いつもなら、日も明けやらぬうちに出発!のハズだが、なにぶん、“のんびりと”をモットーにした一日なので、「今日だけは特別」と、いつもの言い訳を唱えつつ、太陽も顔を出した時刻になってやっと出発となった。 車を走らせながら、世間の馬鹿話にも一息付いた頃、Pireさん曰く、
「今日はどこへいくの・・・?」
そうだ、行き先を決めていなかったのだ。伊豆初見参のPireさんの“初体験”相手選びは慎重にしなくてはならない。 そこで、・・・・
「この時期、海は、午後になれば海風が吹いて、結構波も立つし、いくら好天と言えども侮れない。快適なツーリングを望むなら、早く出発して、早めに温泉に浸かるのが良いのであ〜る。」 と、勝手に正論(?)を打ち立てて、比較的近くて、穴もある?・温泉もある? 西伊豆は浮島へ行く事にした。(〜本当は、山並みがとってもきれいな妻良へ行こうと思ったのだけれど、運転手を兼ねた私メは、無類の面倒臭がり屋で、よく走行距離を短縮してしまう癖があるのだ。)
観光船が往来し始めた堂ヶ島近辺でカヤックを漕ぐ事は、国道でスケボーをやるようなものである。これ以上の南下は止めて、今度は田子方面をめざして北上することにした。
しかし、折からの南風に乗って、田子港の沖に浮かぶ田子島までは、アッと言う間に着いてしまった。雄島と雌島の周りをまわって、田子港の入り口、尊ノ島へ向かった。尊ノ島の内側は、波静かでいかにも“のんびり、ほんわか、春の園”だ。尊の島の真ん中近く、不思議にポッカリあいた穴をすり抜ける。冬の間、波が高くて、この穴を通る機会には巡りあえなかったが、久しぶりに入れば、やっぱり面白い。「伊豆の面白味は、これだ!」と、納得しながら、内海へ滑り込んだ。内海は、一面の藻場で、水面から見れば北欧の針葉樹林の上を飛んでいるような気分。海藻の上に浮かんで、泳ぐ小魚やら、クラゲやらを眺め、飽きた頃、カヤックを陸に上げてひなたぼっこの大休止。
・・・・ここの浜は砂利浜で、砂がまとわりつかないのでいいが、寝ころんでいると、背中が痛くなる。暖かくて静かなのは最高なのだけれど、陸にあがったパドラーは、文句が多いのだ。 腹ごしらえが済んだら、再び、水上人となることにした。
田子と浮島の直線距離は、ほんの1〜2Kmであろうが、この間の海岸線がいいのだ。 尊ノ島と海岸との間を区切る堤防を出てのすぐの入り江。 2つに並んだ穴を発見。向かって左手の穴は、奥で右側の洞窟の側面に貫通しているらしい。 既に潮が引いて、この接続部分も人が通れる程度の高さがあるようだ。 ソロリソロリと入って、頭をぶつけないようにすれすれで通り抜ければ、思わずニンマリ。 満潮時は通れない。 次の入り江の奥のちょっとした穴には、ツバメらしき鳥が巣を作っている。海のツバメだから海燕、ならば、岩を登れば、あの珍味“海燕の巣”が採れる? 今度来る時は、望遠鏡に加えて、先端にカギを付けた釣り竿も忘れないようにしよう。
海ツバメの入り江を過ぎると、海岸線は、フトコロを広げて、見晴らしが良くなる。しかし、記憶力に優れない私は、この付近の岸壁に開いた穴のひとつひとつを、順序立てて思い出せない。狭い入り口を入れば、中に広がる大ホールや、柱のように海底から伸びる岩や、海中から入り込む外の光のきらめき、・・・。 我が家の女房ではないが、海が荒れていれば、穴に入るどころではない。 ひとつひとつの洞窟が、入る前と、入った時、そこから出てきた後も、それぞれにカンジル“穴めぐり”が楽しめた。
十分に今日一日を楽しんだにも関わらず、我々は、水上人である事からの誘惑につられて、再び、三四郎島の方へ南下した。 朝のうちは通れた島と島の間も、潮が引いて岩が転がる砂州となっていた。 ここでカヤックを降りて、小休止。 足下をみれば山栗ほどのウニがコロコロ。 思わず手に手に石器を持ってウニに落とせば、割れた中身の輝くヤマブキに、ついつい唇寄せて、本日の全くスポーティではないパドリングを締めくくる事にした。
P.S 浮島には、きれいな公衆浴場があり、帰路の運転に備えて、気分のリフレッシュもOK.こちらへ出向く方は、上記の○秘ツール?に加えて温泉セットも忘れずに・・・・・。