| 国際赤十字赤新月社(IFRC) 鳥インフルエンザ:良くある質問集 訳 沖縄県南部福祉保健所 健康推進班 医師 宮川桂子 印刷用ファイル 鳥インフルエンザって何? 鳥インフルエンザは、基本的に鳥類(鶏、アヒル、ガチョウなど、定住する鳥、渡り鳥どちらでも)に感染するウイルス感染症です。しかし、時に、ほかの動 物、豚やトラなどにも感染します。まれに、人に重篤な感染症を引き起こすこともあります。鳥インフルエンザウイルスには、様々な異なった系統や変化した株 があります。それらは、インフルエンザウイルスの亜型となりますが、他の亜型に属する株として、毎年世界中で人に感染して流行を起こすインフルエンザウイ ルス株があります。 どのように鳥インフルエンザは広がるのか? 鳥インフルエンザウイルスは、主に、感染した家禽類、例えば、鶏、アヒル、七面鳥、など、あるいは、感染した野鳥によって広がります。もし、人がそれらの 感染した動物に濃厚に接触すると、感染して発病することがあります。ですから、家禽類から飛散してくる物質を吸い込んだり、濃厚に接触することは避けるべ きです(羽、糞、血液、分泌物、感染した鳥肉そのものなど)。そして、いつも、家禽類と接触した後はよく手洗いをすることが必要です。 どうして鳥インフルエンザは危険なのか? 鳥インフルエンザウイルスは、人に感染すると、統計的に40〜60%の人を死に至らしめています。すなわち、非常に病原性が高い故、地域住民、食と農業担当者、保健当局者、そしてWHO(世界保健機関)の強い関心と警戒心を引き起こしているのです。 鳥インフルエンザウイルスの、H5N1という亜型は、2003年以降の東南アジアや、最近では南アジア、ヨーロッパ、アフリカ、中東などの家禽類で、かつ てない広い範囲で流行してきていますが、さらに病原性を強めたり、人に感染しやすい系統に変化する可能性をも持っています。すなわち世界的に大きな流行、 パンデミックを起こす可能性があるといえるのです。 パンデミックインフルエンザとは何か、そしてどうしてそれを恐れなければならないか? パンデミックインフルエンザとは、人のインフルエンザで世界的に流行するものを言い表しています。ある地域からそのウイルスが感染拡大し始めて、世界中に 非常に素早く広まるということを意味しています。(通常パンデミックを引き起こすインフルエンザウイルスは、人々に免疫がないため、感染性が強く、また毒 性も強い性格を持っています)。 パンデミックは、前世紀には、3回起こっています。 1918年−世界人口の約20%がスペイン風邪にかかったと言われています。(4千万人が死亡したと推定されています) 1957年(アジア風邪)と1968年(香港風邪)のパンデミックでも、世界中で多くの死者を出しています。 もうすぐ、パンデミックはまた起こるのか? 現在アジアのある地域や、最近では中東、アフリカやヨーロッパで流行している鳥インフルエンザウイルスは、非常に病原性(高病原性)が高いと考えられてい ます。その意味することは、鳥一般に対しての感染性が非常に高く、鶏やほかの鳥類にとって致死性が非常に高いということを表しています。(注:高病原性の 定義は鶏などの家禽類に対して、致死率の高いこととなっている)。 科学者やWHOは、世界は、これまで50年間のうちで、現在、最もパンデミックに近づいている、と考えています。パンデミックウイルスは、非常に感染性が高く、短時間のうちに非常に早く伝搬していくと考えられています。 人の、鳥インフルエンザ感染の症状は? 鳥インフルエンザ感染の症状は、通常のインフルエンザと非常によく似ています。主な症状は以下の通りです。 発熱(38度以上) 筋肉痛 激しい咳 息切れ 倦怠感 鶏や鶏卵を食べるのは安全か? よく熱を通した肉や製品を食べるのは問題がありません。鶏肉や鶏卵はよく熱を通して、ピンク色をした液が出てこなかったり、生の部分がなければ心配なく食 べられます。卵は、固ゆでするか、完全に火を通す必要があります。決して生卵を食べてはいけません。冷凍鶏肉を解凍して扱うのは、ウイルスが生きている可 能性がありますので、100%安全とは言えません。解凍した鶏肉や内臓を扱った後は、石けんで手洗いすることと、まな板など鶏肉を扱った表面を水と洗剤で 洗うことが必要です。 鳥あるいは人インフルエンザウイルスから自分自身を守るためにできることは? 1. 鳥及び人インフルエンザ感染を防ぐための手段としては、基本的な衛生手技、すなわち、手洗いの励行や咳の際に口をふさぐこと(咳エチケット)などで、通常は充分です。 2. 特に鳥インフルエンザウイルスの感染を防ぐためには、病気に罹ったり、死んだ家禽類との接触を避け、家禽類の肉や卵を料理する際は充分火が通ったことを確認します。インフルエンザウイルスは、摂氏70度以上で死滅します。 もし、インフルエンザパンデミックが発生したら、流行を防ぐために、混雑する場所(マーケットなど)を避けること、仕事に出ないで家にいること等が、保健 当局から指導されると思います。基本的衛生手技の実行の確認や、マスクを確保することも重要なことです。このような予防手段により、公衆の場に出ていかな ければならないときには、病気の感染予防を可能とします。マスクを適切に着用することは、もし家族の誰かが感染した場合にも、ほかの家族を守ることに役立 ちます。 鳥インフルエンザワクチンはあるの? いいえ、人に対する、鳥インフルエンザワクチンはありません。家禽類に対するもののみが、現在あります。人に対するワクチンは、開発途中ですが、まだ、人 に安全で有効であると証明された物はありません。試作品は製造途中ですが、充分なワクチン量を製造するためには数ヶ月かかり、その間、インフルエンザウイ ルスは頻繁にその遺伝子構造を変化させているために、数ヶ月のうちにそのワクチンが有効でなくなってしまう可能性もあります。人用のインフルエンザワクチ ンは、普通、鶏卵を使って作られますが、鳥インフルエンザワクチン製造には、これができません。ウイルスが、あまりにも病原性が高いため、鶏卵中の胎児に とっても致死的だからです。 ワクチンは、通常の季節性の人インフルエンザウイルスに対するものだけが、現在あります。総じて、ワクチン接種により約70%の防御効果が期待されます。 またワクチン接種した人が発病したとしても、(非常に)軽い病態ですむ傾向があります。世界での製造会社は限られています。(イギリス、フランス、そして 比較的少ない割合であるが、アメリカ、カナダ、日本で作られています)。今日、その製造能力は、最大3億人分で、世界人口のわずか5%を防御する量しかあ りあません。これには、将来、慎重な目標設定が要されます。 注1:ワクチンには、北半球用と、南半球用がある。どちらが適応となるかは、個々の場合に医師に相談すること。 注2:乳幼児、慢性疾患のある者、医療従事者、そして50歳以上の者は、ワクチンの優先接種の対象となるべきである。 注3:人インフルエンザワクチンは、鳥インフルエンザウイルスに対して防御の意味はほとんどない。しかし、人の中で、人インフルエンザウイルスと鳥インフルエンザウイルスの同時感染を防ぐ効果はある。 どうして我々は心配しているのか? 鳥インフルエンザウイルスは、現在、遺伝子配列を変化させています。遺伝子変異により、今よりもっと、病原性を強めたり、人への感染性を高める可能性もあ ります。さらに、ほかのウイルスの遺伝子を取り込み、性質を変えていくこともあります。これがまさに、1918年にあった世界規模のインフルエンザウイル スで起こったことです。 現在の主な心配は、鳥インフルエンザウイルスが、咳やくしゃみ、または接近することによって、人から人へ感染する能力を獲得するのではないか、ということ です。これまでのところ、そういう能力を獲得したという証拠はありませんが、もし、これが起こると、最初の発生地からいかに有効で素早い囲い込みができる かにもよりますが、非常に深刻な世界規模の脅威になりえます。 |