ソングブック
ニック・ホーンズビー著 森田義信訳
(新潮文庫 2004年)
580円

45歳英国中年男性にとっての「ポップソング」論。かつてあれだけ心ときめかせた曲の数々、しかし人生の時を経た今となってはとても聞くに絶えないものばかり。でもだからといって価値がないと言えるか?そりゃ過去の時間の中ではあるが、ちゃんと輝いているではないか。若かりし頃、わき目もふらず夢中になったこと、ポップソングに心を奪われたという事実に意味があるのだ。そしてそんなバカな片思いは、やはり一生していたいのだ。だからポップソングは永遠に大切なのだ。と感じた。
目次の曲名やアーチスト名に馴染みがなくても大丈夫。
40代の愛ある音楽ファンなら必ずや楽しめます。


「これから数十年の間に想像もつかないようなことがこの身におきないかぎり、僕はポップ・ミュージックやそれに類するものだけを聞き続けて生きていくつもりだ。‥音楽とは、色だとか雲だとかとおなじように、知でも無知でもなく、ただそれそのままであるのだから。どんなに無意味でバカげた曲においてさえ、コードとは最もシンプルな基本要素であり、美しく、完璧で、神秘性にあふれている。そしてそんなコードを、文字もろくに読めず、教育もなく、文化程度も低く、人の気持ちを思いやることもできないブタ野郎がふたつならべてくっつけると、そこには、すばらしくて力強い何かが生まれる可能性が広がっていく。‥ぼくは基本的に、複雑で知的なものほど音楽としては上等だという意見には絶対反対の立場をとる。‥ぼくはお上品だからクラシックをきらっているのではない。きらいな理由は、‥少なくともぼくの耳には、一日や一週間や人生をかたちづくるささいな感情を聞かせてくれないからだし、バックボーカルやベースラインやギターソロが聞こえてこないからだし、クラシックが好きだと言ってる人の多くがほんとうは音楽なんて(そして文化なんて)ちっとも好きじゃないからだし、ぼくがそれ以外のものを聞いて育ってきたからだし、‥」

(以上、本文から抜粋)

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