とある町の宿屋の一室。留守番役になったナナオが、暇だな〜と呟きながら入ってくると、そこではルグイが熱心に本を読んでいた。
何故か、その足元には、まだ使用可能な歯車やボルトや…所謂ジャンクの溢れた箱が置かれている。
ナナオがその箱に近寄っていくと、傍に小型のからくり人形の設計図も置いてあった。
ルグイはそれを作るつもりだったのだろうかと思い、ナナオは、
「ねえ、この機械を作るの?」
と尋ねるが、
「…………………」
ルグイは無言。
その無言をナナオは、(きっと間違ってはいないんだ!)と前向きに受け取った。
そして、ルグイが作り出したら、自分も一緒に作ろうと思って待っていたが、いつまでたってもルグイは本を読み終えない。
「ねえ、この機械、作っちゃっていい?」
耐え切れなくなって、ナナオは再びルグイに訊いた。
けれど、
「…………………」
ルグイはまたしても無言。
それをナナオは、(きっとダメじゃないってことなんだ!)となおも前向きに受け取り、ガチャガチャと箱をあさり始めた。
ガラガラガラとガラクタを引っ繰り返しても、ルグイは反応しない。
ガンガンっと激しく金槌でトタンやブリキを打ち付けても、ルグイは反応しない。
何処から出てきたのかよく分からないバーナーでごうごうと豪快なハンダ付けをしても、ルグイは反応しない。
工事現場さながらの騒音の中、ルグイは坦々と本を読み続けていた。

数時間後――。
「できた〜〜!」
喜ぶナナオの前には、13体のからくり人形があった。
そのそれぞれに、バラが飾ってあったり、サングラスをかけていたり、カボチャ頭だったりといった特徴があった。ご丁寧に、ロバや、狼や、不思議生物の人形まである。
それを眺めていたナナオの耳に、帰ってきた仲間の声が届いた。
ナナオがドタバタと部屋を出て行った直後、ルグイが『火薬・爆薬・劇薬大全』という恐ろしく分厚い本を読み終えた。
ルグイは足元に並んでいる人形を目にして、
「うむ、手間が省けた」
ぽつりと呟く。
「ちょうどランダム爆破トラップ付きの、小型で自動走行する武器を作ろうと思っていたところだ」



by 暗光鼠
…さっき読み直して思ったんですが、というか書きながらも思ってましたが、結構ナナオ編のラストダークですね…。




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