1.研究内容

1-1.発表者  太田芳雄 会員 

 
1-2.テーマ 「中小企業者への環境関連法規制の理解の高め方」

1-3. 内 容 

  
(1)  環境関連に関する知識・情報について
環境関連を扱っている法規制は、ざっと100件以上はある。しかし、それらを網羅的に扱っている文献は少ない。
発表者の太田会員は、ISO審査において企業側も審査員側にも知識不足があり、問題であると感じていた。そこで、今回、重要な法律を47件抽出し、それらの内容を広く一般に提供しようと著作活動を進めている。今回の発表はそれらのエキスを提供している。
なお、参考文献は【「ISO環境法クイックガイド2011」ISO環境法研究会編集、第一法規発行 平成23年3月30日】である。
環境関連に関する法的知識を広く一般に提供するには、[簡易・平易に]「法規制を内容別に体系化して理解する」「専門用語に注釈を加える」「コラムを入れて、法規制との関連を知る」「重要ポイントに下線を入れる」「該当法規の特定と順守確認について」「一冊でとりあえず間に合うように」のポイントに留意することが重要である。
地球環境時代の環境経営にとり、最も大切なことはトップの認識である。しかし、今日の企業経営において無関心であり、企業経営に取り入れていない場合が多い。環境関連法規では、企業の責任は無過失損害賠償責任と扱われており、故意・過失がなくても損害賠償の責任を負う。
一方で、環境問題はリスクであると同時に大きなチャンスでもある。
 
(2)  企業における環境配慮のメリット
省エネルギ―等によるコスト削減が挙げられる。ちゃんとした取り組みであれば100万円以上のコスト削減ができる。
国際競争力について差別化をはかる点では、今後益々重要になることを十全に認識すべきである。
 
(3)  環境関連リスク
企業における環境リスクは、業種によってリスク度合はことなる。しかし、環境にまったく無関係な企業はない。と認識すべきである。
 
(4)  環境関連ビジネス
環境関連ビジネスは四つに分類できる。エネルギー分野、廃棄物処理・リサイクル分野、水・土壌・大気分野、
エコグッズ・エコ素材・エコ製品・環境サービス分野になる。
 
環境関連課題は、持続可能性に関する三つの側面、環境・経済・社会として扱われる。つまり、ジレンマではなく
トリレンマの課題である。
例えば、化石資源の代表格の石油を取り上げると、有限である天然資源であり、可採年数は42年(2008)である。
この石油をエネルギー源として使い続け、不足し始めると「コストの掛かるもの」「純度の悪いもの」を使う様になる。
化学製品原料が不足することは、単なるエネルギー問題だけでは片づけられないのである。
(5)環境紛争
環境・エネルギーの問題は、世界的全体最適の課題として扱わなくてはならないという。
現在の世界的枠組みのままであると、先進国と開発途上国間の環境に問題を根ざす軋轢が増し、「環境紛争」に発展する懸念が世界的に内在していることを十分認識すべきである。
特に、アジアのリスクは高い。中国の環境問題は深刻であるが、インドの環境は中国以上に深刻である。
 
 
(6)環境関連法規
環境保全のための各種政策手法は、三つに分類される。その三つは、規制的手法(環境基準や達成目標を法令等で規制あるいは努力義務を明示)、経済的手法(税金・補助金・デポジオット制;経済的インセンティブを与え、市場メカニズムを通じて効率的に政策的目標を達成しようとする手法、例えば、排出量取引等:義務的排出量取引制度)、自主的方法(団体・事業者が一定目標を設けて対策を自主的に実施する手法)である。
日本の経済団体の自主的活動は世界的にも稀有な取り組みで、評価できる。
 
環境関連法規は、環境基本法が基本の法規で、そこから47の法・規則・規格にわかれる。細部まで含めると100は超えるといわれる。
PRTR制度[ Pollutant Release and Transfer Register ]とは、人の健康や生態系に有害なおそれのある化学物質について、事業所からの環境(大気、水、土壌)への排出量及び廃棄物に含まれての事業所外 への移動量を、事業者が自ら把握し国に対して届け出るとともに、国は届出データや推計に基づき、排出量・移動量を集計し、公表する制度です。平成13年4月から実施されている。届出の対象化学物質は第一種、第二種を合わせて562種ある。
先ほどの法規制と合わせると同じ物質で二つ以上の法律で規制されるものもある。
太田会員はその562種に関して関係する法律を一覧できる表を作成した。
このような背景から、環境関連にすべて満足して対応することは、大手企業でも難しいと考えられる。そもそも、これだけの法律を全て把握できている人材を確保することは中小企業では不可能である。
太田会員は更に、業種別の法規順守評価表を提案されている。また、中小企業が利用可能な節電・省エネ関連補助金も一覧で整理されている。これにより中小企業の環境問題への啓蒙を図っていこうとしている。
 
法律で規制される施設はいわゆるNIMBYといわれる施設で、充分に検討することが不可欠である。
NIMBY(ニンビー)とは、“Not In My Back Yard”(自分の裏庭には来ないで)の略で、「施設の必要性は認めるが、自らの居住地域には建てないでくれ」と主張する住民たちや、その態度を指す語。日本語では、これらの施設について「忌避施設」「迷惑施設」 「嫌悪施設」などと呼称される。(ウイキペディアより)
 
(7)コラム
太田氏の執筆予定の本の中にコラムを入れる予定であり、そのいくつかが紹介された。
①東日本大震災に伴う災害廃棄物処理
 東日本大震災で過去に例のない約2,981万トンの災害廃棄物及び津波堆積物の処理が必要になった。25年3月時点で
岩手県49%、宮城県65%、福島県40%の処理状況で、26年3月迄に処理可能が見込まれている。
②ゴミの不法投棄
ごみの不法投棄は、22年度3,215件と多く、罰則が強化されているが、廃棄物処理法違反の中でもっとも頻度が多い。
③江戸時代のリサイクル等の仕組み
 資源(瀬戸物を焼き直す焼継屋、金物修理の鋳掛屋、着物、紙など)のリサイクルは江戸時代から行われており、当時から省資源の意識が高かったことが分かる。
④消防法改正に伴う地下タンクの改修
 ガソリン流失事故を受けて、地下彫像タンクの流失防止策が強化された。2013年2月が改造期限で、廃業するガソリンスタンドが増加している。過疎地などで問題になる可能性が高い。
                                                                          以上


報告者:小山L

2013年度研究会実績に戻る