1.研究内容
1-1.テーマ 「日本のウォータビジネスの業界と技術の現状」 報告者:井村 章夫 会員
1-2.内容
[報告趣旨]:本邦の水道技術は、世界TOPクラスの技術です。
これは、江戸時代の上水技術を基盤に、明治維新以後、英国から導入した水道技術を不断の努力で改善した結果です。
・ただし、その技術は官庁である「水道局」が握っています。運用面で官庁の非効率さや規制による技術革新への阻害が
考えられ、しかも、技術を商品として輸出できにくい面もあります。
・今回は、その技術の概要、官庁での運用状況、それを踏まえての効率化(民営化等)への取り組み、技術を商品化する
企業(大企業、中小企業)の取り組みの事例を紹介します。
・本邦の水道技術が、外貨を稼ぐ手段になり、且つ世界の人々の生活向上に役立って欲しいと思います。
そして中小企業のビジネスチャンスにも繋がって欲しいと思います。
1‐2-1 本邦の水道技術
江戸時代からの本邦の水道技術の蓄積を踏まえ、明治維新以後、世界有数の優れた水道技術を有するに至った本邦では
あるが、技術の担い手が官庁で、技術の商品化やその波及活動や効率的な改善活動は、限定的であった。
しかし要素技術は優れ、世界的な競争力がある浄水・脱塩機能のある膜技術(電気透析、逆浸透膜)、装置技術を示した。
2‐2‐2 水処理剤について
本邦で開発された上水用の水処理剤(凝集剤等)の特徴説明をした。有機系、無機系の凝集剤があるが、本邦で開発されたアルミ系のポリ塩化アルミ(PAC)が、ほとんどの浄水場で使用されている。
2‐2‐3 地方公共団体の水道の事例
首都圏の埼玉県、地方の秋田県の水道事業の運営体制を説明した。工業用水と上水が全く別の部署で運営されている場合
や同一の部署で一元的に運営されている場合、市町村に移管の場合、PFIで民間企業へ委託している場合を例示した。
2‐2‐4 官民の連携について
民営化への段階的手順を示し、運営委託(第三者委託)、設計施工から運営の一貫委託(PFI)、完全民営化の事例を示した。
2‐2‐5 民間企業のウォータービジネスの現状
地球上の限りある水資源に対し、需要の急増を例示し、途上国の逼迫した飲料水の実態を例示した。その上で、世界の水市場での水メジャー(英仏の水男爵企業)を詳細説明した。それに対し、本邦の商社系の上水供給事業の企業を例示し、また、関連事業として、ボトルウォーター事業、浄水場運営電子システム企業、浄水場設計解析企業を例示し、本邦のあり方の方向性を考えた。
2‐2‐6 中小企業のウォータビジネスへの取り組み事例
アジアで飲料水提供のBOP事業を展開する中小企業事例を紹介し、ビデオで補足説明した。
2-3.質疑応答、コメント
Q1. ウォータビジネスはミネラルウォータ(ボトルウォータ)事業が主体ではないのか?
A.1.確かにボトルウォータ事業もビジネスではあるが、水事業の基本は、世界における上水供給事業と考える。
Q2.凝集剤は、大分子量による分子間引力のみならず、帯電による電気的引力をも活用するのではないか?
A2. 電気的メカニズムの詳細は不明であるが、コロイド状の不純物粒子が帯電する可能性はあり、電気的引力の効果もある
と推定される。
報告者:小山L