1929年10月24日。ニューヨーク証券取引所で「世界恐慌」が起こった。
本来ならば解決するはずの恐慌は、独りの政治家によって劇的崩壊。
マンハッタン島は銃による武力支配の街「クレイジーニューヨーク」に変貌していく。


ガンマンの、ガンマン達のための街。クレイジーニューヨーク。
恐慌を続け人々を貧困へと叩き落した政治家を倒すため、人々は探す。
最強の暗殺者。最強のガンマン。この悪夢を、暗雲を晴らすガンマンを。


『独り咲きクロッカス』と呼ばれる青年がその位置に最も近いと
噂されるようになってから数年の時が過ぎた。
圧倒的な実力、冷酷にして正確なその一撃は伝説となり、皆が彼に憧れた。
「彼ならやってくれる。あの政治家を倒してくれる」。


……希望が砕かれたのは、ある雨の日のこと。
命の危険を感じた政治家が放った独りの美少年。
『白銀のオーキッド』による、『独り咲きクロッカス』の殺害だった。

街は報じた。伝説の男の死亡、そしてこの街の永続的な終焉を。


『独り咲きクロッカス』が死んでから、この街には厚く雲が垂れ込め、
一度も晴れることは無い。人々は怯え、街は枯れていく。

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そんなある日。『白銀のオーキッド』による支配を受ける街で
独りの男が目を覚ました。白いコート、白いスーツ。革手袋に歪んだ赤い目。

――傷だらけで、男は呟いた。






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