番外編:やっぱシーカヤックもいいもんだ!?・・・ 紀伊半島(三重県・南島町)2000年5月4〜5日
GWはお荷物を実家に預けて久しぶりにシーカヤックでツーリングに出かけました。三重県の南島町です。「雄大」という言葉がぴったりの景色の中、天気もGood、なかなか満足できました。まあ、サーフィンの合間の気分転換に、ツーリングに出かけましょう。
5月3日
久しぶりにシーカヤックでツーリングをした。GWの帰省にかこつけて三重県の南島町あたりにメボシをつけて取りあえず渋滞の道路を走っていく。渡るき木曽川は低気圧通過後でメチャ強い伊吹おろしで白波が凄かった。三重県は10数年、学生時代とその後少しの間住んでいたこともあり、懐かしさを感じつつ整備が進んだ道路にびっくり、南島町の西の端、古和浦に着いたのは夕方も遅くなっていた。道路脇のトイレ付き駐車場が今日のネグラ。山口からの一人旅という60過ぎのオッサンと天の川を見ながらヨモヤマ話。静かな田舎の夜。
5月4日
1.スタート
手抜きの装備がたたって夜中は寒くて何度も目が覚めたが、朝はウグイスの合唱が気持ちいい。古和浦の西の端、棚橋川河口の橋の下から静かな水面にスタート(7:00)。取りあえず原発予定地の芦浜を目指す。風もない。古和浦は南の湾口を下にしたYの字型で奥が2又になっている。この交差部分をとおり、約30分で右手に大きな砂浜。シーカヤックを置いたキャンパーが二組いた(向かって左手が傾斜もゆるい)。砂浜のむこうのブッシュの向こうには淡水の座佐池がある。海水の上に軽い淡水が浮いてできた池だ。照葉樹の山々とウグイスと、きれいな池・・・別天地だ。ここでゆっくりしたいがそうもいかない。舟の周りを小魚の大群が飛び回って逃げている。次を目指してスタートだ。
2.古和浦〜錦〜芦浜
湾内は静かでイカダには釣り人が一杯だ。水際は水面まで照葉樹が迫り砂浜が少ない。学生時代1年近く居た志摩半島に似ている。古和浦を出ると急に視界が開ける。太平洋だ(アッタリメーだ)。右手ははるかに尾鷲の三木崎までがぼんやり見える。「雄大」とはこういうのを言うのだろう。この広さはグランドキャニオンにだって負けはしない!! 幸い波も無い。進路を岸沿いに右に寄せる。切り立った岩壁が真っ直ぐ海に落ちている豪快な景色が続きその先に白い砂浜、芦浜が見えてくる。・・・・が、この手前に大きな定置網。沖から避けると正面に錦の沖の小島が呼んでいる。まあ、海も静かだし透きとおる水も、遥かに遠望する大台ケ原山も、全てを独占した心地よさに酔いしれて、そのまま沖を直進。小島を目指す。10数年前の自分はあの(正面の)大台ケ原の山の中を歩き回っていたのだ。飽きる事の無い景色は疲れも感じない。何匹かのトビウオが羽根を広げて飛び去った。
錦の東側、一番沖の鰹平瀬島(9:00)を周って錦の東側の岬、目戸の鼻へ。岬の小さなトンネルは波が洗っていて諦めるが、裏側の磯は藻が茂りこれも気持ちいい。ここからは岸沿いの点在する岩場を抜けて戻り道。岸沿いは自然の岩肌と樹木が美しい。原発計画がボツになって本当によかった・・・・。
しばらくで先ほど通り過ぎた芦浜に着く(10:30)。夏は海水浴客が来るのだろう、木でできたポンツーンが浮いている。ここも、砂浜の奥のブッシュの向こうには芦浜の池がある。ここには良く踏まれた小道が来ており20名近いキャンパーがいた。池の水は少し濁っていたが、樹木も海もとっても綺麗だ。まあ、ここが今回の本命地点だ。小休止して再出発。
3.芦浜〜缺崎〜神前湾(定ノ鼻)
芦浜からは、岸沿いに迫る岩壁を見上げながら東進する。少し南風の海風が出始めた。追い風に乗って古和浦の湾口を缺崎へ横断する。当てがある訳ではないが手ごろなところまで・・・・と思いつつパドリングを続ける。缺崎からは風のせいか、潮が引いてきたせいか、海がチャプチャプしている。うねりは東から入っているらしく返し波とぶつかって時々頭くらいの高さの三角波がオッタツようになった。急いでスプレーをセット。デッキを波が洗うがそのまま進む。先ほどまでの静かさがウソのようだ。
岸沿いは高さが落ちるがやはり岩場が続く。5万図の切れ目あたりの少し凹んだ岸沿いにあるスゴック綺麗な砂浜が呼んでいたが、そのまま先を目指す。少し肩が痛くなってきた。長時間のツーリングでは、疲れによっては、普段ではなんとも無いような海況がそれ以上に難しくなる事もあるのかもしれない。今回はそんなことは無いが、天候がもっと悪ければ、エスケープの効かないこういったエリアでは重要なことだ。
方座浦の湾口、音瀬の鼻から定ノ鼻を目指す。右手、東方はるかには志摩半島が、島のように浮かんでいる。近くには大きな見江島が鎮座する。定ノ鼻手前の岬には大きな定置網が意地悪に通せんぼ。隙が無くガッカリするが、狭い隙間を見つけてすり抜ける。岬の下の三角形の島は裏側は通れず定ノ鼻のハナレ磯を周る(12:30)。ここの幅狭い半島の東側は岩壁と砂浜が続き、これ又いい景色。残念だがここを今日の最終ポイントとしよう。
4.疲れて戻り道
このあたりで上陸して休みたいが手近な砂浜が無い。仕方なくそのまま往路を戻る事にする。正面からの南風はちょっと大変だが、操船は楽になる。定置網は岸近くの磯の水路を抜けてかわして、湾口を横断、音瀬ノ鼻からまたあのチャプチャプした海面をパドリング。肩に加えて腰も痛くなりだす。どうも姿勢が悪いらしいと今更反省する。時々横波が舟を揺するが、まあ、サーフィンに較べればお遊びだ。肩の痛みをうらみつつ缺崎の小島を周ってサーフで湾内に滑り込むまで、ちょっとだけスリルを味わえた。
ここの直前、振り返ると東の志摩半島から、南には三木崎、西の大台ケ原やら、海に迫る岩壁や、そして何もない遥かな太平洋・・・・、それら全てに、懐かしさか名残惜しさか、疲れとは別の本能から湧き出す何かが胸を締め付ける。クセになりそうな景色だ。
景色を目に刻んで名残惜しみつつ古和浦に入り、座佐池の浜の向側、地図に薄月池とある浜へ上陸(14:30)。朝はここにもカヤッカーがキャンプしていたが今は誰もいない。ウグイスだけだ。ブッシュは固く池まではたどり着けなかった。
久しぶりに充実したパドリングに満足し、出発地の湾奥、棚橋川の河口に到着すると、潮が引いて車まで数百メートルのポテージが待っていた。まあ、何はともあれ快適なパドリングやちょっとしたスリリング(ヤバイというものではない)、なによりも雄大で大きなスケールの景色は最高の一日だった。
夕方、明日の行き先を考えながら、昼間見た見江島を狙って東へ移動した。夜は、贄浦の港の(キレイな)トイレ前でインスタントラーメンを作って食べた。
5月5日
1.贄湾〜見江島
今日もいい天気にウグイスの合唱がにぎやかだ。贄浦の西岸の老人ホーム下の小さな浜よりスタート(6:30)する。ここはシャワー付きトイレがあって好都合だ。港から出て左手の小島の裏を抜けて、贄湾を横断する。東端の岬、志戸ノ鼻を目指す。今日は帰るつもりなのであまり遠出はしない。東方の筆島と、昨日見た見江島が目標だ。志戸ノ鼻の手前にはテトラポットの沖提があった。なんでこんなところに・・・・?。岬の小島の裏を抜けて岸沿いに小島を縫っていく。岸は岩場と小浜が交互に続き、昨日とは違った柔らかさがある。海底は浅く、岸から数百メートル離れていても底の岩礁が見えて、遊ぶカワハギなんかが覗ける。きっと荒れるとひどいことになりそうなところだ。筆島の裏側も浅瀬で、波を乗り越えるが、その先に見えた次の小島まで行くことにする。この小島のところで岸は左に折れて遥か五箇所湾まで続く(7:30)。途中にはキレイな大きな砂浜が見える。行って見たいがこれもキリがないので諦める。右手には志摩が陸続きになっていた。
ここでUターン。やや置き目を真っ直ぐに昨日見た見江島を目指す。贄湾の入り口には地図にないハナレの磯があった。何匹かのトビウオにも出会った。見江島は南端の岩壁の上に白い灯台がある。東側に小さな砂浜があったので上陸して休憩(8:30)。天草とりの漁師の人と少し話をする。何年か前の奈良県のカヤッカーの事故の話(ここで北西風に流されて2名死亡)が出ないかと心配したが、天気が良かったからか「ガンバレや」で終わってくれた。ホッとする。見江島の灯台下の垂直な岩壁の下の水路を抜けて周り込むと入り江に小さなトンネルがあったが、潮が満ちていて高さが足りない。諦める。
見江島の南端は2つに分かれた岬がある。東側には灯台があり、西側の岬の水路を抜けると神前湾に入る。広い湾で正面に昨日の定ノ鼻やらがあるはずだが、山々の重なりの中でよく見ないとわからない。見江島の西側の大きな定置網を沖からかわすついでにそのまま奈屋浦の西側の細い半島の先端、立崎を目指す。あとで吉角氏に聞いた話だが、この定置網の根っこのあたりには洞窟がいくつかあったらしい。残念。
2.奈屋浦
見江島から奈屋浦の西側の立崎を目指す。正面の山、藤坂峠付近は大規模な砕石場があるらしく山肌が無残だ。しかし立崎付近は、ロックガーデン状で岩の間を縫って進むには楽しいところだ。やや大きめの小島を周回し水路から奈屋浦に入り、岸沿いの岩場に沿って進む。小魚の大群が舟の周りを飛び交う。かさらぎ池の外側にも大きなテトラポットの沖提が出来ていた。この内側でかさらぎ池に湾を横断する。かさらき池から流れ出る水路は引き潮で川のように流れていた。遡上を試みるがまったくダメだったので上陸した(10:00)。池は、イカダで一杯、浜の堤防上には重機があり興ざめだが周りの樹木は緑がきれいだ。反対側の贄湾から吹く東風が強い。
かさらぎ池の浜を出ると小岩が点在する磯が続く。岩の間を縫って軽いスラロームのように進む。岸に高い岸壁は無く西伊豆のようなところだ。特に見江島との水路の手前には、両側がスラブになった幅2m程度に狭まった面白い水路がある。ここで遊んでから見江島との水路を抜けた。浅いので海が荒れていたり、干潮時は通行不可かもしれないところだ。
3.こころ惜しいが・・・終わり良ければ全て良し
浅い水路は藻場で藻の隙間ではパドルのブレードほどもあるコウイカ(?)が泳いでいた。おいしそう。ここからは朝出た岸を目指してただ進むのみ。昨日の大自然とはちょっと違った、気分的にも楽なこのあたりの海を楽みながら、磯釣りをする人の視線を感じつつ岩々をかわす。昨日同様の東からのうねりのせいか、岸近くでは所々サーフィン出来そうな崩れ波が出来ているが、静かな岩陰には大抵、天草とりの漁師がいる。湾内以外の海ではほとんど人に会わなかった昨日とは対照的に、今日は多くの人を見る。それなりにホッとするものがある。このあたりの湾なら天候が荒れたときなど風影・波影に入って遊ぶことも出来るかもしれない。
未だ時間もあったが、帰りの運転や、これ以上湾内を徘徊しても、最後の気分をさらに盛り上げてくれることは期待できそうにないのでこの最高な気分のままで岸に上がることとした(11:30)。
岸に上がってシャワーで道具を全て水洗い、カヤックを物干し代わりに乾かしていると、パドルコーストの吉角氏が昼飯の水を汲みに来た。すぐ隣の浜・湾内の静かな水面でスクールをやっているとの事。こんなところでカヤックを始めた人たちは中毒にならないもんでしょうかね、ほんと。
今回初見の南島町の海、場所を選べば天候の許容範囲は結構広いように思えた。初日の古和浦は湾内は大した事ないが外へ出れば雄大な太平洋の真っ只中。東の神前湾や贄浦は岸沿いが面白い西伊豆のような所だ。今回はあまりに天気が良かったが、それなりに楽しめることがわかった。また機会を見ては必ず来ようと胸に誓いつつ遠い帰路に着いて2日の充実したツーリングを終了とした。
以上.