1.研究内容

1-1.発表者 小山 武夫 会員       テーマ「食品包装の技術と品質管理」 

1-2.内容

(1)食品包装の設計

・食品包装の欠陥で商品を回収したケースは、2013年で20件以上あり、包装の不具合(破れなどで商品が露出など)も、

回収のうち3割程度発生している。

・透明な食品包装材料は、1960年代までセロファンだけであったが、1970年代からプラスチック材料の進歩により、

 プラスチックフィルムがフレキシブル包装に使われ、飛躍的に使用量が拡大した。

・ポリエチレン・ポリプロピレンフィルムは、透明で、軽い、安いという利点と、ヒートシールで簡単に袋に成形できる

ことで、包装資材として17千億円(包装資材は約6兆円の市場で紙製品が25千億円でトップ)の市場がある。

 ・包装フィルムに要求される機能は、保護性、作業性、安全衛生性、便利性、環境適合性、商品性、経済性と多様であり

  顧客ニーズを正確に把握し、使用環境に適した包装設計をする必要がある。

(2)食品包装の包装技術

・食品包装に要求される機能は、「食品の変質防止」「内容物の保護」「内容物の表示」「環境に適した包装」である。

・食品の賞味の変質要因は、「水分の減少(水分が10%減少で変質)」「酸化」「香りの喪失」「食感の変化」

「微生物の繁殖」であり、これを防ぐために「機能性包装(バリア性、遮断性、耐熱性、など)」が用いられる。

・食品包装技法には、真空包装、ガス置換包装、脱酸素剤封入包装、酸素吸収性包装、鮮度保持包装、アクティブ(無菌)

 包装、冷凍食品包装、乾燥食品包装、レトルト食品包装、飲料・液体食品包装など、多様である。

(3)食品包装用の材料

・汎用プラスチックの代表は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)で安価で軽く、ヒートシールが容易にできる。

PEフィルムは、低温特性がよく、LLDPEは冷凍食品などに使われている。

PPフィルムは、PEより耐熱性がよく、耐油性も良いことから、米菓などにも用いられる。

PETフィルムは、機械的強度が高く、寸法安定性がよいので、ICカードなどに使われている。

・ナイロンフィルムは、強度が高く、ガス透過性が低いことでバリア包装に用いられる。

・フィルムに機能を付与する方法として、機能の異なるプラスチックを共押出する共押出フィルムと数種類のフィルム

 を貼り合せるラミネーションがある。

(4)保護性包装技法

・バリア性の包装は、LLDPE,OPP,など基材フィルムとEVOH、ナイロン、PETなどのバリアフィルムの多層パウチが主で

ある。

・レトルト食品の殺菌は、120℃、4分間で行い、ONY/CPPPET/アルミ箔/CPPなどの多層フィルムが使われている。

・包装袋のなかにある酸素を酸素吸収剤で除去するアクティブバリア包装は、フィルムにエージレス(還元鉄)を混ぜた

 層を入れた多層フィルムが開発されている。

・電子レンジには、誘電損失が少ないPEPPが使用できる。オーブンは、180℃以上の高温適性が必要で、PETが主にも

用いられている。

(5)消費期限と賞味期限

 ・消費期限は、「微生物数106/g到達点が期限」という定量的基準がある。

 ・賞味期限は、食品の種類で「かなり曖昧」であり、通常の食品は賞味期限の150%~200%で食することができる。

(6)包装袋の表示

・環境問題に関係して、「カーボンフットプリント(包装食品を製造するに要したエネルギーの炭酸ガス換算量)」の

表示が増えてきている。

 ・「カーボンオフセット」は、包装商品の使用から廃棄までで排出される炭酸ガス相当を別な場所・プロジェクトで

  埋め合わせ(オフセット)する活動である。

(7)環境に適した包装

 ①イージーピ-ルオープン

 ・ビン詰・缶詰などのリジッド包装、プラチック容器のセミリジッド、包装フィルムを用いたフレキシブル(軟包装)

  各包装形態に応じたイージーピ-ルオープンが使用されている。

 ・最近でも、スマートカット(富士特殊紙業)、バナナオープン(共同印刷)などが開発されている。

 ②バイオプラスチック

 ・バイオプラスチックは、植物由来の原料を用いるもので、トウモロコシ等の澱粉を原料にしたポリ乳酸が主である。

 ③リサイクル

 ・プラスチック廃棄物は、プラスチック生産量の75%に達するが、未利用で完全に廃棄物になるのは生産量の17%程度で

(熱回収も含む)である。

(8)今後の食品包装技術

 ①Save Food と食品保存技術

 ・無菌及び無菌化包装技術の拡大、食品のロングライフ化、グローバル包装

 ②食品の超高圧処理

 ・酵素や酵母の働きを抑える食品安定性、穀類・豆類の吸水性を高める

 ③チルド、および、冷凍・解凍技術の進歩

 ・鮮度保持技術、長時間保存

  

以上
報告者:小山L

2013年度研究会実績に戻る