夜になろうとしていた。
空には、オレンジ色と藍色のグラデーションが広がっている。
僕は、そのとき森の中にいた。季節は冬で…雪が積もっていた。そして、腕に女の子を抱いていた。
女の子が僕の腕から出て、どこかへ行こうとした。
僕は、そのまま彼女と一緒に行かなければならない。急がないといけなかった
でも、
僕が取った行動は…
「おっと、あんたはここで消えてもらうよ。」
女の子を引き止める僕の腕。
ちがう、僕はそんなことを言いたいんじゃない。
「まったく…潔く、自分で消えちまっていたらよかったのに…。誰も、あんたの存在を望んじゃいないんだぜ?」
ちがう、僕はそんなこと思っちゃいない。
どうして、思ってもないことを言ってしまうのだろう。
…そうだ。「アイツ」が僕の中にいるからだ。
いつ、「アイツ」が僕の中にやってきたかはわからないけど、
「アイツ」は確実に僕の中にいる。
だって、自分の体が思い通りにならないんだから。
「そんな…私に言った言葉は嘘だったのですか?」
少女が言う。
その子は、きれいな空色の髪をもっていた。そして、青い瞳が涙で揺れる。
そうだ。
僕は、この子がこの世界にいてくれることを望んだ。
そして、僕は、彼女がこの世界にいることを心から望んだ。
それは嘘なんかじゃない。
それなのに、
僕の口が紡いだ言葉は…
「ああ、そうさ。嘘だって気がつかなかったのかい?おめでたいやつだな。」
そのとき、僕はどんな顔をしていたかわからないけど、
「アイツ」に乗っ取られた僕の瞳がとらえたものは、青い瞳からこぼれる涙と、
おぼろげになっていく彼女の姿だった。
そして、
気がついたら、僕は治せない傷を負っていた。
全て、僕のせいだったんだ。
取り返しの付かないことをしてしまった。
だから、僕は償いをする。
その結果、僕が僕でなくなったとしても構わない。
誰かが助かるのなら、僕はそれでいい。
もう、「誰も」悲しませたりはしない…。
後編1・第二話