1.研究内容
1-1.発表者 殿村 順一 会員
1-2.テーマ 「建設業の現状と課題」他
1-2.内容
1.建設業の現状 (2013 建設業ハンドブック 一般社団法人 日本建設業連合会 発行による:ネットでPDFがダウンロード可能)
・建設投資と許可業者数の推移:2,012年度の建設投資額はピーク時(92年度84兆円)の53%(44.9兆円)
・許可業者数はピーク時(99年度:60.1万社)の78%(2012年度:47万社)…建設投資額が約50%になっても許可業者数は約20%減少しているだけなので厳しい競争にさらされている。建設業は資本金1億円以下が約99%の中小・零細企業が多い。
・2011年度の売上高経常利益率は建設業全体で1.6%、資本金1億未満の中小企業では0.8%と極めて低い業界である。
・建設業の倒産の推移:2000年がピークで6,214件、2012年度は3,002件で半減している。(中小企業金融円滑化法と大震災後の復旧、復興工事の本格化により、歯止めがかかっている)
・建設業就業者数の推移:2012年度は503万人でピーク時(97年度:685万人)の73%
となっている。就業者の高齢化で55歳以上が18.2%となっている。
・年間労働時間は2105時間(2012年度)で全産業1808時間を大幅に上回っている。
・就業者に占める女性の比率は13.9%で全産業42.3%を大幅に下回っている。ただし、大手建設業では「ドボジョ」などと呼ばれる技術職が約20年で3.7%(1997年は1.7%)と大幅に増加した。大成建設では現場で働く女性は10年前0人だったが現在75人
となっている。
・技能労働者が不足で関東での不足率=約3%(国交省建設労働需給調査結果)→人手不足で仕事が取れない状況になっている。
・労務費の上昇と円安に伴う輸入資材の値上がりで発注ベースで2011年3月期から23%上昇
(野村不動産社長談2013.12.16日経)
・労務単価:2014.2月から7.1%(被災3県では8.4%)引き上げ(国交省1/30)2014.2.1日経(昨年4月にも15.1%引き上げていた)
それでも技能工不足で工事に支障をきたしている。(復興工事、築地移転事業などで不調が続く)
・中小建設業では相変わらず3K職場であり新卒が採用できない。
2.
建設業の外部環境:東京オリンピックに向けての都市整備事業
、東日本大震災後の東北地方の復興事業 、国土強靭化計画:国土強靭化計画による公共事業の増加 (国土強靭化基本法成立+「南海トラフ地震対策特別措置法」+「首都直下地震対策特別措置法」2013.12.4成立
)→老朽化した高速道路などでは大規模修繕、大規模更新等の検討
・耐震改修促進法2013.11/25施行⇒ホテル、旅館、病院、商業施設、学校等(
対象は13,351棟:耐震診断3割以上未実施)2015年末までに耐震診断実施、結果の公表義務⇒補助は診断1/2、改修1/3
・首都高は約6300億円の更新計画発表( 平成25年12月25日)対象区間は計約63km1号羽田線の大規模更新(2014年度)に着手、10年程度をめど
・景気回復、駈込み需要によるビル、マンションの建設
・リニア中央新幹線計画: JR東海計画⇒2027年に東京~名古屋で先行開業、2045年に大阪まで延伸する。
・建設業に関しては期間限定の緊急措置として、外国人の受け入れ拡大を前倒しで実施する方針
3.建設業の特徴:建設工事の特性 ・・・単品受注生産、契約時点で工事目的物が存在しない、現地生産(品質管理に工夫が必要)、規模・内容によっては環境に及ぼす影響が大
、不可視部分が多く不良であっても発見が困難、不良品と判明しても取り替えは著しく困難
4.公共施設の特徴
:不特定多数の国民が長期にわたり活用、一般に施設規模が大きく、工事段階及び管理
、段階において環境への影響が大きい、施設のライフサイクルにわたる長期間の品質
確保が必要、公的機関によって公的資金を主たる財源で整備
5.建設業の許可制度:①建設業の許可(建設業法3条)
:建設工事を他人から請け負うには、原則として建設業の 許可が必要
*許可が不要な軽微な建設工事:建築一式工事以外の工事: 請負金額が消費税込で
500万円未満の工事
建築一式工事: 請負金額が消費税込で1500万円未満の工事、延べ面積が150m2未満の木造住宅の工事
*公共工事を受注する場合は、必ず建設業の許可 を受けていることが必要
6.許可行政庁(大臣許可と知事許可):国土交通大臣許可:2つ以上の都道府県に
営業所が存在する場合
都道府県知事許可:1つの都道府県内だけに営業所が存在する場合
( 営業所とは、本店又は支店若しくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいう)
7.有効期間と許可の区分:有効期間と許可の区分:建設業の許可は5年間有効、5年ごとに更新が必要
・許可の区分(一般建設業と特定建設業):許可を受けようとする業種ごとに、一般建設業又は特定建設業の許可を受ける。どちらの許可も発注者から直接請け負う請負金額には制限はない。特定建設業は、発注者から直接請け負う1件の建設工事につき、下請代金の額が(※)3,000万円以上
(建築工事業は4,500万円以上)となる下請け契約を締結することができる。
(※)工事全体で全ての下請業者に出す工事金額の合計
8.経営事項審査の概要(設業法に規定する審査):公共工事を発注者から直接請負おうとする建設業者は、その経営に関する客観的事項について審査(経営事項審査)を受けなければならない。*経営事項審査は、経営状況及び経営規模等(経営規模、技術的能力、その他の客観的事項)について数値による評価を行う。
9.経営事項評価点数の算定:
経営事項評価点数(P)=0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15W
X1:完成工事高(業種別)
X2:自己資本額、利払前税引前償却前利益 Y:経営状況、Z:技術職員数(業種別)元請完成工事高(業種別)W:その他の審査項目
(社会性等)
※経営状況(負債、収益性・効率性、財務健全性等)、社会性等(
労働福祉、営業継続、防災協定、法令遵守、建設業経理、研究開発、建設機械保有、ISO9001、ISO14001認証)
10.入札参加者の選定方式:①一般競争入札・・・
一般競争入札参加資格を認定され、一定の経営事項評価点や同種工事の施工実績を持つ企業が参加可能
② 条件付き一般競争入札・・・一般競争入札参加資格の認定以外に、「等級」、「施工実績」、「地域要件(営業拠点)」等の条件を満足する企業
は誰でも参加可能
③ 指名競争入札(通常指名、工事希望型等)指名回数、施工実績、地域要件等を考慮し、上位10社程度を指名し、競争入札を実施
11.落札者決定方式
: ① 総合評価方式・・・価格と価格以外を総合的に評価し落札者を決定、価格以外を数値化
*総合評価の種類⇒高度技術提案型、標準型、簡易型、特別簡易型
② 価格競争方式・・・価格のみの競争
、最も安価の企業が落札
これは、公共工事の品質確保の促進に関する法律(平成17年3月31日法律第18号):*公共工事の品質は、価格と品質が総合的に優れた内容の契約がなされることにより、確保されなければならない。発注者は、競争参加者の技術的能力(工事の経験、施工状況の評価、配置予定技術者の経験等)を審査しなければならない。(公共工事の品質確保の促進に関する施策を総合的に推進するための基本的な方針について(平成17年8月26日閣議決定))
以上の法律により、技術提案次第では、価格が高くても良い提案や技術力で受注できるが、建設業はすべての工事に対応するには経営資源が少なく技術提案には負担が多く厳しい状況である。
報告者 殿村SL
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