二人が教会の前を通った時、その入口には多くの人−内側には女性が、それを少し遠巻きにして男性がいた。
やがて高らかに鐘が鳴り、喚声と共に白い衣装に身を包んだ男女が現れる。
「うわぁ!あっちゃん、結婚式だよ!」
その内の一人、ピンクの服を着たエルフの少女が瞳を輝かせ、
「前にぼーちゃんに、あの花嫁さんが投げる花束を取った人が次の花嫁になれるんだって教えてもらったの!」
と言うが早いか光速を超える勢いでそこへ全力ダッシュしていった。
が、エルフの少女の力だ。殺気立った女性陣の作り出す壁に阻まれ、外へ弾き出されてしまう。
「大丈夫か?」
あとからやってきたアイルザッハが尻餅を付いていたリディを抱き起こすと、
「うん、平気!これくらいじゃ、諦めないよ!」
と元気よく返す。
「だがこんなに離れていては…」
アイルザッハが言ってそちらを見る。もはや近付くことは不可能に近い。さらにこの距離ではかなりのナイス投球をしてくれない限り手が届くことはないだろう。
けれどリディは「まかせて!」と言い、次の瞬間ブーケが花嫁の手から放たれた。
「あっちゃんのために頑張るんだから!」
リディは即座に彼女の獲物である鞭に手を伸ばし、素早く振りだすと絶妙なタイミングで手首を返し引き戻す。
…人々の目の前から、一瞬ブーケが消えた。
「わーい、やったやったぁ!」
ブーケを手に喜ぶリディの隣りで、アイルザッハは並々ならない殺意がこちらに向けられていることに気付き、
「行くぞ、リディ!」
と彼女を抱えて走り出した。
そんなアイルザッハの様子を気にもせず、彼の腕の中でリディは微笑んでいた。
「このお花でお菓子作るからね、あっちゃんv」






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