1.研究内容

1-1.発表者 久保 聰 会員   テーマ 「植物工場に関する調査と事業計画 その1    

1-2.内容

 植物工場に興味を持ち、企業化の可能性を探るべく調査を行ったが、事業計画を立てるまでには至らなかった。

(1)外部環境

①政治、法規制

・規制強化として、広がる食中国事件などにより、農薬取締法、食品衛生法で農薬の残留基準が厳しくなった。

・規制緩和として、2009年から農業生産法人以外の一般企業による農地リース方式が全国で可能になった。

②経済

・景気の長期的な低迷及び下落に加えて、TPPで安価な農産物が国内に流入してくることが懸念される。

③社会

・農産物消費量は人口に比例するため、少子高齢化での人口減少が問題になる。

・健康・安全志向が強くなり、食品の安全性を高めることがますます必要になる。但し、経済性、簡便化志向も高い。

・食料・資源エネルギーの供給は、環境対策が不可欠であり、貧困・格差問題とも深くかかわってくる。

④技術

・農業の従来の技術革新テーマは、水稲、小麦、大豆、飼料米(イネ)に限られ、植物工場などは民間主導である。

・情報技術への農業の活用は、経営管理や経理面に限られているが、今後は栽培計画・管理について活用する必要がある。

⑤市場

・農作物の2010年の生産量は、イモ類が対2007年比107.9%、野菜が同107.6%と増加したが、他は米が同86.7%、

麦同64.1%、など減少しており、果実は同99.2%になっている。

(2)植物工場の見学(柏の葉キャンパス 農水省植物工場プロジェクトの敷地内)

①コンソーシアム

・敷地:17.5 ha (柏の葉キャンパス駅に隣接、月1回程度の見学会があり、それに2回参加した)

・合計床面積:13,350 m2 、太陽光型5棟、人工光型2棟、研修施設、育苗施設、選果・出荷施設、廃棄物処理施設

・参加企業約60社、JA全農、JT、誠和、大仙などの農業関連企業、パナソニック、など電気機器メーカー、丸紅など商社、。

・太陽光型5棟は、全てトマトの栽培、室内は無菌保持のため見せてもらえない。外から、中の様子は解る。

C1「統合環境制御による生産性向上」コンソーシアム:リーダー誠和、ロックウールで背の高いトマトの栽培。

C2「トマト長段密植栽培(スプレイシステムハウス)」コンソーシアム:トマトの栽培。

C3「次世代型トマト生産システム」コンソーシアム:リーダーJA全農、背の低い密集型トマトの栽培。

C4「減農薬多収型1段移動・高密度栽培」コンソーシアム:トマトの栽培。

C5「Dトレイ・低段密植栽培」コンソーシアム:トマトの栽培。

C6「低コスト未来型人口公利用植物工場」コンソーシアム:2,000株/日のレタスの栽培。

 (3)今後の環境

①顧客

・「健康になる安全な食品を手ごろな価格で手間をかけずに食べたい」という一般消費者の要望に対応するために、栄養的要素、

 嗜好的要素、生体調整機能、安全性、流通特性、加工特性など野菜に求められる要素は多い。

②競合

2005年度、約200万戸の販売農家(面積30a以上または年間の農産物販売金額5お万円以上)のうち、売上1,000万円以上は、

 わずか7%の14万戸。植物工場の参入は、このレベルを狙う必要がある。

③内部環境

・開発力として、植物栽培の基礎研究力、製品開発力、ネットワーク形成などの情報収集力が必要である。

・生産力として、規模を含めた製造力、生産管理・製造ノウハウの生産技術力、品質保証力が必要である。

・販売力として、顧客ニーズへの対応などの企画提案力、販売ネットワークを形成できる営業力、顧客サポート力が必要である。

・経営力として、経営能力、競争力、収益力は不可欠である。

4)今後について

 調査は、まだ始めたばかりであり、さらに検討を続けていきたい。

植物工場は、調べれば調べるほど、幅広い分野であることが分かってきた。今後は企業化の焦点を絞れるような調査・検討を

していく予定である。近いうちに、具体的な計画に結び付けたい。                                      以上

以上
報告者:小山L

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