とある町の宿屋の一室。ルグイは椅子に腰掛けて、本を読み耽ていた。その近くでは、リディがあっちゃん人形で遊んでいたが、やがてそれにも飽きてきて、暇を持て余していた。
「るーちゃん、その本面白い?」
「…………………」
ルグイからの返事はない。どうやら本に熱中しているらしい。
「難しそうな本だなぁ…」
ルグイが読んでいたものを横から覗き込んで、リディは呟いた。
「そうだ!難しいお勉強をしているときって、甘いものを食べるといいんだよね☆」
「…………………」
「るーちゃんにお菓子作ってあげよ〜っと」
「…………………」
リディはバタバタと宿屋の台所に駆けていく。
「…………………」
――がしゃがしゃ。
「…………………」
――ぐねぐね。
「…………………」
――どさーーーーっ。
「…………………」
――ぐりぐり。
「…………………」
――ぎゃーーーーーーーっ!
「…………………」
――キシャーーーーーーっ!
「…………………」
――ぐつぐつ。
「…………………」
――ボコボコ。
「…………………」
――ドッカーーーン!
「…………………?」
――ブスブス。
「…………………」
「できたーーーーっ!」
ドタドタと周りの迷惑を考えない足音を立てながら、リディが再び部屋に帰ってきた。
その手にはピーーーーーーーーーーー(描写放送禁止)な物体が乗った皿を持っている。
「るーちゃん!特製シフォンケーキだよ!食べて〜っ!」
「…………………」
無反応なルグイを気にもせず、リディはルグイの手にフォークを握らせ、ずずいと目の前にシフォンケーキ(自称)を差し出した。
「食べて食べて〜!」
「…………………」
リディに耳元で騒がれたのが五月蝿かったのか、リディを黙らせるのに一番早い手だと思ったらしく、ルグイは無言のまま差し出されたものを黙々と口に運んだ。
「るーちゃん、どう?」
「…………………」
「るーちゃん、美味しい??」
「…………………」
相変わらず無言のルグイにリディは、(前にぼーちゃんが、「本当に美味しいものを食べたときは、何も言わずにそれを食べ続けるものなんだよ」って言ってたから、きっとそれなんだ☆)と、かなりポジティブに考え、ルグイが空にした皿を上機嫌で鼻歌を歌いながら片付け始める。

やがてみんなが帰ってくる頃、ルグイは本を読み終えた。
「…………………??」
ルグイは胃に不快感を感じたものの、命に別状はなさそうなので、特に気にしないことにした。



by 暗光鼠
集中しているルグイさんはリディのお菓子をも制す。
…制しそうだなと思ったので。




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