サッカー指導員講座レポート

東京都サッカー協会技術委員会主催
平成14年度 公認 少年・少女指導員養成講習会 参加レポート
私たちのクラブでは、東京都サッカー協会が勧める少年、少女のためのサッカー指導法を基準に、子供たち
にサッカーを指導しています。ご覧になってください。

目次(右のサッカーボールをクリックすると各々の項目にリンクします)
1.子供の発達発育に関する知識
2.コーチング法
3.コーチの心得
4.トレーニングの具体例



1. 子供の発達発育に関する知識
サッカーの基本は判断力と創造性
これを身につけることによって、クリエイティブで、たくましい子供を育てることを少年、少女のサッカ
ー指導の目的とする
自立期における少年、少女の成長、発達は一様でない
⇒課題の吸収の度合いもまちまち⇒吸収しやすいタイミングに、相応しい課題を与える
「子供たちが楽しんでいることを大切に!」
⇒目先の勝利にばかり目を奪われない⇒後の発達を妨げることになるかもしれない
長期的な視野に立ったサッカー選手の育成
悪い例:ロングキックの出来る子供を後ろから蹴らせ、足の速い子供を飛び出させて得点
理由:一人の子供に偏ったプレーばかりさせると怪我の原因にもなる
子供は小さな大人ではない
子供の判断力、理解力、身体能力、身体の形態は大人とは違う
「内蔵機能の発達は10才で大人の倍、神経回路の発達も10才でほぼ100%に達するが、運動能力は
20才を100%に徐々に発達していく。従って、サッカーに必要な技術的なプレーは早く身に付くが、
身体能力が足りないためにスピードとパワーが追いつかない」
神経回路の発達途中の時期で、運動能力の基礎を身につけさせる年代。遊びも含めたさまざまな
5才から8,9才(幼稚園年長から小学3年生に当たる)=プレ・ゴールデン・エイジ
いろいろな運動をさせることで、発達を手助けし、サッカー好きにしてあげてゴールデン・エイジの
動ための準備をする。子供たちを飽きさせずに、興味を持ったことを中心に指導し、自主性を失わ
せないことも必要。反復練習は避ける方がいい。
10才から13才(小学4年生から小学6年生に当たる)=ゴールデン・エイジ
この時期にはサッカーに必要な技術(クリエイティブな選手=判断を伴う正確で実践的な技術)を容
易に身につけることのできる年代である(即座の習得=神経回路の完成期で、大脳の可塑性が高
く、動作を習得するための準備が整っているので、教えられたことは吸収しやすい)。
13才ごろから以降=ポスト・ゴールデン・エイジ
筋肉や骨格の成長が急で、それまでのバランスが崩れ、そのため感覚が狂い、習得した技術が出
来なくなったり、上達に時間がかかったりする。これを「クラムジー」と呼ぶ。
この時期の子供には、すでに獲得した技術をより厳しい実戦の中でも発揮できるようなトレーニン
グをする。また、戦術面の理解度がアップするので、その面の練習も効果的である。いずれにして
も「思春期」ともされるこの時期は個人をよく理解し、指導することが必要である。
少年期の子供の身体的発達の特長とスポーツ障害
子供の骨は関節部分に骨端線と呼ばれる柔らかい骨がそれまでの堅い骨を被うように、骨の成長
部分に付着するように成長する。
子供の筋肉や腱は柔軟性があるので肉離れや腱の断裂は起こり難いが、大きな負荷がかかり過ぎ
るとこの骨端線に負担がかかり、損傷しやすい(特に、)
無理な筋肉トレーニングや長時間の運動は避ける方がいい。

           
2. コーチング法
1.クリエイティブでたくましい選手を育てる
戦術的理解/指示 ⇒クリエイティブでたくましい選手のPlay
判 断実践的技術の発揮
観 る(ボール・ゴール・見方・相手・スペース) 実践的技術の習得
有効な視野の確保(グッドボディーシェイプ)
↑ 
闘 う 姿 勢
上の表:良い選手とは「闘う姿勢」をベースに、グランド外のコーチの指示を参考に、常にグッドボ
ディーシェイプで有効な視野を確保し、ボールやゴールやスペースなどを観て、どうプレーするかを
判断する。もちろん、そのプレーは実践的な技術を習得し、尚且つ、試合で実践できる能力に裏打
ちされている。
2.ゲームを分析する(始めたばかりの子供たちのゲームは団子状態になる)
団子状態のゲームの原因:ボールが自由に扱えないが、ゴールよりもボールに触れたい気持ち
が強い
団子状態のゲームのメリット:ドリブル・フェイント・スクリーン・ターンなどの技術が芽生える/相手を
抜こう(攻撃の意識)/相手に抜かれないようにしよう(守備の意識)
子供たちのサッカーが送ってくるサインを観察、分析して指導に役立てる
3.テーマに対して焦点を絞ったプランニングと指導
現状を分析、改善すべき点を絞ってトレーニングをプランニングし、指導する。
グッドオーガナイザーになろう!
4.コーチングの実際
MTM方式:Match(ゲーム)⇒Training(トレーニング)⇒Match(ゲーム)
@ まずゲームをさせ、その中でその日のトレーニングのポイントを意識させる
A トレーンニングの種類はビデオで・・・
B 最後にまたゲームをさせ、その日のトレーニングの成果を確認させる
5.ゲームの中での指導:観る、聞く、行う
スモールサイドゲーム:基本的には4×4で、このゲームの中では選手一人のボール
触れる回数が格段に多く、状況を観察、判断して技術を発揮
するための実戦的、技術練習になる。
ゲームの中でのコーチング
@ ゲームフリーズゲームを止めて、直接指導
A シンクロコーチングゲームを止めないで、指示をする
B ミーティング言葉による説明が長くなりすぎることに注意。
コーチにとって大切なことは子供に問題の解決法を与えることではなく、自ら解決法を見出す能力を身につけさせること。その際に、問いかけが重要になる。
6.適正人数での指導
同じ年齢でも、発達の度合いにも理解力にも子供一人一人で大きく違う。子供一人一人に十分目を向けるには人数に限界がある(講座では15人〜20人と言ってました)

3. コーチの心得
クリエイティブでたくましい選手を育てるための二つのキー・ワード
アイコンタクト(サッカーはコミュニケーション)
目と目の合図でお互いの意思疎通を図るコミュニケーション手段。声かけ、身振りなども。
グッド・ボディー・シェイプ(サッカーは点を取るゲーム)
よい視野を確保するための身体の向きと姿勢。
コーチの役割十か条
@ サッカーの楽しさを伝える
動く楽しさ(子供の活動欲求に応える)/かかわれる楽しさ(コミュニケーション、仲間が出来る楽しさ)/出来る楽しさ(技術の習得―出来ることと出来ていないことの明確化)/わかる楽しさ(戦術の理解、動き方がわかる、判断してプレーする楽しさ)
A 結果より成果を重視する
B よいプレーはほめる(p2の5.参照)
C スモールサイドゲームを多くさせる(子供たちがボールを触る回数を増やす―p2の5.)
D 対外試合だけでなく、チームでのトレーニングを大切にする
E 試合には全員を出す
F 子供たちに合った練習時間、回数を考える(p2の5.参照)
G 一人のコーチが見る子供の適正な数を考える
H フェアプレーの徹底
ルールの理解、ルールの精神[安全、公正、喜び]の理解
レフェリーへの敬意、相手チームへの敬意
現在のルール改正の目的は、
(1)得点機会を増やす(2)選手の安全(3)イン・プレー時間を長く、などなど。
I グッド・スタンダード[子供の見本になる]
  情熱、誠実さ、忍耐、論理的分析的思考(p2の2.参照)、発達発育や学習過程に関する知識(p1参照)、効果的指導の方法(p2の4./5.参照)、子供のやる気、自信を高める(コーチはグッドモティベイター:やる気を引き出す、やる気を刺激する人)
熱中症の予防法
@ 環境条件に応じた運動、急速、水分補給
A 環境条件に慣らしていく(軽い運動から徐々に)
B 水分補給(夏合宿などでは、毎朝体重を測定。合宿前と比較した体重減少:要注意!
C 吸湿性、通気性のよいウェアを着用
熱中症の対処法(体温調節が出来なくなっている、ということを前提に)
@ 運動中止、涼しい場所へ
A 水分補給
B 頭部を低く、手足の末端から中枢へマッサージ
C 冷水で身体を冷やし、周囲からあおぐ
D それでも体温が下がらないときは、病院へ!
打撲・捻挫・肉離れの場合
RICE(ライス)の処置:Rest(安静)、Ice(氷で冷やす)、Compression(軽い圧迫)、Elevation(心臓より高くあげる) 

4. トレーニングの具体例
1. サッカーとは/コミュニケーション
サッカーのトレーニングに使う道具だけを与えて遊ばせる(自主性を養うために)
複数集まってゲームをする者/3,4人でフット・テニスをする者/一人で遊ぶ者
手上げゲーム:名前を呼んで手上げを渡す/手で指示して渡す/視線で渡す(アイコンタクト)
これに相手チームを入れて鬼ごっこ(手を上げている選手が鬼)
手上げの代わりにボールを使う(一個、二個、最大チームの一人だけボールなし)
アイコンタクトからパス
ドリブルでコーンを一周/自分でボールを投げ上げてソフト,ウェッジ,腿,胸・コントロールからパス/パスを受ける側をコーチがDF/選手がDF
パスやコントロールができない選手はトレーニングから呼び出して個別指導→ゆっくりでも完全に出来てから戻す
2. ボールフィーリング・初心者の指導
4人ほどのチームに分け、4種類ほどの違った色のビブスを着せる
グリッド内をジョギング/前後左右の動きも取り入れる/スペースに駆け込ませる
上の動きの中でコーチが指定した色の選手に座らせる/他の色の選手は座った選手の側で座る/各々違う色の4人に集めさせる
Trainingボールタッチ/グリッド内を自由にドリブル、お腹、お尻など指定した体の
部位でボールを止める/チームを対面させ、ドリブルで交差させる→反対
側に着いたときビブスの色を交互に並ぶ/チームを四方置き、四方から
ドリブルで反対側に抜ける/中央に四角のグリッド、その四角の四隅に
さらに四角のグリッド→自由にドリブル、合図で自分のグリッドに戻る
→四つのグリッドを一周→真ん中のボールを、自分のグリッドに持って
くる(奪い合いOK)
3. ゴールを奪う シュート
Match(ゲーム)ゴールが見えているのにシュートしなかった、など。
Training(1対1)ファーストタッチでよい視野を確保→シュート(球出しコーチ→選手)
Training(シュート)両サイドのゴールにいる選手に交互にパス(ゴールの選手はどちらかに
寄る-任意) 
Training(シュート)パスを受け、反対のゴールにシュート(ゴール内の選手はどちらかに寄
る-任意)―最初の球出しはいずれも真ん中からコーチ→チームで対抗
させる 
Match(ゲーム)トレーニングで得た技術が発揮されたら、ほめる(得た技術を選手に確認
させる)
4. ゴールを奪う 突破からのシュート
Trainingグリッド内を自由にドリブルさせ、お腹、お尻など指定した体の部位でボールを止める
 ドリルインサイドフック/アウトサイドフック/クライフターン/ドラッグバック/ストップターン
/ステップオーバー
Trainingグリッド内を自由にドリブルさせ、頭を上げさせるために、コーチの指示(声かけ/腕
上げ)で左右にターンする
1対1ゲーム突破のトレーニングでも、頭を上げて、キーパーとゴールを意識した突破を試みさせ
る(突破してシュート)→選手をキーパーに
 ドリルシザース/ロコモティーブ/キックフェイント/ダブルタッチ/スモールブリッジ/ビッ
グブリッジ
Training(フェイント技術獲得のため)(1)向かい合ったフェイント練習(真ん中にコーン)
Training(フェイント技術獲得のため)(2)-1コーンの代わりにコーチ
Training(フェイント技術獲得のため)(2)-2ライン上しか動けない二人のDFを抜く
Training(フェイント技術獲得のため)(3)1対1のフェイント練習(チーム対抗)