この一瞬に賭けるのだ!?・・・ テイクオフの瞬間  2000年4月27日

いよいよ水が温かくなってきました。この前はみんなと伊豆の弓ヶ浜で遊びました。ほんと、何艇ものカヤックが波に合わせて滑り出す・・・・そんな光景が目に浮かびます。その何艇もが、波を取り合ったり、任意に降りたり・・・・出来ると本格的ですよね。

そこで、今回はテイクオフの時のイメージを舟の動きを中心に考えてみようと思います。


1.波にあわせる

テイクオフは、波のスピードと自艇の速度を合わせる作業です。車がローギヤーで最大の馬力が必要なのと同じで、カヤックでも動き始めが最もパワーがいるので、少しでも動いていれば初速が上げ易い分、波をつかみやすい・・・・とは、前回の話。この時の船の動きを考えて見ましょう。

波をつかみやすいとは、・・・・そう、波の進む速度に自艇の速度を合わせるということです。波の進行速度と同じ速度で走ってこそ、波に乗っていられるのです。


 言ってしまえば実に簡単なことです。波を見つけたら、その速度を図って、自艇の進む距離との交点を如何に都合の良いポイントに合わせるかというだけです。・・・・でもこれが難しいのです。

 波はほとんど速度が一定なので、いくつかの波を見ていれば見当は付きます。でも、乗りやすいタイミングが波の一つ一つで微妙に違うのです。波は、いくつかの周期をもって大きくなったり小さくなったりしますから、波を捕まえる「交点」がちょうど良いフェイスであればいいのですが、予想を越える大きな波なら、ブレイクしはじめたトップでパワー負けしてバウチン(スターンが押し上げられてバウが水に突刺さる)したり、逆に小さければ傾斜が緩く波に乗れなかったり・・・・だから、言うほど簡単ではないのですが、波の大きさを読むのも楽しみでしょうね。


 多少波が小さくてもベストなフェイスでテイクオフできれば、いくら大きくてもブレイクの真下で洗濯機の中のようにグルグルやられるよりはマシというもの。だからこそ、大きな波をベストなポジションで捕まえたときの快感も魅力なんですよ。・・・・まあ、波の盛り上がりの増減だけでなく、ブレイクポイントすぐ横のパワーポケットに入れるかどうかも重要だし、他のサーファーとの競り合いもあるし・・・・この一瞬はいろいろと難しいのです。

2.加速して波にのる

 基本的に、舟は、「パドリングによる速度」+「フェイスを滑り落ちる速度」=「波の進む速度」 であれば舟は波に乗るハズです。舟の速度が波以上に早ければ、フェイスを滑り降り、ボトムの平水上で失速を始めるし、逆なら波に置いていかれます。

 この時、たいていは舟の速度より波の進む速度のほうが速いので、ある程度のパドリングによる加速をベースにあとはフェイスに乗った瞬間に始まる「滑り降りる」力を利用することで必要なスピードを得ることになります。滑り降りる力が加わると舟は“スーッ”と加速し、「・・・・・ああっ!! この瞬間がサイコーなんですよ」と、なります。

 勿論、舟には進む方向とは反対方向に減速する力、水の「抵抗」が加わりますから、絶えず速度は低下しようとしています。この力と「滑り降りる」力のバランスを調整することで、適度な位置をキープする訳です。まあ、大抵は、調整どころではないので、フェイスの下まで一気に降りてしまうことも多いのですが・・・・。

3.速度調整のしかた

 まあ、舟によっても違うでしょうし、シーカヤックなど何もしなくても加速するのが普通でしょう。でも、普通のリバー艇などでは、波がスターンを持ち上げて加速が始まったら、上体をスターン側に倒す・・・・いや、バウが前傾をはじめても上半身を垂直(舟に対してではなく地面に対し90°の天空方向です。)に維持するように心掛ける必要があります。艇長が短いこの手の舟は前後の体重移動が舟の挙動に大きく影響するからです。
 上半身をスターン側に倒す時、腰の角度(上体と下半身がオヘソのところで作る角度)を維持すれば、上半身がスターン側に倒れようとすることで、ひざがニーブレイスを持ち上げる効果もあります。これにより、舟のバウ側が持ち上がり、プレーニング(滑空)に移行しやすくなります。逆に前傾すればバウは沈み、正面抵抗が増すばかりかプレーニングに移ることが出来ません。(これは普通のリバーカヤックの場合。コックピットがスターン寄りにあるサーフカヤックなどは、前傾しないと走りません。)
 自艇の速度が足りなければ波に置いていかれるし、早すぎれば波より先に進んでしまう。ならば、滑り降りる力の調整方法がある筈ですよね。

 その一番手っ取り早い方法(速度を殺す方法)は・・・・パドルで抵抗を増やすことでしょう。パドルの先っちょを少しだけ水に突っ込んでスピードを殺すのです。パドルの角度を寝かせて水面を撫でるカンジで少しづつ力をいれればいいのです。ドカッと力を入れると折角の推進力が無くなってしまいますよ。

 さて、もう一つの方法、・・・これがベストなんですが、ちょっと難しい。
 波の進行方向に対して横方向に走るのです。舟が下方向へ進みませんから「滑り降りる」力は弱くなるのです。ちょうど急傾斜の斜面を真っ直ぐではなく、ジグザグに下ることで速度が落ちるようなものです。波を横走りすることは、波のフェイスに長く留まる訳ですから、楽しみな時間も長くなる訳です。一石2鳥の方法です。・・・・直滑降で終わりと言うよりも、フェイスに長く留まったほうが面白いに決まってます。ましてや波は大抵、どこか1点から崩れ始め左右方向へ崩れる部分が広がっていきますから、この方向へ舟を進めれば、それだけ長くフェイスを滑っていられるのです。
 次の図で言うならば、カヤックの右側から左方向へブレイクが進む場合、斜めに滑ることで、そのすぐ手前のブレイクする直前のパワーポケットに長く入っていられるのです。真っ直ぐに下れば、ボトムで失速したあと、すぐにブレイクした波がやって来ますから結局、これで終わりますが、横方向へ走れば、ブレイクから逃げるように、次々にきれいなグリーンウエーブを走ることになるので、それだけ長い時間波に乗っていられるわけです。

 さらに、横方向へ走ることでカヤックは立ち上がりにくくなるので、「バウチン」しにくくなります。すなわち、波に対して横方向へ走ることは、いろいろと合理的な利点が多いと言えるのです。

4.アングルドテイクオフと斜滑降

 そんな訳で、波の斜面を斜めに走ることが直下降よりも合理的な訳なんです(こんな説明でわかる訳ないかな?)。フェイスに対して真っ直ぐにテイクオフすることを、ストレイトテイクオフと言って、加速を得るには有効なスタートなので始めのうちは、これがオススメです。しかし、ちょっと慣れてきたら、是非斜めに向かって滑るべきです。そのためにはじめから斜めにスタートする場合があります。それをアングルドテイクオフと言います。これは加速力が落ちるので、それなりに加速を補う技術「ハイパワーパドリング」「体重移動」「波をキャッチするポイント」や「波質」「舟の性能」・・・・等も必要です。
 まあ、ストレイトテイクオフでスタートして、直ちに角度を変えて斜滑降に移ってもいいのですが・・・・まあ、この瞬間の動きは本能的な要素もかなりあるように思います。(だから、私も上手くならない。製造物責任は私のパパとママ???)

 次は、斜めに走ること「斜滑降」です。斜滑降の必要性は上述のとおりですが、この方法がカヤックサーフィンの真髄、基本中の基本です。実は、何年も前、本もなく一人でサーフィンを始めた頃、バウチンせずに波乗りを楽しむ方法を思考錯誤していた頃、ボードのサーファーを見ていて斜めに走ることに気付きました。いざ、それをやろうと思っても、上手くいきません。シーカヤックの本では、波に体を倒しパドルで波を抑えるように・・・・とブレイス(ブローチング)の方法を説いています。でも、・・・・結局、目指す「斜滑降」はこれとは正反対、波側のチャインを利かせて、パドルは谷側にスターンラダーで入れる・・・ちょうど、スキーの斜滑降そのものでした。この自己流の方法に行き着いて、1年以上経った時、カヌーライフに特集で同じようなことが書かれていました。この時は、本当にうれしかったものです(当時、奥手な私はインターネットも知りませんから、海外の情報なども手に入りませんでした)。

 だから、・・・・大事なことは出し惜しみして、この「斜滑降」の部分の話しは次回にしようと思うのです。ハイ。

 以上.

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