新幹線故郷号(前編)
今、僕は生まれて初めての事を味わった。
負けた。
幼稚園時代はお絵かきでもなんでもいちばんだった。
小学生時代はドッヂボールで、当たった事はなかった。
中高生時代は、学力テストは全部トップ10だった。
そして、司法試験も一発で合格した。
法廷も、全て「勝訴」だったはずだったのだが…
初めて、負けた。
あの検事のでっち上げには、もうついていけない。
そこで、仕事を忘れて休暇を取り、故郷へ帰ることにした。
まもなく 二十三番線より 長野ゆき 故郷号が 発車します
新幹線は、故郷号といった。
実際、真宵ちゃんが住んでる倉院の里よりも、故郷は近い。
次は 長野 長野 お乗換えのご案内です ――
長野に故郷はある。
そこには、司法試験に合格した事も伝えてない。
駅からタクシーで二十分、そこにあった。
「変わってないな…」
そう思い、玄関に入っていった。
ピンポン
「龍一です」