二人が教会の前を通った時、その入口には多くの人−内側には女性が、それを少し遠巻きにして男性がいた。
やがて高らかに鐘が鳴り、喚声と共に白い衣装に身を包んだ男女が現れる。
「あ、結婚式みたいですね、アイル兄さん」
その内の一人、緑の服を着たハーフエルフが笑顔を浮かべ、
「あの花嫁さんが投げる花束を取った人が次の花嫁になれるんだそうですよ。リディがいたら光の速さで飛んで行きそうですね」
と言い、もう少し近付いてみていいですか?とゆっくりとそこへ向かっていった。
が、元々人込みの苦手なハーフエルフだ。殺気立った女性陣の作り出す壁に阻まれ、それ以上近寄れなくなってしまう。
「凄い迫力だな」
あとからやってきたアイルザッハが呆れたように声を掛けると、
「どうして皆さん独り占めしたがるんでしょうね、仲良く分ければいいのに…」
と消沈した様子で返す。
「まあ、それもそうだが…」
アイルザッハが言ってそちらを見る。
もはや説得は不可能に近い。
さらにこの距離ではかなりの大きさで叫ばない限り声が届くことはないだろう。
けれどボクは「あ、そうだ…っ」と言い、次の瞬間ブーケが花嫁の手から放たれた。
「皆で分けられるようにすればいいんだ…!」
ボクは即座にその獲物である弓に手を伸ばし、素早く矢を番えると絶妙なタイミングでそれを放つ。
…人々の目の前で、ブーケが四散した。
「ふぅ、これでよし、かな…」
ブーケの花が女性達の上に均等に降り注ぐのを見ているボクの隣りで、アイルザッハは並々ならない殺意がこちらに向けられていることに気付き、
「行くぞ、ボク!」
とその手を引いて走り出した。
そんなアイルザッハの様子を気にもせず、彼の後を走りながらボクは微笑んでいた。
「皆さんが幸せになれるといいですよね、アイル兄さんっ」
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