1.研究内容

1-1.テーマ 「変革とイノベーションによる企業再生~迷ったら、経営哲学に戻れ、知識創造経営の神髄~}

1-2.発表者 竹村 一太 会員

1-2-1.内容

永続的な企業を生み出すためには、絶え間ない変革(チェンジ)と革新(イノベーション)が必要です。守るものは守り、壊すものは壊し、顧客にとって、社会にとって、新しい価値を生み出し続けなければなりません。

 

1.         変革の緊急度合いと対応策

(1)       予知的変革

 変革が遅れると、ペナルティーを払うことになります。変革には、できるだけ早く着手するべきです。ペナルティーが最も小さくするためには「予知的変革」に取組むことが重要になります。好業績の段階で将来生じる問題を予知し、変革に着手します。

 予知的変革のポイントとなるのは、「いかに人々を安住の地から連れ出すか」ということです。社内の人々は問題点を実感していなく、それゆえに、従前のやり方を変えることに強い抵抗感を感じるからです。そのため、経営者は、「何が緊急課題で、なぜ変革が必要なのか」という認識やビジョンを示し、人々を動かさなければなりません。

 


(2)       対処的変革

 業績が低下してきますと、問題を実感するようになります。そして、この問題に対処するためにの変革が「対処的変革」です。対処的な変革のポイントは、「何からやるのか」という課題を明確にし、それに焦点を当てる(フォーカスする)ことです。

 

(3)       危機的変革

 業績がさらに悪化いたしますと、企業は危機的な問題に直面します。この段階の変革は、徹底したボトムライン・マネジメントになります。コストダウンやリストラクチャリングをいかにスピーディーに行うかがポイントとなります。ビジョンは一切示しません。

 

 

2.         変革のステップ

 変革のステップは以下の通りです。

 

         変革の緊急度合いを調べる

         変革が急務であることを組織で共有する

         経営者からのスポンサーシップ

         適切なリーダーシップチーム

         説得力あるロジック

         変革のビジョン

         実行に向けて人々を動かす

         適切な変革の途を選択する

 

変革が軌道に乗り、「従前のやり方に囚われずに新しいやり方でやってみよう」というように人々の意識が変化すると、イノベーション、すなわち、新しい価値が生み出されてくるようになります。イノベーションを生み出すには、人々のマインドセットを変えることが重要なのです。

 

3.         変革のコンサルテーション

 変革の出発点は、「何が緊急課題なのか」という認識です。しかし、最初から、緊急課題が明確になっているわけではありません。初めは、経営者の頭の中に、言葉にならない「思い」のようなもの(暗黙知)が生じます。このような思いは、経営者自身の直接経験から生まれてきます(共同化)。

 経営コンサルタントの重要な役割のひとつは、経営者の思いを「表出化」することです。経営者との対話を通じて、思いを言葉にしたり、概念化・モデル化しながら、変革コンセプトを明確にしていきます。

 次に、経営コンサルタントは、さまざまな知識やフレームワークなど(形式知)をご提供しながら、それらを「連結化」することにより変革コンセプトを具体化し、ビジョン、事業戦略、事業計画などを策定するお手伝いをいたします。

 経営者は、人々を動かし、ビジョン、戦略、計画を実行に移します。そして、その新しい直接体験から(内面化)、新たに思いが生まれてきます(共同化)。その思いを再び表出化し、ビジョン、戦略、計画などを修正していきます。

 このように、暗黙知と形式知の相互変換プロセスにより、経営者の思いは経営哲学として強化されてきます。

 

 

4.         迷ったら経営哲学に戻れ

 経営哲学とは、「かくなりたい」という理想像や存在意義、「何が正しいのか」という問いに答えるための絶対的価値基準のことです。

経営者は、経営哲学に基づき「変革のビジョンはどうあるべきなのか」、「何を緊急課題として認識するべきなのか」などの経営判断を行います。

 

 

5.         経営コンサルタントの役割

 経営者は孤独です。迷いに迷い、最終的には独りで経営判断を行わなければなりません。

 経営コンサルタントの役割はどのようなものでしょうか。経営者と対話し、経営者の迷いや心の内を理解し、想いの表出化を支援し、また、判断材料となる考え方や情報を提供することなどです。

そして、何よりも支援者に求められるのは、経営者に寄り添うことではないでしょうか。

                                以上
報告者:小山L

2016年度研究会実績に戻る