1.研究内容
1-1.発表者 殿村 順一 会員
1-2.テーマ 「排出権取引と東京都GHG検証」(東京都のGHG検証経過を踏まえて)
1‐2-3 内容
(1)地球温暖化
・化石燃料の使用は、温室効果ガス( GHG:Green
House Gas )による地球全体の平均気温の上昇を招く。温室効果ガスの役割は、①太陽熱を地表で吸収②地表面から赤外線として熱が放射 ③温室効果ガスが熱を吸収→下向きに放射 ④地表面・下層大気を加熱する。GHGがないと、地球の平均気温が-18度Cに低下する。
(2)IPCC 気候変動に関する政府間パネルでは、2度以内に気温上昇を抑えるためには、先進国が2020年に90年比25%~40%削減が必要と指摘
(3)世界のCO2排出量
・2006年 世界の排出量:273億トン、2008年排出量:295億トン→2008年の温室効果ガス:産業革命前に比べ、二酸化炭素:1.38倍、メタン:2.57倍、一酸化二窒素:1.19倍
・2010年:世界のCO2排出量は過去最高→前年比5.9%増の334億トン:中国が10.4%増、インドが9.4%増
特に新興国で増えた!! ワースト5:中国、米国、インド、ロシア、日本、5か国で全世界の排出量の半分以上
+ブラジル、ドイツ、カナダ、メキシコ、イラン、ワースト10か国:世界全体の排出量は3分の2
(4)京都議定書と京都メカニズム:先進国の削減義務:1990年比2008~2012の排出量:日本:▲6%、EU:▲8%、米国:▲7%、ロシア:0%、オーストラリア:+10%
・排出権取引制度→CDM(Clean
Development Mechanism ):先進国が途上国で実施するGHG削減プロジェクト→先進国(付属書Ⅰ国)の資金や技術支援により、開発途上国(非付属書Ⅰ国)で温室効果ガスの排出削減などにつながる事業を実施。その事業により生じる削減量の全部または一部に相当する量を先進国が排出枠として獲得し、先進国が削減目標の達成に利用することができる制度、計画的森林によるCO2吸収を削減量として認可
JI:先進国同士で実施するGHG削減プロジェクト
(5)さまざまな制度:自主参加型国内排出権取引制度(JVET) 単独工場・事業場だけでなく、複数の工場・事業場をまとめたグループ単位でもグループ参加者として参加可能制度の参加者は、「排出量取引の国内統合市場の試行的実施」における試行排出量取引スキームの参加者となる。
①「カーボンオフセット」とは?(環境省2008.2我が国におけるカーボンオフセットの在り方について)
・・・1.自ら活動する場所で出しているGHGを把握(見える化、自分ごと化)、2.自助努力で排出削減(自助努力)3.自助努力で出来なかった部分は排出権(クレジット)を買う 4.違う場所で削減PJを行い不足部分を賄う(買う、埋め合わせする)
(オフセット=埋め合わせ)
※ カーボンオフセットの類型:1.オフィスビル等の自己の経済活動のオフセット、2.イベント等を開催したときの排出量のオフセット、3.商品・サービス提供に関連して排出される温室効果ガスのオフセット
(カーボン・オフセット認証制度)平成21年4月30日設立:気候変動対策認証センター
②「オフセット・クレジット(J-VER)制度」2008年11月に創設:「オフセット・クレジット(J-VER)」プロジェクトとして認証を受け、クレジットが発行される制度:カーボン・オフセットに用いる温室効果ガスの排出削減量・吸収量を、信頼性のあるものとするため、国内の排出削減活動や森林整備によって生じた排出削減・吸収量を認証する制度
・カーボン・オフセットに用いられるVER
(Verified Emission Reduction)の(J-VER)制度に基づいた妥当性確認・検証等を受ける。
③カーボン・ニュートラル認証制度:
2011年9月を創設:カーボン・ニュートラル認証基準
カーボン・ニュートラル:カーボン・オフセットを更に深化させ、事業者等の事業活動等から排出される温室効果ガス排出総量の全部を他の場所での排出削減・吸収量でオフセット(埋め合わせ)する取組み
④国内クレジット制度 (経済産業省)京都議定書目標達成計画において規定されている京都議定書期間の自主行動計画の目標達成手段として実施(平成20年3月28日閣議決定)・・・大企業等による技術・資金等の提供を通じて、中小企業等が行った温室効果ガス排出削減量を認証し、自主行動計画や試行排出量取引スキームの目標達成等のために活用できる制度(平成20年10月に政府全体の取組みとして開始)
・中小企業のみならず、農林(森林バイオマス)、民生部門(業務その他、家庭)、運輸部門等における排出削減も広く対象
(6)東京都温室効果ガス「総量削減義務と排出量取引制度」東京都環境確保条例の改正 平成20年6月25日
・対象:GHGの排出量が原油換算で年間 1500KL以上の事業所が対象
・対象ガス:特定温室効果ガス(燃料・熱・電気の使用に伴って排出されるCO2)
・第一計画期間:2010~2014年度、第二計画期間:2015~2019年度、削減義務開始:2010年4月(2015年度は整理期間であり、2016.3月が履行期限) ・削減義務率:8%(オフィスビル等)~6%(工場等)
・指定地球温暖化対策事業所:前年度のエネルギー使用量が原油換算で1,500KL以上(義務)毎年度、計画書を提出・公表する義務・組織体制を整備する義務、削減義務以上に自主的・主体的に削減する目標を設定する義務、統括管理者、技術管理者の選任義務など
・特定地球温暖化対策事業所:3ヵ年連続してエネルギー使用量が原油換算で1,500KL以上(義務)⇒上記+排出量の削減義務
(第一計画期間)2010年度~2014年度:履行手段①自らの事業所で削減対策を実施(自らで削減)②他社が実施した削減対策による削減量取得、排出量取引 2011.4~取引開始)②-1超過削減量:他の削減義務事業所が義務量を超えて削減した量 ②-2都内中小クレジット:都内中小規模事業所が省エネ等により削減した量、②-3都外クレジット:都外大規模事業所における削減量②-4再エネクレジット:再生可能エネルギーの環境価値(グリーン電力証書など)、
・削減義務未達成の場合:措置命令⇒義務不足量×最大1.3倍の削減、 ・措置命令違反:罰金 上限50万円
⇒知事が代わって命令不足量を調達し、その費用を違反者に請求、違反事実の公表
・検証業務の流れ: 燃料等使用量に対する検証方式の選択→
概要把握→検証業務を行う人員の編成→利害相反の回避の確認→事業所範囲確定→検証の実施(検証先事業所により行われた排出量の算定が「算定ガイドライン」に従っているか。「特定温室効果ガス排出量検証チェックリスト」②
算定や集計の結果が適切であるか。「排出量検証実施報告書」で第三者の立場でチェック、判断する。
・燃料等使用量の把握方法の検証:燃料等の種類、供給会社等、把握方法、計量器の種類、検定等の有無、都市ガスメータ種及び「単位」が実態に即しているかについて検証、「根拠資料」欄に検証に用いた資料、確認手段等を記入する
・全数検証方式とサンプリング検証方式
(7)排出量取引制度概要
・排出量取引:「他者が実施した削減対策による削減量」をやり取りすること。
・実績排出量が、排出上限量を超えている場合は、他から削減量を取得して義務を達成できる。
・実績排出量が、排出上限量を下回っている場合は、義務を達成して、なおかつ他へ削減量を移転できる。
・実績排出量-取得した「削減量」+移転した「削減量」を排出上限量以下とすること
・自らで削減する他、排出量取引により義務を達成できる。
・クレジット等:排出量取引で他へ移転(売却、無償譲渡)したり、他から取得(購入、無償譲受)することができる超過削減量及びオフセットクレジットを言う。(2010年の実績を2011年度に検証し、削減量を認定する量を2011年度から発行可能)
超過削減量 ②都内中小クレジット③再エネクレジット(環境価値保有量、その他削減量(グリーン電力証書等)④都外クレジット
・クレジットの有効期限:第一計画期間(2010~2014)の超過削減量及びオフセットクレジットは第二計画期間(2015~2019)終了までバンキングが可能(第三計画期間2020~2024)へのバンキングは出来ない。
・排出量取引は、当事者間で行なうことが基本、取引円滑化のため、オンライン上で価格の見積をえられる「見積支援システム」を2011年度に開始予定、その中で取引参加希望者のリストを公表予定
・取引価格:基本的考え方・・・取引価格は、当事者同士の交渉・合意により決定される。(都は制約しない)
・都によるオフセットクレジットの販売(都は太陽エネルギーバンクを元とするグリーンエネルギー証書を発行、中小規模事業所省エネ促進・クレジット創出PJにより都へ譲渡される都内中小クレジット)
・削減量口座簿:取引の記録を管理する仕組みを構築、都が整備して、事業者の申請により管理する。取引可能クレジットの発行、事業者のクレジット管理、クレジットの受け渡し、削減義務履行への活用などを口座簿上で行なう。
・対象事業者と排出量取引参加者はこの口座を開設する必要がある。 以上
報告者:殿村SL
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