1.研究内容

1-1.テーマ 元気な中小企業たちに学ぶ

1-2発表者 神谷 俊彦 会員

1-3内容

元気なものづくり企業を独自の視点で選定して、それらのもつ「強み」や「課題」を分析する。

(1)  元気なものづくり企業というのを、中小企業庁が2006年から2009年までの期間に各年に選定した「元気なモノ作り中小企業300社=日本のイノベーションを支えるモノ作り中小企業」として定義した。

その1200社の中で東京都と神奈川県の企業は110社あり、10年後には会社がなくなってしまった5社についてその経緯を調査して問題点をさぐった。

当時中小企業庁は高度な技術を用いて革新的な製品を供給している企業や、国民生活や産業活動に大きな影響を与えている企業として毎年300社を全国からピックアップしていた。そのほとんどの企業は現在でも有名な中小企業であるが、大企業まで成長した企業は見当たらない。一方で消えてしまった企業は5社存在した。
(詳細は添付資料参照のこと)

 

5社の主な破たん理由:過大投資 2社、経営者の高齢化 2社、リーマンショック起因 1社。

3社は民事再生法を申請(いわゆる倒産:2社は技術資産を他社に譲渡、1社は事業再生を果たし現在は黒字化に成功)している。2社は事業全体を友好的に別企業に譲渡している。

 

(2)  神谷が「ものづくり補助金採択事業者」の中からユニークな技術を持つ会社を5社選定して紹介。

【業種と技術】

A社:ユニークな技術に特化した印刷業。普通の印刷業であったが10年前に刷版の条件を試作するだけに特化した

   特殊な業態に転換。周囲が売り上げ減に悩む中、手堅い業績を堅持している。

B社:みためは普通のお米屋さんだが、100年以上前から味のいい古式精米法にこだわりをもち高級ブランド米と

して販売。現在は精米したての味をアメリカ市場にも輸出開始。業績拡大を続けている。

C社:製麺機械の切り刃製作だけに特化した金属加工会社。100年前に鍛冶屋さんからスタートして、今は日本に
おいてこの分野だけで生き残っている会社は他にはない。特殊な形状の麵を開発したい企業からの要請は絶え間なく続いている。海外にも進出。開発スピードが他社より断然短い。

D社:自動車部品製造会社。小さな特殊部品の依頼を質が高く、安価で、短納期に対応している。社長は職人上がり

であるがずっと現場にでて直接指示。30歳で独立した時に工作機械1台からスタートし、20年足らずで23台を

フル稼働する工場にまで育てた。

E社:木工製品製造会社。卒塔婆が主な商品。卒塔婆は1枚の板から加工する商品であるが、形状は多種多様で、
仕上がりにも高い職人技が必要。その割には安価な中国製品との競争にもなり厳しいビジネスである。さらに森林大国日本であるにもかかわらず原材料のモミの木は99%輸入になっている。日本製への信頼は高いが、生産効率化は手を抜ける状況ではない。日本ものづくりの課題が凝縮しているような業界である。

 

 事業が破たんした企業があるとはいえ、独自技術が中小企業にとって重要な要素であることはこの事例でも明白であった。

 とはいえ高い技術力をもつ企業でも、技術の使い方を間違えると経営破たんにもつながる。民事再生法の勉強にもなった。

 


                                                              
  以上
報告者:神谷会員

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