というわけで体で食事代を払う事になったラッセン。
まずは汚れた調理着やテーブルクロス等を洗う様命じられた。
「これは随分と汚れてるね〜。僕が美しくしてあげよ〜う」
全ての洗濯物が乾いた頃、店長が確認に来る。
「…なんだこれはーっ!!」
それを見るなり声を上げる店長。
洗濯物は全て濃いピンクに染まり、ご丁寧に薔薇の刺繍が加えてある。
「どうだい美しいだろ〜う?」
自信満々のラッセンだったが、
「レストランは清潔感が大切なんだ!もういい調理用具を洗ってろ!」
そう怒鳴られて「折角美しくしてあげたのに残念だね〜」渋々調理場へ行った。
次々積み重ねられるフライパンソースパンその他を、辺りにシャボン玉を飛ばし自分の回りをキラキラ輝かせながらラッセンは洗っていく。
客足が途切れたところでそれらを調理台へ戻すと、
「一体何ごとだ!?」
と料理人達が騒ぎ出した。
見ると全ての取っ手に薔薇の細工が付けられている。
「素晴らしいだろ〜う?」
相変わらずシャボン玉を従えながらラッセンが言うが、
「持ち手に薔薇の蔓(棘付き)が巻き付いてたら料理が作れないだろうが!」
一斉につっこまれ皿洗いにまわされる事になった。
今だにシャボン玉で輝くラッセンが洗って拭いて置いていく皿に店長はじめ料理人達が目を光らせていたが、幸い薔薇は付いていない様だった。が、
「うわーっ皿に何をした!?」
料理人の一人が叫ぶ。
その皿からは薔薇の香りが漂っていた。
「とても香しいだろ〜う?」
薔薇を片手に言うラッセンに店長が
「香りも料理のうちなんだ!こんな匂いが付いていたら香りが混ざって食べる気しないだろうが!」
激しく怒り、
「いい加減疲れたよ…」
へなへなと座り込む。
「それなら僕が元気の出る歌を歌ってあげるよ〜。ラァララララ〜」
止める時間もなくラッセンが『ビブラートを』利かせて歌い出す。すると…。
パリンパリンガシャンと音がして重ねられた皿が割れだした。
「やめろーっ!!」
店長の叫びに料理人のフライパンが唸りを上げ、ラッセンは可憐に散った。
その後、彼がどうなったかは定かではない。
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