鬼の面が一つと豆入りの枡が二つ。
それを囲んでハスティ、ナナオ、マリーが今まさに真剣勝負を始めようとしていた。
一人は両手を捻って合わせ、腕を捩じってから合わせた手の中を覗き込み、一人は左手の甲に右手の人差し指を押し付けて出来た皺を眺め、一人は少し軽めに握った拳を望遠鏡の真似をする時の様にし て中に入ってくる光の形を見ていた。
やたらゴシップに惑わされている感があるが兎に角戦いの火蓋は切って落とされ、
「…じゃんけんぽんっ!」
三人は各々その手を武器と化して勝負に挑んだ。
「あ゛ーーーっ」
最初に声を上げたのはマリーだった。
「よしっ、マリーの負けだっ」
ハスティがそう言って枡を取り、
「じゃあマリーが鬼役ね」
ナナオもそれに続く。

…数分後、
「こらーっ、避けるなーっ」
「待ってよーっ」
息を荒らげている二人に鬼の面を被ったマリーが余裕で振り返り、
「グラスランナーの走力をなめないでよねっ」
笑って言った。
鬼退治に至るまで、まだまだ時間が掛かりそうである。








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