1.研究内容

1-1.報告者 新井 一成 会員

1-2.テーマ 「電気通信業界の最近の動向 ~5Gが目指すものとは~」

1-3.内 容

  

電気通信の歴史について概観し、その中での破壊的印ベーションについて整理。次世代の移動体通信方式として期待される5Gの技術とビジネスの動向を議論した。

(1)    電気通信の歴史

1837年の電信会社設立に始まり、最近のスマートフォンに至る電気通信の歴史を概観。

日米の通信事業者の合従連衡の変遷と、これに同期した電気通信製造業者の変遷を整理。

(2)  破壊的イノベーションの歴史

電気通信の歴史は、破壊的イノベーションの連続だったと考えられる

電信から電話へ: 米Western Union社が提供した電信通信は社会インフラとなっていたが、ベルの発明した電話による「ローエンドの破壊」の進展により、通信の主役の座を明け渡すことになった。

電話からインターネットへ: 1969年に研究用のデータ通信専用ネットワークとして始まったインターネットは、音声通信を飲み込み、社会のインフラに成長した。インターネットによる20年間にわたって進んだ破壊的イノベーションだったと言える。

携帯電話からi-modeへ: PCによるインターネットは比較的先進的なユーザーによるハイエンドのサービスであったのに対し、小画面の携帯電話による情報提供は、携帯電話ユーザーという多数のユーザーの非消費に立ち向かう「新たなマーケットの破壊」と言える。

i-modeからスマホへ: 日本の携帯電話サービスが生き残りのイノベーションを続けるなか、携帯電話ーサービスはユーザーの期待水準を超えるサービス提供を行うことになり、満足過剰の顧客が発生していた。ここへ簡単な操作性と、必要な機能のみのダウンロードを行うスマートフォンが登場し「ローエンドの破壊」が起こった。この結果、通信のエコシステムの移動が生じ、市場支配権は通信事業者からApple/Googleへ移った。

スマホから?: 5G時代のキラーアプリを制覇する者は誰か?

(3)5Gとは

現在の携帯電話は第4世代(4G)だが、今年から来年にかけて、第5世代(5G)の通信サービスが始まる予定。移動体通信量は現在も指数関数的に増加しており、5Gでは10Gbpsを超える高速通信サービスが期待されている。

5Gには多くの技術的ブレークスルーが期待されているが、国際標準仕様の策定にあたっては、想定される「ユースケース」作りから始まった。以下の3つのユースケースが想定されている。

・超高速通信 (eMBB): 高精細度映像転送、遠隔医療、VR/AR等への応用

・超低遅延通信 (uRLLC): 自動運転、遠隔制御への応用

・多数同時接続 (mMTC): IoTへの応用

(4)5Gの要素技術

5Gを実現するためには様々な先端技術開発が必要となるが、その中でいくつかの要素技術について解説した。

・ミリ波: 直進性が強く、建物などに遮られやすいので、基地局のカバー範囲が狭くなり、多くの基地局が必要

massive MIMO: 最大128個のアンテナを並べ、電波の飛ぶ方向を精密に制御する技術。個別の端末を狙った
   電波を送ることが可能になる。

・スライス: 多様な要望をカバーする5Gのネットワークを用途別、アプリケーション別に仮想的に「スライス」
   して、サービスを実現する技術。オンデマンドで一時的なスライスを作ることも想定されている。

SDN/NFV: ネットワークを仮想的に構成・制御する技術

(5)LPWA (Low Power Wide Area)

5Gではないが、5Gの重要なユースケースであるuRLLCまたはIoTネットワークを構築するために特化した通信方式。低消費電力で、1本の電池で端末が10年以上稼働することを目指す。

SIGGOX, RoLaWAN, LTE-M, NB-IoTなどの各種方式について、「キャリアサービスと独立系サービス」「個別型とサービスプロバイダ型」の観点で整理。

(6)5Gのビジネスモデル

5Gの今後のビジネスモデルについて全員で議論。

 



報告者:新井会員

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