1.研究内容

1-1.テーマ 「ものづくりパラダイムシフト到来」

     ~三星電子のものdくりイノベーションに学ぶ 経営者よ 自ら飛び出せ~

1-2.発表者 吉川 良三氏 (東京大学大学院経済学研究科ものづくり経営研究センター特任研究員)

1-3内容 

  1.「TPP後の日本-成長への選択」 ~日本のものづくり産業への警鐘と提言~

   (1)市場・競争・調達・R&Dのグローバル化とデジタルものづくり

     ①国際化(インターナショナリゼーション)とグローバリーゼーションとの違い

       グローバル化には国境がない。

     ②2000年以降の新興国の台頭による新しい市場の創生

     ③競争力とは何か 競争力とは市場で選ばれる力

        選ばれるファクターは多様化している。コストのみではない。IoT,M2M、サイバー

     ④ものづくりのデジタル化によってハイテク製品であっても、どこでも、だれでも簡単に作れるようになった。

     ⑤摺合せ型ものづくりからオープンモジュラー型ものづくりへ

        技術はいづれ真似されてしまう。ノウハウが大切(秘伝のたれ)

     ⑥「ものづくり」と「ものつくり」は違う

       「もの」は構造物ではない。付加価値を生み出す想像力である。

   (2)日本のものづくりはなぜ「茹でガエル」になったのか

     経営者の傲慢   技術者の使い捨て、過剰機能、過剰品質

     技術者の傲慢   技術者の施行の硬直化 自分たちが作ったものは絶対位に真似できないという驕り

     消費者の傲慢   一度買ったら永久に壊れない 不都合があればすべて製造者の責任 

              使いもしない機能を欲しがる

   (3)消費の本質を考えよう

     グローバルに対応したQ(品質)、C(コスト)、D(納期)、S(安全)、E(環境)、F(多様性)

   (4)日本のものづくりの方向性

     グローバルに適応したマーケティング

     グローバルに対応した人材を育成、マネージャーでなくリーダーの育成  

   R&Dを中心としたマザー工場は日本に残す、比較優位に徹する。

 

2.日本のものづくり維新~グローバル市場で選ばれるために~

 (1)競争力・・・従来の日本は大量生産によるコスト優位でモノを売ってきた

     これからは対象生産はダメ、マスカスタマイゼーションに!

     そのためにはどのような生産体制が必要か?→ITの活用

     現代は第4次産業革命期・・・情報通信革命、ICT

      日本の中小企業は大チャンスを迎えている。但し下請けよりの脱皮が必要である。

 (2)日本は単なる六重苦により産業の競争力が失われたのか

     日本はもので稼ぐ力から所得収支(特許料、技術料等)で稼ぐ力へ転換

 (3)ものづくりにおける環境の4大変化

  ①国際化⇔グローバル化  市場、R&D 競争 調達

  ②アナログものづくり⇔デジタルものづくり  入力:設計情報→デジタル化

                        処理:製品開発→IT化

                        出力:製品→モジュール化

  ③グローバル市場の構造変化 新興国へ市場拡大 ファブレス化の進展 潜在商品市場の新興、BOPビジネス開拓

  ④国際的な勢力関係の変化  アジア経済拡大、生産体制の分散、巨大市場成長 企業活動の停滞

 

 

3.新しい「ものづくり」の考え方

  もの:付加価値を生み出す能力 わくわく、ドキドキさせる製品

  

      コモディティー化された製品は垂直分業から水平分業へ移行すべき。

      技術の発展は模倣から始まりリバース・エンジニアリング、フォワード・エンジニアリングと進む。

   現在の中国の戦略は模倣段階。サムソンはリバースエンジニアリングを選択、日本は現在フォワード・エンジニアリングの段階にある。

     リバース・エンジニアリングによる製品開発、製品の構造だけをまめするのではなく、どのような機能から構成されているのかを解きほぐし、再構成して別    の製品を作り出す。

    要求機能と制約条件を確定すれば設計解は必ず存在する。

    要求機能と制約条件が変われば設計解も変わる。

    土俵の縦ずらし・・・例 鍵付き冷蔵庫、ジャガイモが洗える洗濯機

    土俵の横づらし・・・現在の要求機能を手段と考えて上位要求機能を新たに設定する。

              例 デザイン、メッカホン、殺虫剤付エアコン

4.グローバル市場で勝ち抜くために~グローバル競争時代の新しいものづくり~

① ものづくりは「流れ」の全体像をつかむこと

② 消費の本質が多様化している

         設計思想   

     もの→ 要求機能 → 多様化 ←  Q,C、D、E、F、S

         設計情報

      現在のものづくりの在り方を見つめなおすことが必要      b

        ③ グローバル市場での品質の在り方を考えよう。→ 適正品質、適正コスト、品質は価格とのバランスで消費者が決定

        消費とは何か考えよう。→ 消費=ハード(有形の人工物)+ソフト8サービス)=ソリューション

             競争力とは何かを考えよう。競争力は多様化している

       競争力=企業の発信する設計情報の束(製品に託されたメッセージ)が、それぞれの顧客に選ばれる力

       顧客から見えない競争力・・・組織力、深層のパフォーマンス

       顧客から見える競争力・・・・表層のパフォーマンス、収益のパフォーマンス

  4.グローバル時代に中小企業が生きる道

    ① コバンザメ戦略(親の行くところに無条件についていく)

    ② 親を求めて3000里戦略(親を海外に求める)

    ③ お山の大将戦略(自ら親になる)

         秘伝のタレが必要(簡単にまねできない技術=作り方、ノウハウ)

  5.3つの誤解釈

    ① イノベーション(技術革新)→既存の技術を融合させて市場に受け入れられること。

    ② マーケティング(市場調査)→市場創造、市場発掘

    ③ コンプライアンス(法令遵守)→社会の変化に適応する柔軟性(迎合性)

  6.グローバル時代においては人材を早く育成しよう

    リーダー:常に高いところから世界を見渡す大局観が必要

         常に柔軟な発想を心がけよう

         過去の慣習にとらわれるな

     卵の殻は自ら割ってこそ進化することができる。

    今日本が閉塞感に陥っている時、その時こそマネージャーでなく真のリーダーを必要としている    

    マネージャー:物事を円滑に進める人、組織、ルールを忠実に守る

    真のリーダーとは、常に高いところから全体を見渡して(大局観)非難を恐れず変革をしていく人。

            時には、組織・おきてを社会の変化に適応していく改革者。

報告者:井手上SL

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