例会第1回

2004年9月25日 於・早稲田大学
参加者:石田・大賀・多田・森

アントニオ・ネグり&マイケル・ハート『帝国』水島一憲・酒井隆史・浜邦彦・吉田俊実訳(以文社,2003年).

1.報告:大賀(レジュメ参照)

問題提起

・「帝国」(従来の意味での)と〈帝国〉(新たなネットワーク権力)のイメージの違い.
→ 配布資料(概念図を含む)による解説

・〈帝国〉とは,いつ頃から生じてきた現象なのか?
 - 1970年代からなど,さまざまな議論がある.
- 藤原帰一の見解

2.討論

・規律社会から管理社会へのシフトは,「帝国」から〈帝国〉への変化と対応するか?
 - フーコーの生政治概念:支配→服従の一方向的権力概念から相互作用論へ.
- フーコー/酒井隆史的なポスト福祉国家論とアメリカ正戦論・警察化の話はどのように関連づけられるか?

・マルチチュードとは誰か?
 - 他のテクストではあまり議論がない.
- Multitude: 「代表」ではなく運動的構成である.
 - あるいは,厳密な定義を与えないことの意味.『帝国』の議論はブルジョワ/プロレタリアの対立と革命という図式ではない.

・国民国家の表象機能とグローバル化
 - シンガポール:グローバル化に対応した制度+国民統合としてのナショナルなもの
 - タイ:ナショナルないしローカルなアイデンティティを支えとした反グローバル運動
 - 日本:自己責任論と愛国心
 - 中国:市場主義の導入と人権条約への調印(資本導入の条件)→〈帝国〉的なロジック
 - 対抗言説としての「アジア的人権」の意義?

・ネットワークとは:中心を持たない連携
 - ネットワーク労働≒非物質労働,コミュニケーション 
 - 「一般的知性」との関係

・スピノザのマルチチュード,そのイメージは?
 - スピノザは何を言ったか?
 - ドゥルーズ『スピノザ』,柴田寿子『スピノザの政治思想』,飯島昇藏『スピノザの政治哲学』など参照してみる.

・グローバル・ガバナンス論との違い
 - 生政治の不在
 - フーコーをIRに取り入れたことは評価.

・NGO論とのかかわり
 - 『帝国』では対抗〈帝国〉の文脈でNGOに言及しているが,NGOにもさまざまな種類がある.
 - ハーバーマスのシステム/生活世界の区別からすればNGOはその中間に位置づけられるが,『帝国』での位置づけはどのようなものか?