「News23」

 ニュース番組といえば、以前はこちらがメインでNステはサブだった。
しかしある時を境にこちらは一切みなくなった。その原因は「異論・反論
・オブジェクション」という、筑紫キャスターが時節の身近な事柄にアクセス
する短いコーナーだった。

 その日は「都心の工事渋滞」が話題で確かこう発言した。
「工事渋滞で喜ぶのは、(メーターの上がる)タクシーの運転手ぐらいのもの」
このコメントには正直驚いた。いやしくも新聞記者を出発点に長くジャーナリ
ズムの最前線に身を置く人が、全く取材のかけらも感じさせない発言だった
からだ。タクシーは効率仕事で動いている。完全歩合制賃金の労働集約型
の職業にとって、極論すれば、時間との戦いがすべてなのだ。局差し回しの
黒塗りのハイヤーを途中で乗り捨て、自腹で2〜3のタクシーに当たってみた
ら、こんな発言はできようはずもなかっただろう。

 放送中にTBSにはタク関係の労働団体を始め抗議の電話が殺到したのか、
後でバツ悪そうな顔をして訂正していたのが情けない。
我田引水的に思われるかもしれないが、問題はタクシー運転手云々ではなく
その俯瞰の視線なのだ。
社会の底辺を構成する小さき神の造りし人たちと同じ目線を持たずして、今日
は語れず明日も見えない。そしてそれこそがジャーナリストに求められる最低
の資質ではないだろうか。

 理解にしろ誤解にしろそれを助長するという意味でマスコミは大きな役割を
担っている。その本質を忘れ、自らの名を冠し文化人気取りのキャスターの番組
などに要はない。大学院でジャーナリズム論を講義するそうだが、一体何を教え
るのだろうか・・・。