1.研究内容

1-1.報告者:殿村 順一会員

1-3.ーマ 「事故、失敗、原因分析と労働安全衛生マネジメントシステム」

1-3.内容

(1)  最初にISOの最新の状況ISO9001,14001規格改定の主旨とスケジュールについて説明があった。ISO9001 14001 ともに今年2015年9月に改正され、ISOが発行される予定である。JIS化は12月頃の予定。労働安全衛生マネジメントシステムもISO45001として2016年には発行予定である。労働安全衛生についてはISOILOが協力関係について合意書を締結した。

・今回の改定の特徴は「Annex SL」という共通テキストを使用して①規格の上位構造②共通テキスト③共通の用語と定義が各規格で共通化されたことである。また、事業とQMSなどを統合することを求めている。共通の構造、共通のテキスト、共通用語について説明があった。

・リスクアセスメントまでは要求していないが、リスクの考え方を導入している。予防処置という用語は無くなるが、規格全体が予防、リスクを考慮したものなで、組織はそれを踏まえて構築する必要がある。

・計画の要求事項では、①組織及びその状況の理解と②利害関係者のニーズ、期待を考慮してQMSなどの計画を策定することを要求している。今後はより、経営に近い仕組みになることが期待される。

(2)産業別事故発生状況

・全産業における労働災害発生状況について説明があった。昭和47年に労働安全衛生法が制定された後は、急勾配で事故が減っていることが分かる。その後、減少傾向が少なくなり、厚労省は平成11年に「労働安全衛生マネジメントシステムに関わる指針」を告示53号として策定した。マネジメントシステムで事故を減らしたいという意向がある。

・建設業の死亡災害は全産業の約33%となっている。製造業は死亡災害は少ないが全数は多い。建設業の3大災害は、①墜落・転落災害、②建設機械・クレーン等災害、③倒壊・崩壊災害である。製造業は①挟まれ、巻き込まれ②墜落・転落③倒壊・崩壊災害が多い。

・全産業の強度率、度数率、労働損失日数について説明があった。農業、林業やサービス業も災害が多いことが分かる。

(3)  事故、失敗、原因分析

・建設業、林業、運送業、製造業など5つの事故事例の原因分析、再発防止対策の説明があった。厚労省のホームページには、事故分類、原因と対策が掲示されている。また、業種毎のリスクアセスメントが簡単に出来るようになっているので利用価値があるとの紹介があった。ハインリッヒ、Birdの研究にあるように、ヒアリ・ハットをどのように活用するかが課題である。また、機械設計は本質安全、制御安全を考える必要がある。

(4)  労働安全マネジメントシステム(OHSAS18001):この規格の要点の説明があった。

・この規格は来年からISO45001となるので、あと一年間利用される。

・この規格にはPDCA、継続的改善、コミットメント、予防の原則の4つがある。

・リスクアセスメントのプロセスには、危険源の特定、リスクアセスメント、管理策の決定プロセスがある。順番に言うと業務活動の分類→危険源の特定→リスクの見積り→リスクが許容可能か否かの決定→リスクコントロール実行計画の作成→実行計画の妥当性の見直しのプロセスがある。

・この規格の考え方の基本原則として「ALARPAs  low as reasonably  practicable」がある。合理的で実現可能な程度に低いレベルまでリスクを低減することを求めている。「リスクが大きすぎて仕事ができない」と「安心して仕事ができる」の間が「ALARP領域」である。合理的で実現可能な範囲で低減しなければならないリスク範囲である。この規格は、腰痛やうつ病など肉体的又は精神的に有害な状態にも適用される。

・方針策定、目的策定、マネジメントレビュー、内部監査、文書管理、記録の要求などは他の規格と同様である。他の規格と違う要求事項を中心に、説明があった。

・リスク低減は優先順位に従って実施しなければならない。優先順位は①除去②代替③工学的な管理策④標識/警告及び/又は管理的な対策⑤個人用保護具の順である。出来るだけ上位の管理策を採用する必要がある。

・法的要求事項では、関連する作業に対する法律、規制、条例などを特定して、守られているか監視することを求めている。

・労働者の参加を求めていることも特徴の一つである。具体的には、危険源の特定、リスクアセスメント及び管理策の決定への適切な関与、発生事象の調査への適切な関与、OH&S方針及び目標の策定及びレビューへの関与、そのOH&Sに影響する何らかの変化が生じた場合の協議やOH&Sの問題に関する代表者の選出などを求めている。

・発生事象の調査もこの規格の特徴である。発生事象を記録し、調査し、分析するための手順を確立し、実施し、維持することを求めている。そして、a)発生事象の発生の原因となっている、また隠れたOH&Sの欠陥及びその他の要因を決定する、b) 是正処置の必要性を明確にする、c)予防処置の機会を明確にする、d)継続的改善の機会を明確にする、e)このような調査の結果を周知するなどを具体的に求めている。調査は、タイムリーに実施しなければならないとしている。

以上、ISO9001,14001にない要求事項を中心に説明があった。                           以上

 

 以上

殿村SL


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