とある町の宿屋の一室。ルグイは椅子に腰掛け仕入れた本に目を通し、リディは―――どうやら沈んでいた。
先程アイル達を全力の笑顔で送り出してからずっと黙って窓に向かっている。
「…………………」
「…………………」
「……ねぇるーちゃん」
やがてリディが振り返ってルグイに声をかけた。そちらに軽く目を向けただけで応える。
「るーちゃんはどっか行ったりしないよね……?」
「?ああ」
たぶんな、と心の中で付け加えたが、リディは満足そうに笑顔を見せると、とことことルグイに近づいた。
「ねぇねぇ髪いじってもいい?」
と言いつつすでに触り始めている。
「今朝も触っただろう」
「だってるーちゃんいっつも髪梳かさないでるんだもん。せっかく髪長いのに〜」
旅のせいで決して美しいとは言えない金髪を梳きながらリディが唇を尖らせる。ルグイは朝髪を梳かすのを忘れているあるいは気にしないあるいは面倒臭いのである。
「……切るか」
「ダメーーーーっ」
「…………………」
何でリディの許可がいる、とルグイは心中で突っ込んだが、切ったら切ったでこの少女はうるさく騒いだり文句言ったりしてくるのだろうと思うとそれはそれで面倒臭く、やはりしばらくは切らない方向でいく事にした。
「……自分の髪を伸ばして遊べばいいだろう」
「人ので遊ぶのが面白いの」
「…………………」
「〜♪」


「ただいまーぁっ!?」
帰ってきた仲間達が目にしたのは、二つに分けた三つ編みおさげで本を読むルグイと満足顔のリディだった。
「おかえりなさーい!」
微妙な顔をしたり笑いをこらえてたりむしろ笑い転げる一同。
そんな中、ただ一人ラッセンだけが舞台女優並みの驚きのポーズで、
「しっ……シーt」
皆まで言わせずお供が後ろから文字通り突っ込む。
「…………………」
急激にうるさくなった部屋に、ルグイは無言で席を立ち髪型もそのままに出て行く。
「フッフッフッ、どこへ行こうというのかねー!」
何故か競歩で追いかけていくラッセンが黙らされるのは時間の問題である。



by B・J・刹那
というわけで暗光鼠氏の要望により闇に屠ったリディ編を引っ張り出しました。
ゴメン勝手に設定作ってしまった。
リディ置いてかれるのにトラウマあるかなーとかルグイずぼらだからリディに梳かしてもらってるかなーとか思ったんです…。




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