1.研究内容
1-1.発表者 竹村 一太 会員 :
1-2.テーマ 「中小製造業:思いのマネジメント」
1‐3 内容
「今日では、『知識』だけが意味ある資源である」という命題について、今日、異論を唱える者はいないだろう。
むしろ、ドラッカーがこの命題を提唱したのが、今からたかだか20年前(1993年)の出来事であったということのほうが驚きだ。そして、この提唱から、知識について、私たちの理解が急速に進んだ。
1996年には、野中郁次郎が、知識を「個人の信念が真実へと正当化されるダイナミックな社会的プロセス」と定義した。知識創造に、個人の「思い」がきわめて重要な役割を果たすということだ。
「思い」は、個人的な直接経験(成功体験や失敗体験、出会いなど)を通じて内面的に形成される暗黙知(思考スキル)だ。この個人的な「思い」が対話などを通じて表出化、概念化されて、ビジョンやコンセプトが形成され、他者と共有化される。このビジョンやコンセプトがコアとなり、他の形式知と連結され、経営計画や製品仕様などへと具体化される。具体化された経営計画を実行に移したり、製品を市場に投入したりすることにより、現実からフィードバックを受ける。このフィードバックを内面化して新たな暗黙知が形成され、知識創造プロセスがスパイラルアップしていく。このように、知識とは、「正当化された真なる信念」である。企業経営にも、個人の「思い」がきわめて重要な役割を果たす。
われわれ中小企業診断士が中小製造業の支援を行うときにも「思い」が重要になる。なぜならば、「思い」は存在を規定するからだ。「思い」は、「かくなりたい」という理想像であり、「何が正しいのか」という問いに答えるための絶対的価値基準となる。「思い」に「共感」できていなければ、経営者の進みたい方向、その中小製造業の経営のあるべき方向を見失う。
オーナーである社長の「思い」は、中小製造業の経営にきわめて大きな影響を及ぼす。従って、われわれ中小企業
診断士が中小製造業の経営支援を行う際には、まず、経営者の「思い」に「共感」することが極めて重要である。
社長の「思い」に「共感」し、社長もそれを感じとってくれているならば、経営支援は極めて円滑に進む。
「思い」に共感するためには、“What?”“Why?”という問いかけが必要になる。これは、きわめて非日常的な
プロセスである。社長も中小企業診断士も、日常的に、“What?”“Why?”という問いかけをすることは少ない。
「いかに売り上げを伸ばすべきか?」「いかにコストダウンをするべきか?」。
日常的には、“How?”という問いかけばかりを行っている。しかし、“How?”という問いかけからは「思い」の本質は明らかにならない。“What?”“Why?”という問いかけが重要になる。
経営者の思いに「共感」しよう。それが、われわれ中小企業診断士にとって、経営支援の出発点になる。社長と
以上
報告者:小山L
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