と一般職のコミュニケーションを増加させることが不可欠であり、管理職はこの点での負担が増大する。
・目標管理は、[前提事項の確認]→「組織目標の設定」→[個人目標の設定]→「達成プロセスの管理」→「達成結果の評価」の手順で行い、各ステップで上司との面接により、状況を確認していく。
・達成結果の評価は、[達成結果を評価]→「評価の視点の確認(難易度、努力度、達成度)」→[評価事実の収集]→「面接」→「自己評価」→「管理者評価のフィードバック」→「合意作りとまとめ」の手順で行っていく。
7)競争に打ち勝つ人づくり
・良い人材は、良い人材を採用し、育成し、評価し、人財として活用することである。
・そのためには戦略にマッチした的確な目標管理を行い、公平な評価化を行っていくことである。この点から、管理職の役割と責任は従来にも増して大きくなっている。
8)最後に
・「経営戦略から個人の目標管理を考える」ことは従来から強く言われてきているが、全体から個人への落とし込みが難しく、なかなか実行できないと思われていた。しかし、大手企業ではこの方式をシステム化し、実行に移している企業がいくつか出てきており、効果が上がっているという。
中小企業においても、目標管理を取入れて「社長の思い」を具体化する効率的な方法を採用していく必要がある。
報告者:小山リーダー
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