1.研究内容

1-1.発表者 新井 一成 会員

1-2.テーマ サービスの視点から考える ものづくりの価値

1-3.内容

  外的価値と内的価値

 製造業のバリューチェーン(商品企画→研究開発→生産・加工・組立→販売→保守・サービス)の付加価値を考えると、両端が高く(商品企画、保守・サービス)、中央(生産・加工・組立)が低い、いわゆるスマイルカーブになると言われる。

 バリューチェーンの両端を「顧客」と結び円形に書き換えてみると、顧客接点に近く、顧客が直接価値を認識できる部分の付加価値が高く、顧客接点から遠い部分の付加価値が低い、ということになる。顧客に認知されやすい部分の価値を

「外的価値」、顧客接点から遠いが、商品をつくりだすために必要な価値を「内的価値」と呼ぶことにする。

 課題: (1) 外的価値を高めること。 (2) 内的価値をアピールすること

  お客様は何を買っているのか?

) 3種類の価値

交換価値: モノやサービスの対価として支払われる経済的価値

使用価値: モノやサービスを実際に使用(適用)したときに、使用者が得る価値(経済的価値だけとは限らない)

文脈価値: モノやサービスの使用(適用)と、使用者の置かれた状況から生じる(現象的)価値

イ)  お客様が買うのは全て「サービス」であると発想してみる

サービス・ドミナント・ロジックの考え方

サービスには「モノを伴うサービス」と「モノを伴わないサービス」がある。

ここでの、サービスの定義:

 他者または自者の便益のために、行動やプロセス、パフォーマンスを通じて、
 自らの能力(知識やスキル)を活用すること

この考え方は「使用価値」や「文脈価値」の向上につながる。

  サービスの視点で考える価値づくり

ア)  外的価値を高める

モノの機能・性能ではなく、「サービス」に着目して使用価値や文脈価値を高める。

 事例: ランニングシューズ(アシックス、ナイキ)、iPhoneApple

価値は顧客が使用するときに生まれる→「顧客は価値共創者である」

共創価値を高める方法としては、(1)商品に価値を埋め込む、(2)価値共創を支援する、方法がある。

 事例: 医療機器(GE)、ネットスーパー(ピーポッド)、靴のイージーオーダー(宮城興産)、

     洋菓子オーブン(七洋製作所)、文書保管(キーペックス)、成形機・造管機(英田エンジニアリング)

イ)  内的価値の外部化「魅せる化」

内的価値をアピールするために、新たな顧客接点を作る→内的価値の「魅せる化」

 事例: 小型電子機器製造業(オータックス)、コンピュータ制御機器(フルハートジャパン)、

     精密加工機器(ディスコ)

ウ)  価値のフィードバック

顧客のところで生み出された価値を商品企画にフィードバックする必要がある。

 事例: 医療機器(テルモ)、建設機械(コマツ)

  議論

 スマイルカーブは実は逆(中央が高い)と考えるべきではないか?

 医薬品のエーザイでは、1年間の就業時間の1%を患者と過ごすことを義務付け、フィードバックを得ている。

 「顧客が価値を共創する」という考え方は野中郁次郎のSECIプロセスの「内面化(I)」の考え方に似ている。

 

 


報告者:新井会員

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