1.研究内容
1-1.報告者:
1-2.テーマ 「本邦の地場産業の現状と課題~燕三条を例にとり」
1-3.内容
(1)地場産業とは【地場産業は、地方の地域の雇用を生み出す重要な産業である】
定義:①伝統型地場産業・・・従来産業とも称し、織物、陶器、和紙、漆器、和箪笥などの製造業である。
②近代型地場産業・・・明治、大正期に移植されたメリヤス(ニット)、タオル、マッチ、洋傘、玩具、
自転車、タイルなどの製造業である。
特徴:特定地域に中小零細企業が集中立地しており、生産・販売面で産地固有の社会的分業体制が確立している。
地域独特の「特産品」的消費財を生産し、全国ないし世界にその販売市場を確保している。
労働集約的性格が強く、地元での雇用の維持・拡大に寄与している。
手作業で属人的であるため、容易に他人に真似できないメリットもある。
事例:伝統型:茨城県結城市の紬、石川県輪島市の漆器、埼玉県さいたま市岩槻区の人形、京都の西陣織など
近代型:福井県鯖江市の眼鏡枠、兵庫県豊岡市のかばん、新潟県燕市の金属洋食器、
埼玉県川口市の銑鉄鋳物など
(2)本邦の地場産業の系譜【地場産業の系譜は、勃興→発展→衰退傾向にある】
明治~昭和40年代:地場産業発展の時代
発展の要素
・地場に原材料があった。労働力が豊富で低賃金であった。
・電力が工業化の初期に実用化できた。
・経営環境変化に対応できた。(在来技術の延長として事業転換できた柔軟性があった)
昭和後期(昭和40年代以降):地場産業衰退の時代
衰退の要素
・労働力不足に伴う低賃金基盤の崩壊
・伝統産業における後継者難
・消費構造の変化(使い捨て、低廉志向、多様な嗜好)
・新技術による新素材の出現
・海外市場での新興工業国の追い上げ
江戸時代
信濃川水害に伴う貧困からの脱却のため、新産業として、三条地区はくず鉄再利用による和釘製造を
行った。燕地区は近郊の銅山(間瀬)かわの銅を原料として、銅器(槌起)を製造した。
明治~昭和40年代
三条:作業工具、利器・工匠具等製造
燕 :金属洋食器、金属ハウスウェア
昭和50年代以降
三条:電機、自動車等機械部品加工等へ事業多角化、マグネシウム等の難素材加工技術を開発
燕 :既往分野における競争力強化を図る、従来の地場産業以外の最終消費財関連分野や産業向け分野へ
進出、高級化、デザイン等による差別化
燕・三条地域製造業集積の構造
産地問屋を呼ばれる卸が販売、物流、在庫機能をもつ、しかし中抜きの兆しがある。
受注先業種の多角化や事業転換、製品開発の秘密保持、生産性向上や高品質化への対応力を強化、地域の有力
メーカーは周辺工程の内製化を図る。有力メーカーが、有力小売りへの直販、通販、代理店方式による販売へ
・燕市・三条市の地域の人口と産業の趨勢
出荷額は1992年以降は特に減少しており、人口も漸減している。
・要因
①
市場成熟化(耐久消費財の一巡)
②
ギフト市場での多商品と競合
③
価格低下による金額ベースでの市場縮小(安価な海外品の普及)
従来より、地場産業支援は法的に担保されていた、さらに、支援を強化する方向性である。
・伝統的工芸品産業の振興に関する法律
・地域産業集積活性化法
経済産業省は官公需確保法改正、地域産業集積活性化法を改正
個々の中小企業の自主的活動支援から地方自治体の関与拡大への転換
地域産業集積活性化法の認定事業体以外へも、きめ細かい支援体制が整備されつつある。
(4)
燕三条の企業事例の紹介
一般財団法人燕三条地場産業振興センターによる支援の取り組み事例
企業事例について発表者が訪問された5社の製品、生産形態、強味、生産工程、販路等の説明があった。
井手上SL