1.研究内容
1-1.テーマ 「ナノテクノロジー時代は来るのか~異次元世界の到来~
1-2.発表者 小山 武夫 会員
1-2-1.内容
(1)ナノテクノロジー (nanotechnology) は、
‐物質をナノメートル (nm、1 nm = 10-9m)の領域、原子や分子のスケール(100nmより小さなもの)において、自在に制御する
技術のことで、ナノテクと略される。
‐そのようなスケールで新素材を開発したり、そのようなスケールのデバイスを開発するナノテクノロジーは非常に範囲が広く、
半導体素子を分子セルフアセンブリ法という全く新たなアプローチで製造することや、ナノスケールのナノ素材と呼ばれる
新素材を開発することまで様々な技術を含む。
‐全ての原子や化学結合が精密に規定されたマシンの設計・製造を目指すが、いまだに一部の新素材やコンピュータの
プロセッサに応用されている程度の段階である。
‐将来はこの技術によりナノサイズのロボットで治療を行ったり、さらには自己増殖能を持たせて建築に利用することが
できるようになると予想されている。21世紀をかけて大きく発展する分野と考えられている
(2)ナノテクノロジーの歴史
‐1959年12月、アメリカ物理学会でR・P・ファインマンが、「物質を原子レベルの大きさで制御しデバイスとして使う」と報告
‐バイオ・テクノロジーは、1970年代組み換えDNA技術の導入で本当に可能なテクノロジーとして台頭し、細胞内の現象の多くは、
技術者が巨視的なレベルと行っていることと大して変わらないという考えに惹かれるようになる、
‐1981年、ドレクスラーは、分子マシンの可能性を示唆するアイデアを分子工学として発表した、
‐1987年、ドレクスラーは、「創造する機械‐ナノテクノロジー」でナノテクノロジーの用語を紹介、ナノテクノロジー指向の世界に
一台センセーションを巻き起こし、1990年代半ばには一般化した、
‐1992年、「ナノシステム‐分子レベルのマシン、製造、計算」刊行、その内容に、目立った誤りは見つかっていない、
‐2001年、アメリカで「国家ナノテクノロジー戦略」が提言、10億ドルの資金が援助された、
(3)
NNI(国家ナノテクノロジー戦略推進)の技術目標と現状は、
①アメリカ議会図書館にあるすべての情報を、角砂糖の大きさのメモリーに収める。
②計算速度が、今の数百倍にも早くなるコンピュータが生まれ、超小型コンピュータやメモリーが開発される。
(①と②は実用段階にある)
③水や大気からごく微量の環境汚染物質を取り除くプロセスが可能になる。
(日本などで成果が出ている)
④鋼鉄より十倍の強度を持ち、十分の一の軽さの材料が開発され、乗り物に使い、燃費が飛躍的に向上する、
(カーボンナノチューブは、実用化に近いが市場化されず、ナノテクノロジーではないが、性能が近い炭素繊維がある)
⑤従来より高いエネルギー変換効率を持つ太陽電池が生まれ、実用化される。
(この分野の基礎研究が進み、年々変換効率は上昇)。
⑥がん細胞が数個生じた段階で検出が可能になる診断技術が実現される。
(医学分野で、実用化はまだ遠い段階にある)。
⑦-原子や分子レベルから様々な材料や原料を作り出す技術が実現する。
(基礎研究段階である)
(4)ナノテクノロジーの五段階は、全ての原子や化学結合が精密に規定されたマシンの設計・製造を最終目的として、
‐第一段階は、走査プローブ顕微鏡によって、原子レベルの画像を得る、それで原子を動かす。
現状では、原子レベルの画像は、達成されている。ナノ粒子、ナノ素材は、一部市販されている。
‐第二段階は、コンピュータが継続してムーアの法則レベルで処理能力が向上することと、原子レベルで精密な部品を、科学や
分子生物学を利用して作れる分子スケールでの「自己組織化」ができること。
現状は、コンピュータの進歩が限界に来ており、この分野で「量子コンピュータ」などの技術革新が必要になる。
自己組織化は、分子レベルでの分析段階にある。
‐第三段階は、分子のレゴやティンカートイによって、ただきれいなパターンを作るだけでなく、それを機能的なマシンにする。
現状は、「有機EL」「有機太陽電池」で研究が進んでいる。
‐第四段階は、植物のように、単純な分子からティンカー・トイを作れるシステムを構築する。
現状は、「細胞を創る」「細胞を探る」「細胞を超える」「ゲノムを創る」などの基礎研究が行われている。
‐第五段階は、単純な分子から部品を作る技術が一般化する、原子単位から個別に設計・製造する「ナノマシン」が登場する。
現状は、2015年6月東大が、がんを切らずに治療できる「ナノマシン」の開発を発表した。このナノマシン、未来の医療に
大変革を起こす可能性を秘めている。直径わずか50 nmの「ナノマシン」が医療に革命を起こす。
(5)まとめ
ナノテクノロジーは、“夢物語”と思われてきたが、実用化に近づきつつある分野があり、将来技術として、
常に注目しておくべきことである。
以上