カヤックの性能について 2000年2月28日
サーフカヤックとリバーカヤックの違いは・・・・? そう、シーカヤックとサーフカヤックだってぜんぜん違う。サーフカヤックは、リバーカヤックで言うならば、ツーリングボートとスクォートほど違うのだ。独断的私見を語ろう。
簡単に言えば、サーフカヤックの最大の特徴は、レールと呼ばれるサイドラインにある。ボトムがフラットでサイドが鋭角。すなわちボートの横断面が台形をしているのである。これの効果は下図のとおり。サイドが鋭角な三角形をしていると、同じ体重のパドラーなら、サイドウォールが立ち上がった(最近のロデオボートに良く見るやつ)ものに比べて、十分に深く波の斜面に食い込む。両者のサイドが水に沈む部分は、体重に相当する浮力と同等の容積が必要なのだから、厚みが少ないほうが底面が広くなるのである。すると、ボトムが深く入るほうが、当然、強く水をつかむことが出来る。だから・・・「レール」とよばれるほどに、明確なライン取りが出来るのだ。スキーでいうならば、「エッジが鋭い」ということと同じである。ちなみに、エッジが丸い・・・リバーツーリング艇のようなボートでは、水をつかみににくくなり、ズリ落ちるのだ。

もうひとつ、サイドウォールが立ち上がったボートの弱点・・・それは、サイドに浮力が大きいため、ボートを波の谷側へひっくり返そうとする回転力が生まれやすいということである。これに対抗して波の山側へボートを傾ければ、ボトムの面積が減ってしまうし・・・・と、微妙なバランスが必要となり、揺れる波の斜面を、安定して走ることは難しいのだ。
第二の特徴・・・ボトムがフラットなこと。でも、これは上記の「波の斜面に食い込む」というイメージが理解できれば、何ら難しいことではない。サーフカヤックは、エッジで走るのだから・・・。まるいボトムと、フラットなボトムでは、波の斜面への引っかかりの良し悪しは明白である。
しかし、フラットなボトムにはもうひとつの理由がある。波に乗りやすくするということである。まるいボトムは水を逃がしやすいのだ。フラットなボトムなら、速力が上がるほどに水を左右ではなく「下へ」押しのけ、ちょうど水中翼船が水中翼によって浮き上がるように、水面にバウのボトム側を押し上げる。これをプレーニングというらしいが、FRPのサーフカヤックなら、この状態で波を直滑降すると、ボトムで水面をたたくかのように飛び跳ねて、まるで水切り遊びの石になった気分になる。 逆に、シーカヤックなどはきついキールがあるので、水を左右に押し分けて突き進む訳だが、これは全長からくる浮力によるものであり、滑空とはまったく違う状態である。

フラットボトムで飛び跳ねていると、最近はやりのフラットスピンだとかが、スパッ!と出来たりする。でも、簡単にスピンできるということは、方向性がないということで、前述のレールを使ったライディングとは対極的な滑りである。ちなみに、自分は少しだけボトムが膨らんでいたほうが直進性があって、また左右に少しだけ水を逃がす程度のルーズさがあるボートのほうが、楽しめるような気がしている(もう、若くは無いからかな?)。まあ、好みだが。
最近のロデオ艇はやたら短くて、(本当のところ、自分では使えないから言うのだが)あれは、カヤックではなく、タライ舟だと思ってしまう。佐渡島へ行って元祖ジャパニーズカヌー(もちろんタライ舟のこと)を研究して欲しいものだ。そして例にもれず、最近のサーフカヤックも短くて、フィン(固定式のスケッグのようなもの)までついたボートが主流になりつつあるらしい。昔は・・・・、いや、自分も知らんので止めよう。
それで以って好みで言うなら、短すぎて波に乗れないとか、よく回りすぎてせわしないとか、そういったのはあまり好きではないから、やっぱりそれなりの長さが欲しいものだ。もともと、リバーではなく、シーカヤックを選んだ者として、「クルクルパッパは、デッカイ海には似合わんよ。」と言いたい。大きなうねりやウエーブをシャーシャー、スイーッ、スイッ!と滑るのがいいよ。
ボートの長さは艇速にも直結するし、長いほど先に述べたエッジの入り方も変わってくる。長いほど浅く入るようになるが、食い込んだエッジの長さが長くなる分、直進性が強くなり方向を変えにくくなる。このとき、ロッカーがきついボートだと、食い込んだエッジが弓型となり、そのまま、波を越してはじき出されてしまうかもしれない(不本意なプルアウト)。まあ、これを防ぐために、エッジをはずすことになるのだが・・・・。

基本的に、ボート全体の浮力はさほど問題ではないと思う。ただし、注意したいのは、浮力のバランスである。サイドの浮力が性能に大きく影響することは前述のとおりだが、前後のバランスも重要である。特に波は立体的な傾斜をもった水面であり、この縦方向のフェイスを上下左右に滑るのだから、ボートのコントロールも全方向に必要なのは当然である。この点、最近の小さいボートはリアルに体重移動が動きに現れるようである。
でも、短すぎればスピードが出せないし、・・・・。そこで、私流の意見、やや長め・でもスターンはローボリュームが良い。なぜなら、スターンが大浮力だと、後ろから来る波にスターンの浮力が働いて、後ろから持ち上げられて、バウ沈させられるからである。体重を後傾させた(ひざでバウを持ち上げた)時、少しだけスターンが沈むくらいがよいと思う。特に前述のプレーニング状態の時は、大抵、お尻の下からスターン側が水に接しているくらいなので、スターンの形状はボトムと同時に浮力にも注意を払いたい。
ちなみに、バウの浮力が大きいと波に突っ込んだときなどすぐに浮上してくれるが、きつい波を突っ切って沖へ出ようとすると、大変かもしれないよ。(よくまわされるのです。)また、長いボートは浮力自体が無くても、スターンの浮力中心が重心(コックピット)から遠くなることでモーメントを得てバウ沈を起こさせやすくなることも注意したい。
最近、新しいボートではフィンがついたものを見かける。しかし、自分は、この手のボートに乗ったことが無い。だから・・・出艇の仕方すらわからない。いったいどうやって、あのフィンを壊さずに、砂浜(もしくは岩場)を這い出していくのだろうか? まあ、フィンの威力はサーフボードを観察していればおのずと察しはつくと言うもの。機会があれば試してみたいのだが・・・・。
そこで、シーカヤックである(?)。自分もサーフィンはポリのシーカヤックで始めたのだが波にはすぐ乗るし、よく走るから、結構楽しんだ。でも波がキツクなると結局、直滑降か横向いてブローチングばかり、ライディングが単調なのに飽きてショートボートへ乗り換えた。 が、今考えると、まじめにサーフィンするならば、シーカヤックの方が余程コントロールも難しいし、スピード感もあるし…楽しいかもしれない? まあ、前後に強大なスケッグが張り出しているようなものだから、スリルは満点でしょう。これぞ、特攻隊ですよ。波に乗り始めたときの静かにバウがかき分ける水を見ると、ゾクゾクしてきますよ。
ちなみに、私は台風が来訪した翌日など、通常のサーフゾーンに入れない時でも、駿河湾でシーカヤックに乗ってウネリサーフィンを楽しんでいます(これがまた、イインデスヨ。まあ病気ですね)。
まあ、ここまで書いておいて無責任かもしれないが・・・・、要はいかに楽しめるか?である。
テクニックしかり、ボートしかり。
どんなに最新のボートであっても、アメリカの西海岸のようなきれいなフェイスでスラスラと滑るよりも、ダンパーで砂まみれになる方が多かったり、岩場のポイントブレイクでボトムを気にしながらサーフィンしたりするならば、それなりのボートを選んだほうが、きっと自由な楽しみが味わえると思う。もちろん、最新のボートの「最新」なりの理由があることも忘れずに・・・。
そもそもいくら回転性に優れた短いボートがあっても、波に乗れなくては何にもならない。ならば、適度の長さがあるボートで、波に乗りまくって、そんで以てちょっとリスキーなボートサイズを振り回すなんて方が、よっぽど楽しいような気がする。まあ、サーファーが波の状況に合わせて数枚のボードを用意するように、サーフカヤックも何艇か持参してチョイス・・・なんて出来ればいいけど。
それから、多くのサーファーと波を奪い合うなら(本当はやりたくないけど)、ルーズなポリ艇よりもFRPでスピードも動力性能もサーフボードと互角なものを選ぶべきだろう。もちろんワザも磨こう。 これは、「波を奪い取るため」というよりも、「危険回避能力」のためである。サーファーとの喧嘩や罵声の掛け合いは、やっぱり楽しく無いでしょ。
要は、いかに波という不確実性の瞬間を最大限に楽しむか?・・・ではなかろうか。