御剣裁判
逆説裁判
がやがやがやがやがやがや……
カンッ!
「これより、矢張政志の法廷を開廷します。」
「検察側、準備完了しております。」
「弁護側、準備完了しております。」
私の名前は御剣怜侍。新米弁護士だ。
今回の事件は、私の友が関わってくる。
彼は、今、窃盗の罪に問われている。その事件とは、いたってシンプルだ。
彼は、恋人の浅間美知江(あさまみちえ)の、財布の中のキャッシュカードを盗った疑いがあるのだ。
しかし、こいつはやってない。一度お金を盗まれた事があるが、やっていないと思う。それはなぜかはわからないが。
「フッ、あなたは新人ですか。わたしが教えてあげましょう。法廷の厳しさを!」
カンッ!
「それでは、亜内検事、冒頭弁論を。」
「被告には完全にアリバイがありません。さらに、証拠も勢ぞろいです。被告の有罪はほぼ決定です!」
「よろしい。それでは、証人を。」
「被告を目撃した押遣玲好世(おしやれいすきよ)さんを入廷させなさい!」
……
「証人。名前と職業を。」
「オシヤレイでぇす。よろぴくぅ。」
「なんだかかわいいですな。それでは早速証言を。」
(無邪気に笑うなぁ、裁判長。)
証 言 開 始
わたし、みっちゃんに用事があったんですう。
それで、みっちゃんちに行ったんですよぉ。
でもみっちゃんもだれもいなくてぇ。
だから悪いと思ったけど勝手に上がってさがしたんですぅ。
それでみっちゃんの部屋に行ってみるとぉ、
矢張さんがみっちゃんの部屋にいたんですぅ。
そこで盗んでるのを見ちゃってぇ。
それでケイサツに連絡したんですぅ。
「ふむう、それでは弁護人、尋問を。」
「うム。」
尋 問 開 始
わたし、みっちゃんに用事があったんですう。
待った!
「どんな用事ですか。」
「えぇー、ちょっと、プライベートなことでぇ。」
「それを話してください。」
「今度、遊びに行こうね、って言ってたから、その打ち合わせぇ。」
(関係なさそうだ)
それで、みっちゃんちに行ったんですよぉ。
でもみっちゃんもだれもいなくてぇ。
だから悪いと思ったけど勝手に上がってさがしたんですぅ。
それでみっちゃんの部屋に行ってみるとぉ、
矢張さんがみっちゃんの部屋にいたんですぅ。
異議あり!
「ちょっと待て!」
「どうしました弁護人?」
「記録によると、被告はリビングで盗みを働いている。」
「これはあきらかに、ムジュンしているっ!」
ざわざわざわざわざわざわ………
カンッ!カンッ!カンッ!
「静粛に!」
「っそ、それでは御剣くん、君にも考えがあるのだろう?
その考えを言ってみなさいな。ホラ、早く!」
「ワタクシの考えか、それは…
本当は被害者の部屋で犯行は行なわれたのだ!」
「!…むぐぐ…」
「その根拠は?なんですか?」
くらえ!
「それは、財布だ。」
「財布…?そんなの、今ごろ証拠になんか…」
「なる。」
「え?」
「なんっですってぇ。」
「財布には、紅茶がかかっているのがわかるだろう。被害者の部屋にもそのような紅茶があった。
これなら、筋は通るだろう!」
「!…うぐぐ。な、なんでぇ。。」
「それでは、証人に、そのことについて聞いてみましょうか。」
証 言 開 始
実は、そうなんですよぉ。現場。
みっちゃんの部屋でされたんですけどぉ、
実はリビングからその現場見たんですよぉ。
矢張さん、やっぱりやっちゃったんですねぇ。
「ふむう、アッサリした証言ですね。では、尋問を。」
尋 問 開 始
実は、そうなんですよぉ。現場。
みっちゃんの部屋でされたんですけどぉ、
実はリビングからその現場見たんですよぉ。
異議あり!
「そんな訳ない。ムジュンしているっ!」
がやがやがやがやがや………
「御剣くんっ、説明を。」
「よいか。現場の見取り図を見ていただきたい。これでわかるだろう。リビングと繋がっていない部屋を!」
「あああっ!被害者の部屋は繋がってません!」
「そこで!弁護側には考えがある!」
「その考えとは、この証人を!告発する事だ!」
がやがやがやがやがやがや………
カンッ!カンッ!カンッ!
異議あり!
「な、なんですかな?亜内検事。」
「そ、その…弁護側の主張は無茶苦茶です!」
「はい?と、言いますと?」
「この証人は、確かに嘘をついています。しかし、それがどうかしました?
嘘はこの際、関係ないのではないのですか?」
「確かに、そうですね…
カンッ!
それでは、弁護側の意見は却下します!」
「グググ…」
「亜内検事、他に質問は?」
「ございません。」
「証人は?」
「ございません。ククク。」
カンッ!
「それでは、この証人に対する質問を終了し、判決を下したいと思います。」
「ググ。」
異議あり!
「な、なんですか?」
「そ、その、とりあえず異議を申し立てる!」
「やれやれ、御剣君、いいですか?
確かに、嘘をついています。この証人は。しかし、それは彼を告発する材料にはなりません。
もっと、この証人を指し示す証拠がないといけないのですよ。」
「いわゆる、決定的な証拠ですな。」
「それに、被告の立場も変わりません。」
「哀れですな。」
「それでは、判決を下します。」
(もう何もないのか…?
なんでもいい、思い出すんだ。
…うう。何も思い出せない。
助けてよ。お父さん…
?お父さん?…
『いいかい、相手が有利な時は、[逆説]するんだ。
もしもその事項が成立しないなら、その理由がある。それを示すんだよ…』
そうだ!逆説。これだ!
それでは、オシヤレイがやった時は、何が残る?)
待った!
「なんですか?御剣君。」
「これを見ていただきたい。」
「?…生命保険のチラシですか?親子(しんね)保険の?」
「それがどうしましたか?意味がないと思いますが。」
「検事、証人が働いているのは?」
「親子生命の保険会社…あっ!」
「そう。親子保険だ。
それは現場で見つけた。これがなぜ部屋に落ちているのか?証人が犯行時落としたからだ!」
「あああっ!」
異議あり!
「おまちください!裁判長!」
「なんですかな?」
「たしかに、そのチラシは認めますが、友達なら、そんなものもっと前に勧めていると思いますよ?」
「!…ググ。」
「そうですねえ…」
「さ、裁判長!最後に、一つだけ、証言してもらいたい事があります!」
「ウムう…」
カンッ!
「最後のチャンスです。では、何を証言してもらうのですか?」
(逆転されるとは…なにか、なんでもいい!)
「そ、それでは、(逆説すると…友達でなかったら?そうか!)『みっちゃん』について証言を!」
「やれやれ、そんなのなんの意味もありませぬぞ。それでもいいんですね。
では、証言を。」
証 言 開 始
みっちゃんはずっと前からの呼び名でぇ。
いろんな思い出があるんですよぉ。
あ、由来は美智子の『みち』ですよぉ。
「では、尋問を。」
尋 問 開 始
みっちゃんはずっと前からの呼び名でぇ。
いろんな思い出があるんですよぉ。
あ、由来は美智子の『みち』ですよぉ。
異議あり!
「(´ー`)フッ…それは違う!被告の名前は美知江だ!」
「あああっ!」
「これが意味するのは!
『被害者と知り合いでない』という事だ!
それでは、改めて告発させていただきましょう!好世さん!
被害者と友達でなければ、私の告発は意味を持つ!」
「ぐ、っぐう。。ぁぁ。。」
バタッ…
「証人は、生命保険の勧誘とともに、空き巣もやっていたのだ。
彼女の今の具合からいっても、犯行を行なったと確認できる。」
「…わかりました。判決を下します。」
無 罪
………
「これで、閉廷です!」
矢張は、なんとオシヤレイと付き合っていたらしい。
それで、浅間さんにオシヤレイが
「そいつ、浮気してんだよ!」
といって、矢張は恋人を二人(と)も失った。
結局、また独身に戻って、生活するようになったらしい。
おしまい
1の裁判と酷似ww
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