バタンっ。
宿屋のドアが乱暴に開かれ、
「あっちゃーん!」
リディが部屋に駆け込んで来た。
いつものように抱き付いてくる…と思ったが、今日は違う。
手に持っていた紐付きで縦長の紙を、ずずいっとアイルザッハの目の前に突き出してきた。
「あっちゃん、これにお願い書いて!」
言われたことの要領を得ず聞き返すと、
「今日この街はタナバタっていうお祭りの日で、このカードにお願い書いてササに吊しておくと、それが叶うんだって!」
楽しそうな答えが戻って来た。
ほぅ…、と呟くと、
「あっちゃんは何て書くのっ?」
大きな瞳でリディが尋ねてくる。
「そんなにすぐには思い付かないよ。…リディはもう決めたのか?」
「うんっ、『あっちゃんだーい好きっ!』って書くの!」
リディはそう真面目に答えた。
「それはお願いじゃないだろう?」
少し笑いを含んだ声でアイルザッハが言うと、
「あっ、そっかぁ。じゃあ『ずっとあっちゃんと一緒にいられますように』にするっ!」
とグーにした手を頭上に掲げる。
「…そう言えば、そのタナバタっていうのは何を祝うんだ?」
ふと頭を過ぎった疑問を口にすると、よくぞ訊いてくれたとばかりに、リディは街の人から聞いたオリヒメとヒコボシの伝説を語り始めた。
「なるほど、いい話だな」
そう感想を述べると、
「うん、とってもロマンチック!」
リディが嬉しそうに返す。
「リディもそういうのに憧れるのかい?」
何気なくそう尋ねると、
「ううん、ステキなお話だけど、あっちゃんと離れ離れは絶対ヤだもん!」
言うが早いか、ぎゅっと抱き付いてくる。
アイルザッハはリディの頭を撫で、彼女が離れた後で紙に素早くしたためた。
『リディの願いが叶いますように』…。

「…あっ、やっぱりお願い変えて『あっちゃんにいっぱい料理食べてもらえますように』にしよっとv」
「………え゛っ!?」



頑張れ☆




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