名古屋の市バスを考える
| 営業係数 | 全系統数 | 黒字系統数 | 黒字路線比率 |
| 平成4年度 | 110 | 114 |
29 | 25% |
| 平成5年度 | 116 | 114 |
22 | 19% |
| 平成7年度 | 132 | 124 |
16 | 13% |
| 平成8年度 | 140 | 124 |
14 | 11% |
| 平成9年度 | 148 | 124 |
11 | 9% |
| 平成10年度 | 144 | 149 |
15 | 10% |
| 平成11年度 | 150 | 159 |
10 | 6% |
| 平成12年度 | 154 | 159 |
7 | 4.4% |
全国各地の公営交通事業者では有数の規模を誇る、名古屋市交通局。名古屋市内を縦横無尽に走り、
「市バス」の愛称で親しまれ、市民生活になくてはならない存在になっている。しかし、バス事業は
大幅な赤字が続いており、平成12年度の赤字は73億円(前年は58億円)、累積赤字は504億円(同431
億円)に増大している。黒字系統数は年々減少し、平成12年度は遂に全系統の95%以上が赤字
という由々しき事態になってしまった。市民の足を担う使命があるとはいえ、これ以上赤字を増やす
ことは望ましくない。また、公営交通事業者は体質上、どうも危機感が薄いように思えてならない。
「どうしたら利用してもらえるのか」を真剣に考える必要がある。そこで、この市バスについての
意見や私的改善案を提示してみたい。なお、営業係数は名古屋市交通局発行のPR誌「交通局ニュース」を
を参考にしています。
このページは個人の趣味に基づき、思うままに書いていますので、名古屋市交通
局とは一切関係ありませんのでご注意ください。
・系統別
栄758/名駅16NEW!!
/なごや城/高速1/
大高11・野並20NEW!!
【栄758】名古屋駅〜栄大津〜ランの館(都心ループ)
途中経由地:柳橋・広小路伏見・栄大津・ナディアパーク・ランの館
| 年度 | 営業係数 |
| 平成10年度 | 97 |
| 平成11年度 | 105 |
| 平成12年度 | 未掲載 (赤字) |
かつては50系統の路線として、名古屋駅から栄・名大病院・塩付・杁中経由で妙見町までを結ぶ比較的
距離の長い路線だったが、名古屋駅〜栄の渋滞による遅れがひどいため、名古屋駅〜栄を分割してできた
路線である(栄〜妙見町は栄18系統となった)。この路線専用の小型車両導入し経費削減を実現したが、
これが仇となって混雑は激化し、時間帯によっては積み残しが出るようになってしまったため、後に中
型車両を導入した経緯がある。1年目こそ黒字だったが、2年目以降は赤字に転落している。都心の
ドル箱路線で、しかもデータイム中心の運行なのに、なぜ赤字に転落したのか? 猛省のうえで、再度
黒字転換を目指して欲しい。改善策としては運行経路の大部分が重複する、名駅16系統と統合し、
名古屋駅〜栄のバス運行を全面的に担うことである。現在運行していない朝晩にも運行し、名駅16
系統の利用客を獲得できれば、営業係数も改善できると見られる。本来、営業係数95〜97程度は楽勝で
あるはずである。
【名駅16】名古屋駅〜東新町
途中経由地:柳橋・広小路伏見・栄
| 年度 | 営業係数 |
| 平成10年度 | 114 |
| 平成11年度 | 129 |
| 平成12年度 | 未掲載 (赤字) |
かつては50系統の路線として、名古屋駅から栄・名大病院・塩付・杁中経由で妙見町までを結ぶ路線の
枝線であった路線。終点の東新町は「とうしんちょう」と読むが、少し前まで市バスでは「ひがししん
ちょう」と読んでいた。名古屋駅〜栄を結ぶ路線のため、まずまずの成績だが、名古屋駅〜栄間では栄
758系統と経路が重複しており、栄758系統が運行されている時間帯は、その続行便のような存在でしか
なく、栄758系統が運行されない朝晩しか利用者数を稼ぐことができない。朝の東新町行きは5分間隔
程度で運行されているが、それに見合うほど利用者はおらず、供給過剰気味である。また、栄758系統が
小・中型車を使用しているのに、この路線で使用される車両は従来通りの大型車である。ちぐはぐな市
交通局の姿勢が表われている。本当に収支を改善する気があるのだろうか。名古屋都心部のうち、栄〜
柳橋間は複数路線が広小路通りを走っており、運転本数がやや過剰である。しかも全路線が赤字である
ため、リストラが必要になっている。このなかで最も必要性に乏しいこの系統はこの系統である。この
系統が他の路線と差別化できる点は、名古屋駅から栄を越えて東新町まで行くことができることであるが、
この路線の終点である東新町での利用者数は少ないため、朝晩の輸送を栄758系統に任して、この系
統を廃止してもよいと思う。しかし、どうしても存続させるのなら、終日小型車での運行で、朝晩
20分間隔、昼間30分間隔程度に運行回数を減らすべきだ。名古屋駅〜東新町を栄758系統の枝線にしても
いいが、栄〜東新町はその経路から外れており、この枝線として存続させると利用者側はややこしくな
る。存続させるなら、この系統は栄758とは別の系統でなければならない。
【なごや城】名古屋駅〜名古屋城正門前(循環)
途中経由地:菊井町・景雲橋・外堀町通本町
| 年度 | 営業係数 |
| 平成11年度 | 191 |
| 平成12年度 | 未掲載 (赤字) |
名古屋駅から名古屋城へのアクセスとして、栄758系統に続いて1999年度に新設された都心ループ路線。
名古屋駅で名古屋城への行き方を訪ねられたら、どう案内すべきだろうか? 私ならこのバスではなく、
「地下鉄名城線市役所駅から徒歩」と案内する。これが相手にとって最もわかりやすいからである。
そもそも、名古屋駅バスターミナルは複雑なため、名古屋市民でも利用しにくい。したがって、観光客
にはとても利用できる環境にない。幸い名古屋城正門前にこのバスが止まる停留所があるため、観光客
には名古屋城からの帰りには利用されるかもしれない。名古屋城の南側は官公庁街であるため、利用者の
中心はこの役人になると思う。
【高速1】栄〜森の里団地
途中経由地:上前津・鶴舞公園前・高辻・(名古屋高速道路)・有松町口無池・左京山
| 年度 | 営業係数 |
| 平成4年度 | 240 |
| 平成5年度 | 281 |
| 平成7年度 | 343 |
| 平成8年度 | 366 |
| 平成9年度 | 378 |
| 平成10年度 | 184 |
| 平成11年度 | 199 |
名古屋の中心「栄」から緑区南東部への貴重な直通路線であり、市バスでは唯一、高速道路を経由する
路線である。以前は営業係数が300台後半になるほどの赤字路線であったが、平成10年度以降大幅な
改善が見られる。乗客の平均乗車距離は約20km、平均乗車時間も40分程度になると見られる。これは、
市バスのなかでは突出している。
メインターゲットとなる、緑区の南東部地域は名古屋都心部へのアクセスが悪く、中心の栄まで行くた
めには、2度の乗り換えを必要とし、運賃も片道500円以上する不便な地域であった。この路線は栄直通
であることと、運賃が210円であることが利用者にとっては魅力的である。
市バス運賃は通常1乗車200円であるが、ただ、この路線のうち、高辻〜有松町口無池間の名古屋高速道
路区間を利用する場合は、特別料金として同「10円」を徴収している。しかし、この料金は路線新設
以来何度かあった、市バスの運賃や名古屋高速道路の通行料金の値上げの際も、なぜか据え置かれてきた。
名鉄バスセンター〜名古屋空港のバス運賃が、名古屋高速道路の延長などに伴い、幾度も値上げされたの
とは対照的である。
メインターゲットとなる、緑区の南東部地域のうち、終点の森の里団地はJR大高駅に近く、左京山などで
は名鉄電車の駅があるため、このあたりでは、鉄道との争奪合戦があるだろう。バスの方が所要時間では
かなわないが、運賃の安さと乗り換えない直通運転では優位である。
この路線の収支改善の特効薬は、高速道路区間利用料金の値上げであろう。約20km、しかも、途中高速道
路経由で割増し料金が10円というのは激安であり、これでバスの高速道路通行料が賄えるかどうかは、素
人でも分かりそうなことである。30〜50円程度に設定しても、運賃は鉄道を利用し都心へ向かう場合の半
分程度で済むため、利用者の理解を得られるものと見られる。
【大高11】大高駅前〜有松町口無池
途中経由地:緑区役所・有松中町・権平谷
【野並20】野並〜有松町口無池
途中経由地:鳴海山下・池上・緑市民病院・有松中町・桶狭間寺前
| 年度 | 営業係数 |
| 大高11 | 野並20 |
| 平成11年度 | 599 | 599 |
| 平成12年度 | 654 | 623 |
平成12年度の営業係数の悪い路線のワンツーフィニッシュを見事飾ったのは、緑区の有松町口無池を発着
する路線だった。また、要町11系統(要町〜有松町口無池)の平成12年度営業係数は325であり、ここを
発着点とする路線は軒並み営業成績の悪い系統ばかりである。大高11はJR大高駅前から緑区役所を経て
緑区南部を縦断する路線。野並20は地下鉄桜通線野並駅から緑区を南北に縦断する路線。根本的な理由
は人口の少なさである。しかし、緑区南部は区画整理が行なわれている発展途上地域であるため、今後
人口が増える可能性は高い。もう一つの理由は利用者の動向にあっていないことである。緑区は名古屋
都心からの鉄道が東西を貫いており、北端の地下鉄野並駅と名鉄の鳴海・左京山・有松の各駅に利用者
が集まるようになっている。したがって、緑区南部から野並20でわざわざ野並まで行かなくても名古屋
都心へ行くことができる。この2系統はどちらかといえば、「緑区」などの公共施設関連系統に近い性
格である。
改善策としては、人口増加を待つ前に隣接する大府市のJR共和駅まで路線を延長することである。
有松町南部は都心へのアクセスとしてJR共和駅の方が最も近く便利(共和駅は快速列車も停まり、列車
本数も多い)であるため、共和駅まで路線を延長して有松町南部住民の利便を図るべきではなかろうか。
大府市側には路線バスは運行されておらず、大府市をエリアに抱えている名鉄バスと競合することもな
い。
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