一行は宿にいた。
「なあなあフェル〜」
タオルを片手にしたハスティが、フェルナンディに言った。
「なんですか、ハスティ君?」
「ここの宿、露天風呂があるらしいんだけど、今から行かないか?」
「露天風呂……いいですねえ」
すると、フェルナンディハ白衣の中をごそごそとあさって、お風呂セットを出した。
「是非、ご一緒させてください」
「よし!後は…」
そう言ってハスティは部屋の中を見回した。
リディとアイルザッハ、ボクの三人は買い物に行っていていない。
ルグイは部屋の隅で読書に没頭し、マリーはその隣で寝てしまっている。
もう一人、機械いじりをしているナナオがハスティの目にとまった。
「ナナオも行かないか?」
「どこに?」
「露天風呂。今からフェルと入りに行くんだけど…」
「露天風呂…?」
そういいながらちょっと首をかしげるナナオ。
「ナナオ君もどうですか。なかなか気持ちがいいですよ」
あまりよく分かっていないようだったが、フェルに勧められてナナオも入ることにした。
「よっしゃ!それじゃ行こうぜ!さっさと!さっさとさっさと…」
何故か焦っているハスティ。するとその背後から一本のバラが飛んできて、ハスティの足元に突き刺さった。
「待ちたまえ!どこへ行こうというのかね???」
ラッセンが待ったをかけていた。
嫌な予感が的中したハスティは、苦笑いしながらゆっくりと振り返った。
「…ろ、露天風呂だけど…?」
「是非、僕も一緒に行きたいのだけれど…ダメかなあ???」
「ダ…」
「メ」とハスティが言う前に、フェルナンディが口を開いた。
「いいですよ。露天風呂はみんなは大勢で入った方が楽しいですしね♪」
「ちょ、フェル…」
焦るハスティ。しかしいざという時は吹き矢を使うと小声で言うフェルナンディに、ハスティは渋々了解した。
「さあ〜露天風呂へと行こうじゃないか!」
ラッセンが一行の先頭を張り切って歩いていった。
「さあ〜入るぞ!…って」
服を脱ぎ終わって準備万端のハスティが辺りを見回すと、同じ状態だったのはフェルナンディとナナオだけだった。
「おい…ラッセン」
「なんだい、ハスティ〜?ララー♪」
ラッセンは服の裾をつまみくるくると回っている。脱ぎ終わっていないどころか、全然脱いでいなかった。
「お前、まだ脱いでなかったのかよ」
「もう少しさ!♪ちらっと見える僕の〜」
「行こうぜ、フェル、ナナオ」
ラッセンに愛想をつかしたハスティは、さっさと行ってしまった。
「待ってくれたまえ〜。もう〜つれないなあ〜」
不満を言いつつも、再び脱ぎ始めた。
腰の紐を解き始める。
「ル・ラー!」
するとどこからか細かく鳴り響く小太鼓の音が!
ラッセンは解いた紐を空高く投げた!
その間に光速で回る!速い!
そして派手なシンバルの音と共に、落ちてきた紐を口でキャッチ!
華麗なるポーズに、芸術点も+7だ!
あまりの素晴らしさに、観衆も総立ち!それにラッセンも手を振って応えている!ああ…感動のあまり涙が出ています!ラッセン選手、青い服とシャツ、ズボンを残して現時点でトップです!
……などとやっているうちに、ようやく脱ぎ終えた。
「さて、入るとしようかな〜」
ラッセンがいざ入ろうとすると、後ろから声がした。
「もしもし、そこの素晴らしいお方…」
その言葉に、ラッセンは声をかけられているのが自分以外の誰でもない事を勝手に確信すると、最上級の微笑を浮かべて振り返った。
「何か用か〜い???」
その瞬間、ラッセンは何かで頭を殴られ、髪をきらめかせながら散った…。
その頃風呂場で三人は湯船につかっていた。
「いや〜やっぱり露天風呂は気持ちがいいですねえ」
頭にタオルを乗せているフェルナンディ。妙に似合っている。
「ホントだなあ〜」
ラッセンがいないので安心してつかっているハスティ。
ナナオもお湯にたっぷりつかって、気持ちよさそうな顔をしていた。
「あー気持ちよかった。おい、ラッセン。おいら達もう出ちゃったぜ」
露天風呂を堪能したハスティがガラっとドアを開けると、そこには倒れたラッセンの姿があった。
「おい!お前、どうしたんだよ!?」
慌てて駆け寄る3人。
「大丈夫ですか!?」
しかしそのフェルナンディの問いに、返事は無かった……。
終
フェルナンディ「あれ?犯人探しはやらないんですか?」
ハスティ「っていうか、あの格好で倒れるって恥ずかしすぎ…」
ナナオ「夕食って何かな〜?」
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