[45スマイル]

1971年にブルーグラス45(大塚兄弟、渡辺兄弟、そして寥)はプロとして3カ月間アメリカをツアーしたんですね。 レベルレコード会社社長のディック・フリーランド(Dick)が彼らをアメリカへ呼んだ仕掛け人で、数多くのブルーグラスフェスにブッキングしてくれ、マールハガードなど有名スターの出るカントリーショーにも僕等を押し込んでくれた。さらには僕等のツアー・バスの運転手までしてくれた。 今でも 45を覚えてるアメリカ人ブルーグラスファンは沢山いるらしい。ブルーグラスの本場で、憧れのスター達と、しかも尊敬するバンドより45の方が出演ギャラが良かったりして、緊張しまくって・・ そこへ、

Dick「ステージの間中笑っとけ」
45「そ、それは無理です。こんなビッグステージで、しかも僕らは かなり難しいアレンジを完璧に演奏しようとしてるんで顔なんか引きつりまくり、笑顔どころの話ちゃいます」
Dick「ウーム、さよか、 困ったなぁ。(勿論英語で) しや、こうしよ。 あんな、 30分間ずっと歯を剥き出しとけ! ほたら遠くから見たら笑とる様に見えるで!」
45「・・・」
  こうして45は3カ月の間、歯をくいしばったまま作り笑いを続けましたとさ!(笑

日本に帰ってしばらくしてから メンバーの一人はお客さんに言われた。 「ほんとに楽しそうにニコニコしながら演奏してはるんで 私迄すごく楽しく幸せな気分になりました。 有難うございます。」 作り笑いなのに と思いながら、ふと気が付く。ステージで本当に自然に笑えてたみたい!

さて、ブルーグラス45は1996年に25年ぶりに日本とアメリカをツアーした。その時 忌野キヨシローとかのビデオ撮ったりしてるプロのビデオ・カメラマンの吉田恒星さん(なぜかブルーグラスフリーク)にツアーに同行してもらいビデオを作ってもらった。 日本ツアーが終わる最後の晩、宝塚フェスで45のインタビューを撮ってる時に彼が質問した。「僕もカメラマンだし人の顔はファインダーを通していっぱい見てきたけど、だからこそなんだけど、ツアーの間ずっーと疑問に思ってた事が有るんです。 演奏してる時に李さん以外は、みーんな同じ笑顔、 独特の変わった笑顔してるんだけど・・なんでなの?」

大塚渡辺兄弟と寥さんはみんな一瞬顔を見合わせてから そろって大爆笑。 なるほど25年たってもあの45スマイルは残ってたんやー!  吉田さんと李さんはキョトン。 (李さんはオリジナルメンバーではあるが、アメリカには行ってないから) 吉田さんに説明したら、なるほどと納得してました。 めでたしめでたし。 もし45を見る機会があったら是非笑顔に注目してね。 李さんはぶっちょう面してて残りの5人は唇の両側の釣りあがったアーカイック・スマイル*をしているから!!


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この小さい写真では あんまり口がよく見えない。それに李さんが珍しく笑ってる!


社長の指示の通り、観客を45のステージに 巻き込む為には笑顔が必要だった、でも笑えない。 でディックは僕等に笑ってるフリをさした。 僕って、正直者でウソつくの大嫌い。 フリってその時の自分にとっては嘘かもしれないが、そのフリをしたお陰で 自然な笑顔もできる様に なったし、 楽しく聞いてもらえ、さらに僕等も楽しく演奏できたのかもしれない。

自分が出来なくて、でもしたい(すべき)事を為し遂げるには、できるフリをする。 同時に最大の努力をする事が必要なのではないだろうか。 結局フリって今の自分と違うからって嘘じゃない。 未来のより良い自分を今(仮の姿であっても)装う行為。 その仮の姿がホンマもんになれば自己が実現する。 すんばらしい事では無いだろか。




*注 アーカイックスマイル: 昔の、特に飛鳥時代の仏像等に見られる神秘的な不思議な微笑みの事、かな。 強引に言えばモナリザの微笑もこれに近いのでは? さらに言えば、好感度の女の子は「笑った時に口の端が上に上がる子」と最近TVで誰かが言ってた。 例えば井上和香とか。 それって45スマイル の事ちゃうん? 男やけど・・おっさん達やけど・・。

*注2 今気が付いたが僕らに 笑うフリを強いたんは フリーランドさんやってんね(しょもな・・)




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