1.研究内容
1-1.発表者 太田 芳雄 会員
1-2.テーマ:「リスクマネジメントとBCP(事業継続計画) 」
1-2-3. 内容
(1)
はじめに
・ 2011年3月11日の東北大震災で、リスクマネジメントとBCPの必要性が高くなった。
・リスクは、 リスク=発生頻度×結果の重大性 で考える。
事業継続の視点からは、[地震・津波]のように結果の重大性が高いリスクに目が行きがちであるが、結果の重大性は
低くても発生頻度の高いものにも注目していかなければならない。
(2) BCPの狙いについて
・
BCPは、緊急事態が発生した時、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能にするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画
・
復旧期間が早ければ、他社の復旧していない需要を取り込むことができる、復旧が遅ければ顧客を失う
・
東日本大震災後のアンケートで、
BCP策定状況は、策定済48%、策定中17%、予定なし27%、わからない10%、無回答1%
自社BCPの評価、十分機能した7%、概ね機能したが一部問題があった78%、ほとんど機能しなかった15%
事業継続の今後の取り組みでは、SCM再構築、社員安否システムの確認システム、システムの防災対策が40%の企業から
課題としてあげられている
(3)リスクへの対処とBCP の作成
・
リスクへの対処は、①ともかくリスクから逃げよう、②どうせ起きるかどうかわからないから無視しよう
③誰かの対処を見てから決めよう、④リスクを見極め、未来志向の積極的な行動を!
多くは、①と②が多い。④を行うには経営者の意思と企業の余裕度が必要になる
・危機管理体制は、本部長(社長)、副本部長(総務部長) のもとに、製造、購買、資材、設備の各責任者(委員)から成る
・想定するリスクを検討し、特定する。継続すべき中核事業を特定し、その復旧時間を設定する
継続事業は、①復旧しないと主要顧客に迷惑がかかる、②損害賠償が発生する、③取引中止になる、の順で検討する
・アクションプランは初動プラン、復旧プラン、復興プランを作成する
・有事の際の所要資金の確保も重要である。売掛金管理、不渡り防止、買掛金・給与の支払い、復旧資金を確保する
・中小企業のリスクマネジメントは、リスクを自分で特性し、その重大性を認識、リスクに備える。誰も教えてくれない
(4)BCP事例
(4-1)A社
・機械加工メーカー、自動車部品(売上10%)・衣料品機器部品加工、従業員30人
・自動車メーカーの要請でBCPを作成
・組織が持つハザードを特定し、対策用具チェックリストを作成した
・設備を見直し安全対策を施し、緊急用品の手配を行った。緊急用品は、80%調達した
(4-2)S社
・鹿島製鉄所、従業員3,200名(関係会社約8千名)
・3月11日、震度6弱、658ガル(阪神大震災時 神鋼神戸600ガル)、地震持続時間約2分半(阪神大震災の約7倍)、津波5m
・被害、製造設備はすべて停止、ガスホルダー2基炎上火災、配管多数破損、鹿島共同火力液状化など、損害1千億円
・地震発生14:46、16:20災害対策本部(本社と各所)に設置、19:30鹿島製鉄所構内の全員の無事を確認
3/12、10:00鹿島製鉄所の全体復旧計画作成、夕刻から復旧作業を開始する
・鹿島製作所は、5月末に通常稼働水準に復帰
高炉は、3/20復帰、製鋼4/3、熱延(薄板)4/12など
・当事者意識が高く、驚異的な短期間で復旧した
日ごろから頻度多く訓練を実施していた
(5)最近の化学物質及び可燃性ガス事故等について
・最近事故が多発している
5/19印刷会社の胆管がん発症7人死亡、5/24魚沼市トンネル内4人死亡事故、5/17水道水ホルムアルデヒドによる汚染等
・GHS(Global Harmonized Symbol)に基づくラベルで、化学物質の安全性表示の義務化で、人の健康及び環境にもたらす
悪影響を最小化する方法で、2020年までに達成を目指す。2015年EU・米国はGHSに完全移行
・日本では、化学物質の危険有害性が法規制ごとに異なるが、GHS導入で、国際基準に調和して統一できる、混合物の有害性
評価基準を設定できる、化学物質のリスクマネジメントシステムへの活用などが期待される
(6)最後に
・東電の失敗から学ぶクライシス・マネジメント5カ条
①
常に学び、感性を研ぎ澄まして変化せよ、②リーダーこそすべて、③記者会見は正直が一番
④不祥事は風土に寝ざす、⑤平時に備えれば、有事も平時
東電は当事者意識が薄い。電力会社は自分で手を下すことが少なく(ほとんどがメーカーや下請け任せ)特殊意識が強い
この5カ条にあることを実行できる企業は、リスクマネジメントも優れている
以上
報告者:小山L
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