そこはどこだったか。正確には覚えていないけど、確か…雪が積もっていたと思う。
時間は、夕暮れ時で、空は、だんだん群青色に染まっていって…淡く輝く小さな星がいくつかあったと思う。
僕は、寒くて仕方が無かったはずなのに、…寒さを感じなかった。



















 いや、寒さどころか、感覚自体がなくなっていた。
 「しっかりしてください!この傷は…すぐに治りますよ!!」
 誰かが、そう言った。僕を抱きしめている君は、誰だっけ?
名前は思い出せないけど、君の目の色は不思議な色だね。
 「すぐに治りますから、大丈夫ですよ…。」
 僕を抱きしめて、君はしきりに「大丈夫」って言っていたけど、
君の顔には書いてあるし、僕自身にも分かっている。
僕の傷は、「治せないもの」だって。
 そうだ。僕は、怪我をしたんだ。
「アイツ」と戦っていて、あと少しのところで…油断して、こんな怪我を負ったんだっけ…。
 「僕は…もう、助からないよ。」
 そうだ。僕は助からない。
「アイツ」がつけた傷は、治せないのだから。
どんなに効く血止め薬を使ったとしても、血は止まらないし、
どんなに祈っても、傷がふさがることは無い。
 「そんな…あきらめないでください!」
 声を荒げることのない君が声を荒げている。
そんな声を聞くのは、
とても悲しいけど…悲しいけど…。

 「仕方が無いよ。助からないって思うのは…『あきらめた』んじゃなくて、『事実』だから…」
 そう言って、僕は少し笑ったような気がする。
少しでも…君を安心させたかったから。
いや、感情を表に出さないと、僕自身がどこかに行ってしまいそうで…怖かったから。
 君は、僕の言葉を聞いて、唇をかみ締めていた。
 「ね…お願いがあるんだ。」
 「っ…なんですか?」
 君は、少しずれためがねを上げながら、言った。その声は、少し上ずっていた…。
 「僕の意識があるうちに…」
 そこから、どうなったんだっけ?
思い出せない…。
でも、とても苦しいことを言ったんだと思う。
だって、















君の顔が、すごく悲しそうだったのは、覚えているから…。












第一話