1.研究内容
1-1.報告者:
1-2.テーマ 「経営管理イノベーションの進め方」
1-3.内容
(1)ドラッカーの企業組織
・ドラッカーは、教育の普及で知識社会となり、知識労働者が主体となる組織のマネジメントが重要であると指摘する。
・知識社会の知識ワーカーは、流動的で職業の選択も自由であり、高度に専門分化し、チームとして働く。
・ポスト資本主義社会の企業組織は、専門知識をベースにしたスペシャリストにより形成され、各々が、明確な責任と
意思決定権を持ち、専門分野で能力を最大限発揮することでよりフレキシビリティを持った組織が生まれる。
(2)経営管理の変化と経営管理イノベーションの必要性
・経営環境の急激な変化、グローバル対応での規制緩和、顧客価値でのものづくりの進展、デジタル化・インターネット
の影響などで、ビジネスが大元から変容しており、経営管理でのイノベーションが必要になってきた。
・業務イノベーションは、ITインフラの質がすぐ追いつかれ、アウトソーシングでライバルと同じになる。
・製品イノベーションは、殆どの製品はすぐ模倣され、技術の進歩で新規企業を一気に追い越されることも多い。
・戦略イノベーションの大胆な新しいビジネスモデルもすぐ模倣される。
・経営管理イノベーションは、人材育成が主体となるため、長期的視点が必要で、容易に模倣できない優位を生み出す
比類ない力がある
(3)経営管理イノベーションの競争優位性の事例
①トヨタは、すべての社員の知恵を利用する。社員全員が、効率と品質のたゆみない追及に参加している。
②GEは全米一の多くの特許を出して、科学を管理している。ベンチャーから学べ「ファストワークス」を活用している。
〔コメント〕日本でも社内ベンチャーを奨励する制度は多くの企業にあるが、あまり成功していない。
ベンチャーを推進するリーダーと継続できる資金が不足しているからであろう。
③デュポンの資本の合理的配分法で競争優位を確保している。
④P&Gは、ブランド・マネジメントの正式なアプローチで無形資産を管理している。
⑤VISAは、組織イノベーションで世界有数のユピキタスのブランドを確立し、グローバルなコンソーシアムを形成する。
(4)競争優位を生み出すイノベーションの条件と戦略案
・官僚組織などの長年の正統理論を否定し、全く新しいマネジメント理論を考える。
・戦略案は、すべての社員が最高の力を発揮するように、管理を減らし、自由度を高める。階層も少なくする。
・カイゼンとイノベーションの違いを明確にする。イノベーションはリーダーの役割で未来志向の長期的視点が必要、
リスクも大きい。カイゼンはマネジャーの役割で、現実の堅実性が重要になる。
(5)経営管理イノベーションの実行例
①ホールフーズは、組織の基本単位はチームで、各チームが利益センターとして機能、並外れた自治権を持つ
人々のために、価値を創造することを目指し,ともに働くコミュニティで、世界の食品供給の工業化の流れを反転させ、 人々に、よりよい食べ物を提供する。
②ゴアテックスのビル・ゴア社は、イノベーションを大事にする会社を創る。
想像力と自発性が大きく、好奇心旺盛なエンジニアが自由に資金を投入し、成功に到達するための計画を立てる。
③グーグルは、無秩序に近い経営管理モデルで、これ以上ないほどの薄い階層、横のコミュニケーションの緊密な
ネットワーク、優れたアイデアを出したものには、大きな褒美を与える報奨制度、チーム中心の製品開発手法、
あらゆる社員にユーザーを最優先させる企業信条である。徹底的フラットで、大胆に分権化された組織である。
・イノベーションの公式(70-20-10の法則)で、70%をコアビジネスの強化に、20%はコアビジネスを大きく拡大する
サ-ビスに、10%は市町村の公共Wi-Fiネットワークの設立支援など周辺のアイデアに割り当てる。
〔コメント〕グーグルのような組織は、全員のレベルが高いことが必須の条件で、チームリーダーの力に大きく依存する。
(6)経営管理イノベーションの課題
・「全員が意見を言えるようなアイデアの民主主義を築く」「人間の想像力を拡大する」「企業の中で資源が自由に動ける
方法を考え、資源をダイナミックに再配分する」「多数の人の衆知を集め、集合知を集約する」「古いメンタルモデルの
足かせを最小限にする」「多くの社員が自分の時間の多くの割合を自分の選んだプロジェクトに充てられるような
経営管理システムを築いていかねばならない
(7)経営管理イノベーションを推進するには
・システムの問題を解決するためには、その根本原因を理解し、革命的な目標に取り組み、実験と学習を繰り返す。
・インターネットのようなリアルタイムの分散型ネットワークが好ましい。
〔コメント〕インターネットのような組織は、悪意のある人がいれば、機能せず、すぐ崩壊する。
今、インターネットは、数少ない善意のボランティアで支えられている。いつ崩壊するかの危険がある。
(8)知的労働者のマネジメントは新しい課題
・生産性の測定ができない、定義もできない問う問題点を克服し、従来の慣習はない正しい政策や慣行の発展が期待できる
ため、高学歴の若者や知識労働者のマネジメント、組織、報酬と権限の在り方、すべてを見直していく。
・自分の強み、仕事のやり方、価値観を知り、得るべきところはどこかを知り、果たすべき貢献は何かを考える。
・自分の強みを知る方法は、フィードバック分析が良い。で自分の強みを知る
・フィードバック分析とは、何かをする時、何を期待するか書き留める。1年後、期待したことと実際の結果を照合する。
〔コメント〕東京協会の「致知・野村日記の会(旧5年日記の会)」は、フィードバック分析ができる様式である。
(参考文献)
①
「経営の真髄『上下』(知識社会のマネジメント)」P.F.ドラッカー著、ジョゼフ・A/マチャレロ編、上田敦生訳、
ダイアモンド社、2012年9月21日初刊、
②
「経営の未来(マネジメントをイノベーションせよ)」ゲイリー・ハメル、ビル・ブリーン著、藤井清美訳、
日本経済新聞出版社、2008年2月15日初刊
小山L