とある町ではお祭が行われていました。 音楽が鳴り響き、おいしそうな匂いが漂ってきます。 その町の入り口に、お祭り好きのかぼちゃが立っていました。
(わー、賑わってるなあ!)
かぼちゃはわくわくしながら、町の中へと入っていきました。

「いらっしゃいませ〜。アッツアツのアッちゃんクッキーはいかがですかー?」
かわいらしい女の子の声に振り向くと、ピンクのワンピースを着た女の子と白衣のお兄さんが、お店で何かを作っています。 並べられた商品を見ると、ボロボロっとしていてまとまりの無い黒いものに、所々紫色のものがうごめいているものがピンクのリボンでラッピングされています。
(……これは…?さっきクッキーとか言ってたけど…)
そうやってかぼちゃが不思議そうな顔で商品を覗いていると、白衣のお兄さんが声をかけてきました。
「とってもおいしいですよ。試食もどうぞ。」
そう言ってにこやかに自分でもほおばりながら、かぼちゃにクッキーらしきものを差し出してきました。しかし…。
(これは危険だ…危険すぎる…!)
身の危険を感じたかぼちゃは、適当に断って足を進めることにしました。

かぼちゃが歩いていると、今度は大きなじゅわーっという、何か焼くような音がしたので、そこへ行ってみることにしました。
「いらっしゃい、いらっしゃい!肉たっぷりの焼きそばはいかがっすか〜!」
威勢のいい声を出しながら、獣耳の少年が焼きそばを焼いていました。 その隣ではドワーフの少年がお手伝いをしています。
(肉たっぷりの焼きそばもいいなあ)
そう思って焼きそばを見ると、本当にお肉がたくさん入っていました。 しかしその隣にはどうも様子が違う焼きそばがあります。野菜が見当たらないのです。 しかも何故かまだ赤い、明らかに生肉だろうというものが入っていたので、かぼちゃは恐る恐る聞いてみることにしました。
「これって生肉じゃ……。」
するとドワーフの少年が答えました。
「うん、そうだよ!とっても美味しいから、食べてみて!」
しかしまた身の危険を感じたかぼちゃは、適当に断って足を進めることにしました。

かぼちゃが歩いていると、今度は大きな歓声がしました。 見ると、そこには子供たちの輪が出来ており、その中心ではサングラスをかけたエルフのお兄さんがクラブを軽々と扱って、ジャグリングをしていました。 その見事な芸に、子供たちは大喜び!かぼちゃも見入ってしまいました。
(それにしてもグラサン…かっこええ…)
先程のクッキーがまさかこの人をかたどった物だとは知る由も無い幸せなかぼちゃは、たっぷりと目の保養をしました。

今度は少し静かな場所へ出ました。そこでは本がたくさん並べられていて、それを手にとって読んでいる人もいます。 辺りを見回すと小さな看板に「古本市」と書いてあったので、早速本を見て回ることにしました。 かぼちゃにとっては割と難しい本が多めでしたが、その中で少し気になった本があったので、それを手に取りお店の人のところへ持っていくことにしました。 店番の人はエルフで椅子に座って本を読んでいました。
「あのー、これ下さい。」
そう言ってかぼちゃは『トラップ 上級編』という本を差し出しましたが、お店の人はどうやら本に熱中していて、かぼちゃに気づいていないようです。
「あのー…すいません?」
かぼちゃがぐぐっと顔を近づけると、エルフは無表情でこちらを見ました。
「…何か?」
エルフの表情に、かぼちゃは少しドキッとしてしまいました。
「これ欲しいんですけど…。」
「ああ、はいはい。」
そうしてかぼちゃは、ようやく本を手に入れることが出来ました。

本を手にしたかぼちゃは、大きな広場に差し掛かりました。人がたくさん集まっていて、簡単な舞台のようなものが設置されています。 しばらくすると拍手がわきあがりました。何が起こるのかと思っていると、音楽と共にグラスランナーの少女が出てきて歌い始めました。
わたしゃ舞踏家のグラスランナー
上手に踊りを踊ってみましょう
タラランタンタン タラランタンタン タラランタンタン タラランタンタン
いかがです?
鈴をシャンシャン鳴らしながら、少女は軽快にステップを踏む様子はとてもかわいらしく、みんな拍手をしています。
今度は同じ音楽にのって、少年のような子供が出てきました。
わたしゃ音楽家森の住人
上手に笛を吹いてみましょう
ピピピッピッピ ピピピッピッピ ピピピッピッピ ピピピッピッピ
いかがです?
とても上手な演奏と、まわりで踊っている白いふわふわの動物に、またもや拍手がわきあがりました。
するとまた同じ音楽にのって、今度は青い服のお兄さんが出てきました。
わたしゃ音楽家バラの化身
上手に歌を歌ってみましょう
ララランランラン ララランランラン ララランランラン ララランランラン ラララ〜ラ〜 ラーララーラー! ラリラリルラー!!!
歌はだんだん激しくなり、なかなか終わりません。
(…帰ろうかな)
見ていた人もばらばらと帰り始め、かぼちゃも帰ることにしました。
(お腹空いたなあ)
こうしてかぼちゃのお祭りは幕を閉じましたとさ。


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