魔女のマリオネット

第3話「素敵なメイドさん」

作:びーろく さん

トルルルルル....。
 
自分の事務所で資料整理をしていた冴木麗子の前の電話が鳴った。
 
「はい、冴木法律事務所でございます。」
 
「冴木麗子さんですね。これからあなたにとても大切な話をしますので、いまからマリア
の操り人形になってください。」
 
麗子は受話器を握りしめたまま、呆然自失の状態になった。
 
「さあ麗子ちゃん、きちんと操り人形になることが出来たかしら。」
 
「はい...。」
 
「けっこうよ。それでは今からすぐにグリフォンにいらっしゃい。今日は麗子ちゃんにお
仕事をしてもらわなくちゃならないのよ。服装は特に考えなくてもいいわ、こちらで用意
するから。電話が切れると意識が戻るから、すぐにこちらへ来ること、わかったわね。そ
れじゃ待っているわ。」
 
麗子は受話器を置くとハッと我に返った。
 
(あれっ、いま何があったのかしら。確か自分では何かしようと思ったんだけど?)
 
すぐに麗子の心の中に"外出しなければ"という欲望がムクムクと湧いてきた。 
 
(今から行かなきゃ。あのお店はショーパブの...)
 
麗子の深層意識の奥底に刷り込まれているグリフォンの存在が急速に現れてくる。
手早く身支度を整えて、麗子は事務所を閉めてグリフォンに向かった。
 
 
グリフォンに着いた麗子は事務所の扉を開け、中にいた青年に声を掛けた。
 
「あの、冴木麗子ですけど...。」
 
「ああ、いらっしゃい。応接室へどうぞ。」
 
応接室で待っている間、麗子はなぜここに来たくなったのか、なぜこの店を自分が知って
いるのか疑問に思っていたが、どうしても答えが見つからなかった。
応接室にマリアがやってきた。
 
「麗子ちゃん、よく来てくれたわ。ずいぶん早かったじゃない。」
 
麗子はますます混乱した。
(この女の人は誰?なぜ私のことを名前で呼ぶの?)
だが強力な忘却暗示を与えられている麗子はマリアの存在すら忘れさせられていた。
 
「それじゃ早速だけど、この衣装に着替えてちょうだい。」
 
「それは何なんです。」
 
「これはメイド服よ、可愛いでしょう。これから麗子ちゃんは素敵なメイドさんになって
お仕事をするのよ。」
 
「ちょっと待って!なんで私がメイドの格好をしなくちゃいけないのよ。」
 
「あら着てくれないの。絶対似合うと思うんだけどな。」
 
「着るわけ無いでしょう。大体あなた何なのよ。なんで私のこと慣れ慣れしく名前で呼ぶ
の!」
 
麗子にはキーワードを与えてあるので、催眠状態にしておとなしくさせるのは簡単である。
しかしマリアはすぐに頭に血がのぼる麗子の態度を見てると面白いので、いつも催眠状態
にする前におちょくって遊んでいた。
 
「せっかく麗子ちゃんのために用意したのに。」
 
マリアは口を尖らし、ちょっとすねてみせた。
 
「そんなの知らないわ。あなたが勝手にしたことでしょう。」
 
「でも今日のお仕事はメイドの格好をするというのが条件に入っているのよね。」
 
「仕事とか条件とか何を訳のわからないことを言っているの。お話にならないわね。もう
帰らせてもらうわ。」
 
 
「それでも、あなたは喜んでメイドの格好になるわ。」
 
「なんですって。いいかげんなこと言わないで。」
 
「だって麗子ちゃんはマリアの操り人形なんだから。」
 
麗子は全身が脱力しソファに深く沈んだ。ぼんやりとした目でマリアの方を見つめている。
  
「ほら麗子ちゃんは深〜い深〜い催眠状態になったわ。とってもいい気持ちでしょう。」
 
「はい...。」
 
「麗子ちゃんは催眠術をかけられている今の感じが大好きなのよね。」
 
「はい、私は催眠術をかけられるが大好きです。」
 
すっかりマリアの言いなりになった麗子にやさしく語りかける。
 
「これからあなたはメイドの格好をしたくなるわ。ほらこのエプロンドレスに着替えたく
なってきたでしょう。さぁ今着ている服なんて脱いじゃって可愛いメイドさんになりまし
ょう。」
 
「はい。」
 
ソファから立ち上がった麗子は、マリアからメイドの衣装を受け取り自分の服を脱ぎ始め
た。
麗子がブラウスとスカートを脱いで下着姿になるとマリアも横についてメイド服の着付け
を手伝った。
 
着替えが終わり、濃紺のちょうちん袖のワンピースに白のエプロン、ニーソックスとヘア
バンドを身に着けた麗子は、もともと上品な顔立ちもあってこれぞ正統派のメイドといっ
た感じになっている。
 
「可愛いわよ麗子ちゃん。とっても似合っているわ。」
 
「せっかく素敵なメイドさんの姿になったんだから、今度は心の方もメイドさんにならな
きゃね。」
 
「ほらもう何も考えられなくなる。頭の中が真っ白になってとっても気持ちが良くなる。
うっとりとした気分に包まれてなんだかすごく楽しくなってきたでしょう。」
 
「そうしたら、もう一度自分が何なのか考えてみましょう。そうあなたはメイド、御主人
様に対してとっても従順なメイドなのよ。どう、心が晴れ晴れとして生まれ変わったよう
な感じがするでしょう。さああなたは御主人様に精一杯のご奉仕をしたくなってくる。こ
れから御主人様の忠実な下僕となって一生懸命働きなさい。」
 
「メイドといっても御主人様の身の周りの世話をするだけじゃだめよ。御主人様がすべて
において満足するようにしなければならないわ。だからあなたの体を求めてきたら素直に
受け入れるの。御主人様が満足することがあなたにとって最高の幸せなのよ。」
 
マリアの暗示により敏腕女弁護士冴木麗子の自我が消えてゆき、代わりに従順なメイドの
麗子が心の中に構築されていった。
 
「それじゃ御主人様の所へ連れて行ってあげるわ。さあついていらっしゃい。」
 
身も心もメイドに変えられてしまった麗子はマリアに連れられ店を出た。
 
 
グリフォンの裏のビジネスは基本的にビデオ販売である。
コンパニオン達を使っての売春行為も行わないことも無いのだが、催眠状態の女の子をマ
リアの手から離し客に委ねるのはリスクが大きいので、これをマリアが嫌ったために客が
そう簡単には買春できないようにかなり高額の料金設定をしていた。
 
だが今回の客は違った。
大手電器メーカーの課長であるその男は以前部下の女子社員にセクハラ訴訟を起こされ解
雇寸前にまで追い詰められたことがあった。
その原告の女子社員に付いていた弁護士が冴木麗子だった。
今度、麗子がグリフォンのコンパニオンに加わったことを知って、金はそちらの言い値で
払うから麗子が自分にひざまずくのを見たいと申し入れてきた。
 
深い私怨が関係しているためマリアはさすがに麗子の身が心配になったが、その客が暴力
やSM行為をしないことを確約したので、それを条件に今回の話を受けることにした。
もっとも麗子本人の意思は全く無視されているのだが。
 
 
麗子が連れてこられたのは、グリフォンから程近いウィークリィマンションの一室だった。
部屋に入る前に、マリアは麗子の頬に手をあて念押しの暗示を与える。
 
「さあこのお部屋に御主人様がお待ちかねよ。御主人様の命令は絶対だから、どんなこと
でも従わなければならないの。麗子ちゃんは従順なメイドだから言われた事を素直に行う
ことができるわ。」
 
「はい。」
 
麗子はコクリとうなずく。
 
「じゃ行きましょうか。」
 
マリアはチャイムを押した。
 
「どうぞ。」
 
中から男が返事をした。
 
ドアを開け、マリアと麗子は中に入った。
 
「おまたせしました。お客様のご要望通りにこの子を仕立ててありますわ。」
 
「ありがとう。なかなか似合っているじゃないか。」
 
「とっても可愛いでしょう。では時間がきたらグリフォンに帰すようにお願いしますね。
この子も本来の仕事がありますから。」
 
「ああ判った。」
 
「それじゃ麗子ちゃん、しっかりお勤めを果たすのよ。いいわね。」
 
「麗子、こちらへ来い。」
 
男が麗子を呼びつける。
 
「はい、御主人様。」
 
麗子は男に歩み寄りペコリと頭を下げた。
 
「それでは、私はこれで。」
 
マリアは麗子を部屋に残し、ドアを閉めて外に出た。
 
 
最初に男は麗子に強引なディープキスを行ない、そのあとこう言ってバスルームに消えた。
 
「私はシャワーを浴びてくる。おとなしく待っているんだ。」
 
麗子がバスルームの入り口に立って静かに待っていると、しばらくして男はバスルームか
ら出てきた。
 
「よし麗子、私の体を拭くんだ。」
 
「はい御主人様。それでは失礼いたします。」
 
シャワーの湯で濡れている男の体を麗子は入念に拭きあげた。
股間を拭いているとむくむくとペニスが勃起してきた。
 
「お前が刺激するから私のムスコがいきり立ってしまったぞ。」
 
「どうすればおさまるかはわかっているな。やってみせろ麗子。」
 
麗子はしばらく男の股間を見つめていたが、意を決したようにベッドに腰掛けている男の
前にひざまずき、おずおずと硬直しているペニスに唇をあてた。
 
麗子はペニスの周りに舌を這わせ、その後に深く口に含んだ。
歯を立てないようにして、ゆっくりと前後に動かし始める。
 
「その調子だ。」
 
男は満足そうにうなずいた。
 
実は麗子はフェラチオを行うのは初めてだった。 
聞きかじりの知識を全て動員し、主人が満足するように一生懸命にペニスを口で愛してい
る。
 
男は異様な興奮状態にあった。
あの冴木麗子が命ずるままに自分の前にひざまずきフェラチオを行っているのが今でも信
じられなかった。
 
やがてぴくぴくとペニスが痙攣し、男は麗子の口の中で果てた。
 
「ううっ。」
 
ドロッとした精液の感触が口の中一杯に広がり麗子は気持ち悪くなってしまった。
 
「こぼしてシーツを汚すんじゃないぞ。残らず飲み干すんだ。」
 
男に厳しく命じられた麗子は、戻しそうになりそうなところを必死に我慢している。
そしてペニスがくにゃりと力を無くすのを待ってから麗子はゆっくりと離れ、口の中に残
った精液はこぼさないようにグイッとのどの奥に飲み込んだ。
 
「言いつけ通り、きちんと飲み干せたか。」
 
「はい、御主人様。」
 
「次はベッドに肘をつき四つん這いになれ。そしてスカートをまくるんだ。」
 
麗子が命じられた通りの格好になると、男は麗子の秘所を愛撫しはじめた。
もともと感じやすい麗子は緩急をつけリズミカルに性感を刺激され、すぐに愛液を溢れさ
せていた。
体全体を襲う快感の波に麗子はどうしても我慢できずに自然と声を出し始める。
 
「なんだ麗子。お前のおま○こはもうトロトロじゃないか。」
 
「御主人様にご奉仕もせずに、麗子ははしたない女です。」
 
「お前は世界一淫乱なメイドだな。」
 
そう言うと男は愛撫している指の動きをさらに激しくした。
 
「ああそれ以上言わないで。」
 
 
麗子が頂点に上り詰めつつある時、ふいに男の手が止まった。
 
「あっ。」
 
麗子の中心にはしばらく収まりそうに無い快感の波が渦を巻いたままである。
頬を紅潮させ、潤んだ瞳で麗子は男に懇願する。
 
「どうかやめないで...。もっと続けてください。」
 
「なんだメイドのくせに主人に命令するのか。」
 
「申し訳ありません。でもお願いします、御主人様。」
 
「どうして欲しいんだ。はっきり口に出して言ってみろ。」
 
「...麗子のおま○こを気持ち良くしてください。」
 
「よし、それではパンティを脱いで私の上にまたがるんだ。お前の中に深く入れてやろう
。」
 
「はい。」
 
麗子はよろよろと立ち上がり、愛液でぐっしょり濡れているパンティを脱ぎさり、ベッド
にあお向けになった男に近づく。
 
男のペニスはすっかり力を取り戻している。
麗子は男にまたがりカチカチになっているペニスを自分の秘所に持ってゆき深く腰を落と
した。
 
「ああんっ!」
 
体の奥に固い肉棒を受け入れた快感が麗子を貫く。
 
「麗子、今夜お前は私の操り人形だ。私の言う通りに従えば素晴らしい世界を体験させて
やる。」
 
「はい、麗子は御主人様のモノです。」
 
そう言うと二人はゆっくりと腰を動かし始めた。
 
 
「どうだ麗子。」
 
騎乗位でピストン運動を続けながら男は言う。
 
「はいっ御主人様と一つになれてとっても幸せです。」
 
さらに激しく腰を振りながら麗子は叫んだ。
 
「ああっ麗子のおま○こをぐちゃぐちゃにしてぇ。」
           :
 
 
翌日の昼になって一人でグリフォンに戻ってきた麗子は応接室でマリアにマンションでの
事を詳しく報告させられていた。
 
マリアはニヤニヤしながら麗子の話を聞いていた。
報告させる前に羞恥心を無くさせる暗示を与えていたので、麗子は普通は女性が口にする
のは恥ずかしくてとてもできないような表現や単語を使ってよどみなく答えている。
 
           :
「御主人様が果てた後どうしたの。」
 
「御主人様のチンポが小さく萎んでから私は口を離しました。口の中の御主人様の精液は
言いつけ通りこぼさずに全部飲み干すことができました。」
 
「りっぱね、麗子ちゃん。それから。」
 
「四つんばいになりスカートをまくるように言われました。そして御主人様に私のおま○
こを指で愛していただきました。」
 
「具体的にどのようにしてもらったのかしら。」
 
「クリトリスをつまむようにいじられたり、おま○この中に指を深く入れられたり。」
 
「麗子ちゃんのことだから、すぐに濡れてしまったのでしょう。」
 
「はい、私のおま○こはあっという間にグショグショになり、御主人様に愛してもらって
いるのがとても嬉しくて声が自然と出てしまいました。」
 
「その後は。」
 
「パンティを脱いでまたがるように命じられました。その時には既に御主人様のチンポは
とても力強くなっていてスムーズに私のおま○こに入れることができました。そしてその
あと御主人様に激しく突き上げていただきました。」
 
「そうしたら麗子ちゃんは気持ち良くなってイッちゃったのね。」
 
「....はい、御主人様が達するまで我慢しようと頑張ったんですけど私の方が先にイって
しまいました。」
 
「フフ麗子ちゃんが一生懸命合わせようと努力したことは、きっと御主人様もわかってく
ださっているわ。」
 
「そうだと嬉しいんですが...。」
 
麗子はすこしうつむき、頬を赤らめた。
 
 
「もういいわ、お勤めご苦労様でした。ちょっと疲れたでしょう麗子ちゃん、しばらくお
眠りなさい。」
 
マリアが指をパチンと鳴らすと、麗子は背中をソファに持たれかけて小さな寝息を立て始
めた。
可愛らしいメイド姿のまま、すやすや眠っている麗子を見ながらマリアは思った。
 
(今度、メイドが徹底的に男性に奉仕するシチュエーションのビデオを撮ろうかしら。こ
の格好とてもよく似合ってるし。)
 
(それにしてもいい子が手に入ったものだわ。お客様からもいろいろとリクエストも多い
し。弁護士ということは口だけとは言え喧嘩のプロなんだから普通なら絶対屈服しない子
を自在に操るというのが魅力よね、やっぱり。)
 
「またすぐにお仕事をお願いすることになると思うわ。その時はよろしくね人気者の麗子
ちゃん。」
 
マリアは小さな笑みを浮かべて呟いた。
 
 
いつものようにグリフォンに関するすべてのことを忘れさせられ、自分の事務所に帰され
た麗子は、応接室のソファで我に返った。
 
(あれっ、私いつの間にか眠っちゃったのかしら。最近疲れているのかなぁ?)
 
軽い疲労感を感じたが麗子にはその理由は判らなかった。
なにか釈然としないまま整理の続きを始めた麗子は一件のセクハラ裁判の資料に目が止ま
った。
 
(この男せっかくの一流企業の出世コースから脱落したでしょうね。私たちのことを恨ん
でるだろうけど自業自得よね。)
 
麗子は以前の裁判の事をちょっと思い出したあと、先ほどまで麗子の御主人様だった男が
被告の裁判資料を無造作に本棚の奥に放り込んだ。
 
 
山口春奈の件でグリフォンに乗り込んだあの日からマリアの術中におちて、自分の知らな
い裏の顔を持つことになってしまった冴木麗子。
本人の意志とは関係なく今後もグリフォンのコンパニオンの仕事は続いてゆくことになる。
 
  
−おわり−


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